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第250話・北

Auteur: 新矢識仁
last update Date de publication: 2026-03-31 05:27:35

 あ、思い出すだけで怒りが……。

 サーラと三頭にボロボロにされていたけど、俺も脅すだけにしないで一発ぐらいぶん殴っておけばよかった。個人的精神衛生上の理由で。

「それが、全部北へ向かっていたと」

「北、ね」

 北西を支配する無窮山脈の途切れる場所、地熱の恵みがない最果エンドと呼ばれる場所は、生物と死物の暮らす世界の境界線だという。魔物はそこから現れ、モーメントに広がっていく。だから、人間、と呼ばれる中でも、守護者ガーディアンと呼ばれる強者たちが結集し、そこから魔物が広がっていくのを防いでいるとか。

「魔神はいなくとも、魔人クラスならばいる可能性もある」

「魔神は天界にいるって言ってたような気がするけど」

「天界か、黄泉かは分からないが」

 サーラは顎に指を当てて考え込んだ。

「そもそも今現在、天界にほとんど神はいない。滅亡の神・魔神が最上段に座った時、人間を好く神は··粛清されたからな。残ったのはモーメントを終わらせるべきだと言う言葉に同意する神ばかりだ」

··?」

「ああ、··、だ。残った神や守護獣は自らを世界に封印したり、己の力を封じてモー
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