Mag-log in「……?」
目の前に差し出された離婚届を見つめ、喉が張り付いたような声で問い返した。 「あなた……どういう意味なの?」 「綾乃から、全部聞いた」 彼の顔には、余計な表情は一切なかった。 あるのは、骨の髄まで染み込んだ冷酷さだけ。 「三年前、うちとお前の家に政略結婚の話があると知っていただろ。 お前は俺と結婚したかったから、彼女を追い出した。別れを強要し、海外へ行かせたんだ」 ――ドン、と。 頭の中が、真っ白になった。 「違う……」 声が震えながらも、私は必死に最後の光にすがる。 「一弥さん、信じて……! あの時は、彼女が自分で行きたいと言って……私は……」 「もういい」 彼は遮った。 その瞳には、最後の一片の忍耐すら残っていなかった。 「ずっと、目立たない女だと思っていた。 まさか、ここまで腹黒く、ここまで残酷だとはな」 一歩、彼が近づく。 その影が、私を完全に覆い尽くした。 「今、綾乃は戻ってきた。 三年間続いたこの“間違い”も、そろそろ正す時だ」 「……つまり」 自分の声が、恐ろしいほど空虚に響く。 「あなたが私と結婚したのは、家のためだけ。 あなたにとって私は、綾乃の代わり――ただの身代わりだった、ということ?」 「他に理由があるか?」 彼は冷笑し、長い指で私の顎をつかみ、無理やり顔を上げさせた。 その瞳には、微塵の温度もなかった。 「愛だとでも?それとも、あの馬鹿げた一夜の関係か? 杏華……自分を欺くのはやめろ」 その一言一言が、氷の錐となって、私の最後の幻想を正確に貫いていく。 ――どうして、忘れられるだろう。 高校時代の一弥さんは、誰の目にも明らかな“特別”だった。 成績は常にトップ、運動神経も抜群。無数の女子生徒が憧れ、その顔立ちは一目見ればその魅力に虜になるほどの美しさ。
そして綾乃は、彼の隣に立つのが最も似合う存在―― 「学園の女神」と呼ばれるのも、当然だった。 二人が並んで廊下を歩けば、必ず小さなどよめきが起こる。 天に選ばれた少年と、人間離れした美貌の少女。 対して私は、校舎の影に身を潜め、 彼を一目見るだけでも、必死に勇気を振り絞らなければならない、 取るに足らない存在だった。 ただ―― 自由奔放な綾乃は、やがてより広い世界を選んだ。 モデルになる夢のため、彼に一方的に別れを告げ、海外へと留学したのだ。 そして両家の都合による縁談で、 私は“偶然”にも、彼の隣に立つ機会を得てしまった。 誰も知らない。 私が一弥さんを、ずっと……何年も前から、想い続けていたことを。 命そのものだと思っていた恋。 三年間、何一つ惜しまず捧げてきた愛情。 それが彼にとっては、最初から最後まで、 私一人が演じていた、滑稽な独り芝居に過ぎなかった。 彼は、私の弁解など、聞く価値すらないとばかりに―― 「サインしろ」 離婚届を、まるで不要になったゴミでも捨てるように、私の手に押し付ける。 「過去のことは、これ以上追及しないでやる。 だがこれから先、二度と俺や綾乃の前に姿を現すな」 彼は、そう冷たい言葉を投げつけ、背中を向け部屋を出て行く。去り際に振り返ることさえもしなかった。
