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第155話・守るべきもの

Author: 新矢識仁
last update Last Updated: 2026-02-12 06:43:06

 視界が切り替わって、目に飛び込んできたのはやっぱり円と十字を組み合わせたシンボル。これが俺の紋章らしい。そう思ってみると何となく親しみを感じる。

「お帰りなさいませ」

 シャーナが深々と頭を下げた。

「留守中、何もなかった?」

「敢えて言うなら、魔獣が」

 低い声でシャーナが言う。

「魔獣?」

「はい、さして力のない、しかし明らかにシンゴ様と正反対の位置に坐する存在に生み出された獣が、この神殿の結界付近を嗅ぎまわっています。生神様と信者にしか見えない神殿ですので、魔獣たちは何も見つけることはできず去っていきますが」

「……子供たちが外に出たがったりとかは」

 シャーナが目を伏せる、それだけで子供たちが外に出たくて大騒ぎしていることが伝わってくる。

「小アシヌスや小灰色虎に、言い聞かせておいて。絶対に子供たちをこの神殿の結界の外には出さないようにって」

「無論です」

 シャーナは力強く頷いた。

 本当は、神殿の結界の外、広い世界に出してあげたい。再生しつつある世界をその五感で存分に味わってもらいたい。

 だけど、魔獣がいるとなると話は別だ。

 敵対勢力がいて、世界の破滅を願う者がいる
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