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第584話

Penulis: 栄子
綾はしゃがみこんで、その袋入りのお菓子を拾い上げた。

縁は綾の手に、そっと前足を乗せた。

綾は縁を見つめ、「どうしたの?」と尋ねた。

「ワンワン!!」

縁は彼女に向かって大きく吠えた。さっきよりも、さらに切羽詰まった様子だ。

優希が駆け寄ってきた。片手を腰に当て、もう片方の手で縁の耳を掴んでいる。丸々とした小さな顔が怒りで膨れ上がり、相当怒っているようだった。

「母さん、縁ちゃん、悪い子!北条おじさんのお菓子を分けてあげたのに、食べないでゴミ箱に捨てちゃったの!叱ったら、私のお菓子を全部奪おうとしたんだよ!」

綾は少し驚いて、縁を見つめた。「優希の言ってることは本当なの?」

縁は再び「ワンワン」と二回吠えると、焦ってその場で二回くるくる回り、足踏みをして、クンクンと鳴き声を上げた。そして立ち止まり、また綾が持っているお菓子を噛もうとした。

「ほら!母さん見て!またお菓子を奪おうとしてる!」優希は怒ってその場で足を踏み鳴らした。

その言葉を聞いた縁は、優希の方を向いて再び「ワンワン」と二回吠えた。

優希は、もう本当に頭にきた。

「悪い子!絶交する!もう二度と、お菓子分けてあげないんだから!ふん!」

そう言って、優希は母親の手からお菓子を掴み取った。

ところが、彼女がお菓子の袋を手にした途端、縁はすぐに飛びかかって袋に噛みついた。

「きゃあ!!」優希は両手で必死に袋を掴み、泣き出しそうだった。「縁ちゃんのバカ!母さん、早く助けて!」

「縁ちゃん!そんなことしちゃダメ!早く離して!」綾は厳しく叱りつけた。

いつもは綾の言うことをよく聞く縁だが、今日は様子がおかしく、お菓子の袋を噛んで離そうとしない。

この異常な行動に、綾は眉をひそめた。

縁はとても賢く、優希と安人のことが大好きなのに、どうしてわざと優希を怒らせるようなことをするんだろう?

綾は優しい口調で言った。「縁ちゃん、まずは離して。優希にお菓子を食べさせないように私がちゃんと見てるから、いいでしょ?」

この言葉を聞いた縁は、すぐに口を離した。

「あいたたた」優希は床に尻餅をつき、それでも小さな手でお菓子をしっかり握りしめていた。

綾は娘を起こし、小さな尻を優しく撫でた。少し心配しながらも、可笑しかった。

いつもはおてんばで負けん気の強い優希が、初めて痛い目に遭ったから
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