――違う……こんな終わり方、あっていいはずがない……。 胸を突き上げる、強烈な悔しさだけが、私を支えていた。 私は納得が行かず後を追いかけようと勢いよく扉を開け、廊下へ飛び出した。 薄暗い照明の下、少し先に―― 見慣れた、冷たい背中があった。 声をかけようとした、その瞬間。 角から、軽やかな影が、彼のもとへと飛び込んでいく。 ――綾乃。 私は思わず口を押さえ、廊柱の影に身を潜めた。 口内に、鉄のような血の味が広がる。 そして、風に乗って届いてきたのは―― 甘えと探るような色を帯びた、綾乃の低い声。 「一弥お兄ちゃん…… お姉ちゃん、ちゃんと……サイン、してくれた?」「杏華さん。お疲れ様」すると、そこにまた声をかけられ、その方向に振り向く。「あっ、編集長。お疲れ様です」その人は、この企画をしてくれた編集長だった。「すごかったわ。驚いた。あなたの撮影」「え。見ててくださったんですか」「えぇ。前の仕事が押してたんだけど、ちょうどあなたの撮影から間に合ったの。よかったわ、間に合って。まさかこんなスタイルで挑戦するとは」「ヘアメイクさんのおかげです」「ヘアメイク? あぁ、そういえば急遽自分で見つけてくれたのよね」「はい」「やっぱり、あなたに自分で探させて正解だったわね」「正解?」「この企画は自己プロデュースでしょ。ヘアメイクとの相性って実はすごく大切なの。自分の意見、ヘアメイクの才能、それをすべて形にさせられる力って、無限で大きな可能性が生まれるの。ヘアメイクの力だけで、モデルの知らない魅力を何倍も引き出すことが出来る。どうせなら、あなたにはこのピンチをチャンスに変えてほしかった。それがこの自己プロデュースの企画の一部でもあるの」「そうだったんですね……」「今の自分がどんな状況で、どんなスタイリングやプロデュースにするか。一番大事なのは、ただ綺麗に仕上げるということじゃない。そこまでの過程やどれだけ自分が変われたか、そこがこの企画にとって本当に伝えたいことよ」「じゃあ、私のこのプロデュースは間違ってなかったんですね」「間違ってるどころか大正解よ! いえ、それ以上の期待と想像を超えてきて、もう本当にビックリしちゃった!」編集長は興奮しながら伝えてくれる。嬉しい。自分のしたことすべては、ちゃんと意味あることだったんだ。ちゃんとそれはこうやって伝わっていたんだ。だけど、それは全部夏希さんのおかげだ。私は後ろの方で見守ってくれる夏希さんを見て笑いかける。すると、そんな私を見て夏希さんは、親指をグッと立て、笑顔で私に返してくれる。「だけど、よくあんな
すると、そこに現れたのは一弥さん……ではなく、綾乃だった。その姿を見た途端、私の感情は一気に落ちる。一弥さんじゃなかったという、これほどにない落胆だけではなく、綾乃がまたこれでもかというほど、意気揚々とスタジオに入ってきたことでわかる私への嫌がらせが始まる合図を感じたからだ。「あれ? RURIさんスタンバイまだあと30分早いですよ? 時間になったら、こちらから呼びに行こうと思ってたんですけど」「あれ? そうでした? やだ~私勘違いしちゃったのかも~。でもせっかくなら前の撮影の杏華さん、どんなのか見させてもらおうかな♪」綾乃とスタッフさんのそのわざとらしい会話で、すぐにわかった。やっぱり私を偵察に来たのだと。撮影する順番は事前にモデルにも連絡してあった。綾乃はラストの撮影。私はその前の撮影だということは、もちろん綾乃も知っていたことだ。きっと綾乃は、撮影に失敗している私をあざ笑おうとやってきたか、私が穴を開けて自分が多めに撮影時間をもらえばいい、くらいに考えていたのだろう。