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無自覚イケメンとドアの穴(後編)

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last update Last Updated: 2025-05-16 11:46:39

 ただし、そのお金持ちな吸血鬼は気位が高く、相手にもその爵位相応の教養を求めているらしい。

「そうなんだ」わたしは言った。

「でも、こっちにはそんな教養ないよ」

 ウィスカーは、電話の向こうで鼻を鳴らす。

『……またそんなことを。では我がウィスカー商会の婚活セミナーを受講されてはいかがですか?』

 だけど、そもそも、わたしは乗り気じゃない。

「ウィスカーさん、せっかくだけど、わたしお金持ちとか、あんま興味ないんだよね」

 そこも、実際結婚して子育てをするなら、きっと大事だ。

 でも、一回死んじゃったうえで人生をやり直しているわたしには、徒歩圏内にいる好きな人のほうが、ずっと大事な気がする。……って、言おうとした顔に、ふとドアの修繕費のことがよぎる。

「──いやいや、」

 わたしは首を振る。

「……それにね、吸血鬼ってだけで、こっちはだいぶアウトなんだけど」

 血とか、抜かれそうじゃん。

 ウィスカーは、電話口で慌てている様子を見せた。

『で、ですが、この伯爵様、実は、相川様にかなりご執心とのことで…… 実質の成婚レベルはぐっと下がる好案件かと……』

 問題はそこじゃあない。この婚活業者、やっぱりどっかずれてるよな……

 わたしは頭を掻きながら言った。

「ていうかウィスカーさん、またなんか隠そうとしてない?」

『うっ……』

 ……図星か?

「じゃあこっちもズバリいうわよ。その〝伯爵さまのご執心〟って、要はわたしの血か年齢なんじゃないの?」

 そう言うと、ウィスカーは沈黙した。

『……はい。伯爵さまは相川さまのご年齢をいたくお気に入りで……』

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