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16話

Author: 水沼早紀
last update Last Updated: 2026-01-05 17:37:55

「そうなんか……。 アンタ一人で、育てるつもりなんか?」

「……はい。そのつもりです」

わたしはそう答えると、女将さんの方を見た。

「そう……。アンタは、本当にそれでええの?」

そう問いかけられたわたしは「え?」と返事をした。

「一人で産む言うても……。子供を一人で育てるのは大変やろ?お金もかかる故、働きながら子供を育てるのは、容易じゃないんよ?」

女将さんからそう言われ、また現実に引き戻されてしまう。

「……分かってます。だけど、あの人には……。高城ホールディングスには、頼りたくないんです」

「透子……」

「わたしはあの人たちを許したくない……。許せる訳、ないんです。 あの人たちは、わたしたちを……夕月園を、めちゃくちゃにしたんですよ?倒産にまで追い込んだ」

わたしのその言葉に、女将さんは黙ったままわたしを見つめていた。

そしていきなり、こんなことを話しだした。

「実は言うとね……。夕月園の経営が終わってからしばらくして、高城藍さんがわたしのところに来たのよ」

「……え?」

高城藍が、女将さんのところに……?

「アンタのことを探してる言うとったのよ。アンタの居場所を知らないかって、うちに聞いてきてん」

「高城藍が……?」

なんでわざわざ、そんなこと……。

「わたしも知らない言うたんやけど……。知ってたら教えてほしいって言われてね」

「そう……だったんですか」

どうして彼は、そこまでしてわたしを探したのだろうか……。

「まさかこんなとこで働いているとは、夢にも思ってなかったけど……。でも元気そうで良かった」

そんなことを言われたわたしは、女将さんに「心配かけて、すみません……」と答えた。

「ええんよ。気にせんといて。元気ならええのよ」

「……はい」

高城藍と出会ったのは、偶然なんかじゃなかったんだ……。これは必然だった。

出会わなければ良かったのになんて、思っていたのに……。

「……アンタ、もう旅館の仕事には戻らへんの?」

女将さんからそう問いかけられたわたしは「……女将さんと一緒に働くことが出来ないのなら、働く意味なんてありません」と答えた。

「夕月園はわたしにとって、家族みたいなものだったし……。家族を奪われた今、もう旅館で働く意味なんてありません。 女将さんと一緒に働くことが、何よりわたしの幸せだったんですから」

女将さんと働けないのなら、わたしはも
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