そしてまた猫なで声でスタッフさんに話しかける綾乃。「どうですか? 杏華さん。ヘアメイクさんいなかったから、大変なんじゃないですか? もし杏華さんが辞退されるようでしたら、私多めに撮影しても──」「あっ、ちょうど今杏華さん撮影終わったんですよ~。杏華さんものすごく良かったですよ!」「え──」スタッフさんの言葉に綾乃の表情が変わる。「いや~あれは綾乃さんとはまた全然違って、すっごいかっこよくてシビれました!」スタッフさんが何気なく話すその言葉が聞こえて、私は素直に嬉しくなる。だけど、綾乃はその言葉を聞いて、私がいる方へと勢いよく振り向く。「は……?」私を見て明らか困惑している綾乃。まさか私がそんな状況になっていると思っていなかったのか、私を見てどんどん表情が崩れてくる。私はあえて、そんな綾乃に一人近づいて行った。「RURIさん。お疲れ様です」「お、お疲れ様……。へ、ヘアメイク、見つかったのね……」「はい。無事に素敵なヘアメイクさん見つかりました」私は綾乃に向かって、にっこりと笑いかける。綾乃は、なんとか興奮せずに言葉を返してるものの、その言葉の裏では、ずいぶん悔しがっているに違いない。目は笑っておらず、悔しさで歯を食いしばっているのがわかる。
「さっ。カッコよく生まれ変わった”杏華”で、思いっきり羽ばたいてきて」夏希さんの力強い言葉に、私は何かが降りてきたようなスイッチが入る。「あの。このまま生まれ変わった私を、最後まで見届けてくれませんか」「え」「夏希さんに撮影見ててほしいです」夏希さんが、それを見守ってくれていれば、強くなった私のままで、きっと頑張れる。「もちろん」夏希さんは笑顔で頷いてくれる。それから私の出番の時間になり撮影スタジオに入っていく。「え、あれ杏華さん……?」「うわ、全然雰囲気違う」「脚、長~。さすがモデル」「カッコいい~」スタジオに入ってきた私を見た周りの人たちが、いつもと違う私を見て声を上げる。私はその声を聞いて、嬉しくなって夏希さんと視線を合わし笑い合う。「よろしくお願いします」挨拶をして撮影が始まった。カメラの前に立った瞬間、また新しい私が生まれる。それはその撮影の雰囲気だとか、そういなきゃいけないと意識したわけじゃなく、私が自分自身なりたい姿を思い浮かべる。そうすると自然に、なりたかった私として、カメラの前で自由にポーズを取っている自分がいた。それはどう見られたい、どう魅せたいとか、そういう感情よりも、私にとって意味ある大切なこと。『自己プロデュース』というテーマのこの撮影で、どんな自分になりたいか、どんな自分なら自分が自信を持って胸を張れる自分でいられるか。強く堂々と胸を張って、今の自分が好きだと言える自分。今の私は、そんな自分になれていた。それはこの撮影に参加している五人の中で争うわけじゃない。”五人の中で私という存在は、どんなモデルであるのか”私はそれを大事にしたい。私だから出来る撮影。私というモデルだからこそ必要とされる。そんな”私”という存在が、唯一無二の存在になることが出来れば
