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潔癖な女王の断罪:ゴミを捨て、私は頂点へ
潔癖な女王の断罪:ゴミを捨て、私は頂点へ
Penulis: 小四郎

第1話

Penulis: 小四郎
実習生の女が散々おもちゃにした指輪。彼氏にそんなものでプロポーズされた瞬間、私はこの恋に終止符を打つ決心をした。でも、彼らは私の手にある「ある物」を見て、どうしてそんなに慌てているのかしら?

付き合って七年目。周藤蓮也(すとう れんや)は、激しい豪雨の中で私、江口智美(えぐち ともみ)の退勤を待っていた。

助手席のドアを開けると、そこには最悪な光景が広がっていた。座席はびしょ濡れで、長い髪の毛が一本、不自然に落ちていた。

蓮也はハンドルを握ったまま、こちらを振り返りもしない。

「さっき、企画部の実習生を家まで送ったんだ。傘を持ってなくてずぶ濡れだったからな」

私はその冷たく湿った座席に腰を下ろした。心までがじわじわと、一気に冷え込んでいく。

「蓮也、私がひどい潔癖症だって、知っているはずよね」

彼は鼻で笑った。その声には、隠しきれない疲れと苛立ちが滲んでいた。

「たかが座席一つでガタガタ言うなよ。彼女は君より若いし、一緒にいて楽しいんだ。雨に濡れた姿だって、君よりずっと綺麗だったよ。

正直、彼女とはもう一通り試してみたが、確かに君といるより楽しかった。

でも、プロポーズは予定通りする。君が知らないふりさえすれば、これからも上手くやっていけるだろう」

窓の外では激しい雨がカーテンのように視界を塞いでいたが、車内の空気はそれ以上に重く、私を窒息させた。

座席の冷たい液体が、私の高価なレザーのスカートを容赦なく濡らしていく。

そのじっとりとした不快感が肌を伝い、心臓まで凍りつかせる。あまりの気持ち悪さに、胃の底からこみ上げてくるものがあった。

道中、蓮也は聞いたこともない小唄を鼻歌で歌っていた。

彼はとても機嫌が良く、私の様子など微塵も気にかけていない。

到着したのは、市内でも指折りの予約困難店として知られる、ミシュラン星付きの高級レストランだった。

彼は先ほどの無礼を謝ることも、私をなだめることもしなかった。

料理が半分ほど運ばれてきた時、彼は突然ベルベットの箱を差し出した。

それは婚約指輪だった。だが、箱の表面は擦り切れ、まるで誰かが何度もおもちゃのようにいじくり回したかのようだった。

「はめてくれ、智美。もう七年だ。いい加減身を固めて親を安心させないと」

彼は立ち上がることも、プロポーズの定番である片膝をついて跪くことさえしなかった。

指輪が私の薬指にはめられた瞬間、心の中の熱が一気に冷え込んでいくのを感じた。

サイズがひと回りも大きく、指の上でぶかぶかと無様に揺れている。

私の指のサイズは、三年前、彼が自ら測ったはずだったのに。

「蓮也、指輪が大きすぎるわ」

彼は赤ワインを一口啜り、その視線をわずかに泳がせた。

「勘違いしてたかな。後で自分でサイズ直しにでも行ってくれ」

その時、テーブルの上に置いていた蓮也のスマホの画面が、不意に明るく灯った。

LINEの通知だ。表示された名前は「ひだまりちゃん」

【蓮也、さっき車の中で指輪をはめてみたら、少し緩くなっちゃったみたい。智美さん、気にしないよね?】

私はその文字を見つめ、それから指先の汚れた指輪に目を落とした。

これは婚約指輪であると同時に、他人のおもちゃでもあったのだ。

胃が激しく痙攣し、冒涜されたという猛烈な嫌悪感が爆発した。

私は指輪を外し、ゆっくりとした動作で、テーブルの上の食べ残しの中に放り込んだ。

「蓮也。私の婚約指輪は、誰でも試着できる備品なの?」

蓮也の顔色が瞬時に険しくなり、彼は箸を乱暴に叩きつけた。

「智美、いい加減にしろ!

君の潔癖症や強迫行為に付き合えるのは、俺以外に誰がいると思っているんだ?

雅子はただ好奇心旺盛なだけだ。卒業したばかりの若い子が、何を知っているっていうんだよ」

蓮也は私が理不尽に騒いでいると思い込み、恩を仇で返していると決めつけている。

彼は私を指差し、その瞳には冷酷な光が宿っていた。

「はめないなら、結婚式は中止だ。よく考えろ」

私は目の前にいる、七年間愛し続けた男を見つめた。

その顔はまだ私の好きな造形のままだが、中身はとっくに腐り果て、悪臭を放っている。

あのびしょ濡れの助手席と同じだ。反吐が出るほど、汚れきっている。

「ええ、中止にしましょう」

私はナプキンを手に取り、丁寧に指を拭った。

「一度汚れたものを、私は決して受け入れない」

蓮也は、私の別れ話をただの痴話喧嘩だとでも思って、高を括っていたのだろう。

彼はSNSにこう投稿していた。【女を甘やかしちゃいけないな。度が過ぎると可愛くない】

翌日、私は定刻通りに出社した。

私はこの会社の財務責任者であり、蓮也と共に創業した古参メンバーでもある。

オフィスの前に着くと、ドアが少し開いているのに気づいた。

中に入った瞬間、息が止まった。

林田雅子(はやしだ まさこ)というあの実習生が、私のデスクにわがもの顔で踏ん反り返っていた。

彼女の手には、私が愛用しているボーンチャイナのコーヒーカップ。あれは蓮也が付き合って五周年の記念に贈ってくれた、大切な私物だ。

だが、何より虫唾が走るほどの嫌悪感を覚えたのは、彼女がぶかぶかの白いワイシャツに、その身を包んでいたことだった。

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