「今までにない新しいカッコいい”杏華”が誕生するの、期待してて」夏希さんはそう言って私に微笑む。ずっと願っていた自分になれるかもしれないと、その言葉に私は期待を高める。「最後、生まれ変わるまで、鏡は見ないようにしてね。さっ。始めるよ」ガウンに着替えた私にそう声をかけた夏希さんは、そう言った瞬間、急に顔つきや雰囲気が変わり、プロの表情になる。しっかり私の顔をチェックし、プロの強い眼差しで、メイクをどんどん進めて行く。夏希さんは、今まで担当してもらったどのヘアメイクさんよりも手際がよくて、それでいて肌に触れる手の感覚や温度、どれもがなんだか心地よかった。そしてそれだけでなく、メイク中に話しかけてくれる彼女が作り出す雰囲気、空気感、すべてにおいて緊張がほぐれてリラックス出来た。すべてを預けられるような安心出来る不思議な感覚を、彼女には最初からずっと感じ続けていた。「よし。ヘアと大体メイクは出来たから、衣装これで着てみて」私は、衣装を前にし、少し感慨深くなる。ずっと手に出来なかった服。だけど、ずっと着てみたかった服。今までなら、きっと手にすることもなかったけれど、今は自らそれに手を伸ばす。ようやく着るその服に、やっぱり少し緊張していた。だけど、それは今まで逃げるように避けていた緊張ではなく、新しい扉を開くような、新しい自分に出会える一歩を踏み出すような、そんなワクワクする緊張。今の自分なら、このずっと憧れていた服を着て、強いカッコいい自分になれるのだと、そう信じて願いながら──。その衣装を着ると、自然と背筋が伸び、もう違う自分にその瞬間からなれているような、そんな気になれた。私は姿勢を正し、夏希さんの元へと戻った。そして衣装を着た私を見て、夏希さんは一瞬驚いた表情になったあと、明るい表情になった。「うん。最高にカッコいい。あなたのこのカッコよさは、唯一無二よ」夏希さんのその言葉に、私も自然に笑顔になる。
「今日の撮影? 今日何かあるの?」「実は、今日雑誌の撮影があって、その五人の中のモデルに選ばれてるんですけど、あの海外撮影のときみたいに、自己プロデュースっていうのがテーマなんです」「うん。それで?」「メイクとスタイリングで自分の魅力を最大限に引き出すっていう企画で。本当なら雑誌側でお願いしてもらってたヘアメイクさんがいたはずなんですけど、私の担当さんだけ急にキャンセルされちゃって。それで、自分でヘアメイクさん見つけろって言われて、ずっと探してたんです」「なるほどね~。流れは大体わかった」「あの、すごくいきなりで申し訳ないんですけど、引き受けてもらえないでしょうか!? もう時間なくて、でもせっかくいただいたこのお仕事ムダにしたくなくて! どうかお願いします!」私は必死に気持ちを伝えて頭を下げ、お願いする。「わー! そんなのしなくていいよ! 頭上げて上げて!」顔を上げると、そんな私を笑顔で見ている彼女。「いきなりとか最高なんだけど! もちろん私にそれやらせて!」彼女は興奮しながら嬉しそうに無理なお願いを快諾してくれる。「え! 本当ですか!?」嘘! やった! 本当にやってもらえる!「ちょうど今別の仕事が終わったとこなの。何時でも付き合えるよ!」「ありがとうございます!」私はまた深々と頭を下げ嬉しさと共にお礼を伝える。「じゃあ、私の自己紹介させてもらっていいかな」「あっ、そっか。まだあなたのお名前聞けてなかったですね」「そだよ~。私はあなたを知ってるけどね~」「ですね」「改めまして。私、ヘアメイクの夏希。よろしく!」彼女が、私の前に片手を勢いよく差し出す。「杏華です。よろしくお願いします」その手を握り、握手しながら、自分も彼女に名乗る。この握った手から、なんだかもうすごいパワーをもらえるような、そんな感覚。「時間はあとどれくらいある?
「え! 専属ヘアメイク!?」「そう! あの海外の撮影のときのあなたを見たとき、私のヘアメイクとしての才能やインスピレーションがブワーッて溢れてきたの! 」いきなり告げられたその言葉に、私が驚いていると、彼女はさらに興奮して嬉しそうに伝えてくる。「私を見て、ですか」「そうよ! ド派手に塗りたくられたメイク顔も、それを落とした素顔のあなたも、私にとってはすごく魅力的だった」「え、あれがですか」「うん。あなたは、とても大きな可能性を秘めてる。だけど私なら、もっとあなたの最高の魅力を引き出せるわ!」「最高の魅力……ですか……」彼女は、目をキラキラさせて私をじっと見つめながら笑顔を向ける。「私もね、あのときのあなたを見てカッコいいって思ったの」「まさか──。あのときそんなふうに感じる部分なんてどこにも。逆にカッコ悪いところばっかりだったように思いますけど……」「そうかしら。私が見た限りでは、あなたはピンチをチャンスに変えて、あなたしか出来ないやり方でしっかり闘っていたように見えたけど」「そんなふうに見えてたんですね…」「だけど──。あなた、本当は自分に自信なかったりしない?」「え。そう、です──」「それ。顔に出てる」「え! 嘘!?」彼女の言葉に私は動揺して、思わず両手で顔を隠す。「あぁ~大丈夫。それ普通の人にはわからないレベルだから」さらっと彼女が告げる。「そう……なんですか?」「だけど、私ならあなたに自信も満足感も与えてあげられる」そうハッキリと自信満々に伝える彼女のその言葉に、私はなぜだか違和感も不信感も感じなかった。それどころか、妙に説得力があって、納得してしまうような──。それは彼女のこの元気な明るさからなのか、この勢いなのか。それともこの人の親近感を感じる人柄からなのか、どれが理由かもわからないけど。でもなんだか彼女なら、本当に私をもっと輝かせてくれる
目を覚ました瞬間、強い戸惑いに包まれ、次いで記憶が断片的に一気に押し寄せてくる。 気付けば無意識のうちに私は下腹部をかばっており、鈍い痛みが走った。 そのとき、そばにいた一弥さんの姉の真琴さんが私が目を覚ましたことに気付き、慌てて駆け寄る。 真琴さんは私の手をぎゅっと握り締め、声を震わせながら言った。 「よかった……やっと目を覚ましたのね。お医者さんが言ってたの。急激な精神的ショックと、長期間の心身の抑圧が原因で、切迫流産の状態だって。今は安静が必要よ。……ねぇ、どうして妊娠していること私に言ってくれなかったの?」 「どうして、私は病院にいるの? どうして真琴さんがここにいるの?」
「お姉ちゃん、どうしてあんなことしてバレないと思ってるんだろ」 え……、あんなこと……? バレる……? なんの話……? 「まさか、あいつが俺の知らないところで、男漁りしてるなんて心底見損なったよ」 男漁り……? さっきも、それ言ってたけど……どういうこと……? 「お姉ちゃん、もうそれ病気なの……。一人の男性では満足出来なくて、常に自分の欲望を満たしてくれる男性を探し求めてるの」 ちょっと待って……! あまりにも身に覚えのない酷い綾乃の嘘に私は驚いて言葉を失くす。 「俺もまんまと騙されたよ。まさかずっと清純なフリをしてたなんてな」 酷い……! 一弥さんもどうしてその言葉を信じるの…
「わあ、すごく綺麗なお花!」 綾乃は、私の腕の中に抱えられた花束を、目を輝かせて見つめた。 私は反射的に花束を抱き寄せる。 「この花は……」 言い終える前に、すらりとした長い手が、私の腕の中から花束を奪い取った。 呆然と顔を上げると、そこには桐生一弥の、感情の揺らぎひとつない瞳があった。 彼は、私が心を込めて選んだ――純潔な愛を象徴する白いバラの花束を手にすると、そのまま自然な動作で振り返り、綾乃の前に差し出した。 「誕生日おめでとう、綾乃」 低い声だったが、突然静まり返った個室の中には、はっきりと響き渡った。 綾乃は驚きと喜びの入り混じった表情で花束を受け取り、顔を花びらに
【プロローグ】 初恋は実らないものだ、と人はよく口にする。 私はそれを信じず、初恋の人と結婚した。 結婚三周年記念日。 私は妊娠をした身で、ミシュランに引けを取らないほどのご馳走を並べ、彼の帰りを待っていた。 すると彼から一本のメッセージが届き、ある高級レストランの住所だけが記されていた。貸し切りだと。 ついに彼も気が回るようになったか、サプライズを用意してくれたのかと思った。 ドアを開けた先にあったのは、私の妹・綾乃の誕生日会だった。 その瞬間、私はすべてを悟った。 自分だけが幸せだと思い込んでいたこの結婚は、最初から最後まで私ひとりだけの独り舞台だった。 私はあの子の影