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第3話

作者: ウェン・ジー
「軍営には子供なんて僕しかいなかったんだ。どこから来たのか聞いても答えないし、野良犬じゃなきゃ何なんだ!」

松松も怒りの眼差しを彼に向け、大声で叫んだ。

「母上は医宗の宗主の関門弟子だ。僕たちは助けに来てやったのに、あなたたちは酷すぎる!」

阿沛は怒りで頬を膨らませていた。彼は松松を、そしてそれ以上に陸則聞を激しく嫌っているようだった。

「あなたたちなんか、母上に助けてもらう資格なんてない!」

陸則聞はそれまで呆然としていたが、その言葉を聞くと漆黒の瞳から疑念が消え去った。

「将軍として、医宗の助力には感謝する。だが、松松は俺と妻の子だ。我が子に不当な思いをさせるわけにはいかない。

医宗の顔を立てて、重罰は免じてやろう。ただ、其方の息子が我が子に謝罪すればそれでいい」

彼が松松を庇うのは勝手だが、なぜ私を引き合いに出すのか。まるで私への情が深いかのように見せかけた。

彼の考えは理解できないが、阿沛が理由もなく騒ぎを起こさないことはよく知っている。

「うちの子は理由もなく罵倒されました。謝罪が必要なら、それは将軍の息子の方でしょう」

阿沛は目を潤ませて私を見上げた。

「母上……」

私は彼の頭を撫で、優しく言った。

「阿沛は野良犬なんかじゃない。私の大事な子よ。母上がいる限り、理不尽な目には合わせないわ」

私は生涯、頭を下げ続けてきた。だが私の子供に、同じ道を歩ませる必要はない。

私と阿沛の仲睦まじい様子を見て、松松の目にはなぜか嫉妬と憤りが満ちていた。

「何様のつもり?たかが田舎娘の分際で、将軍の御曹司に謝れだなんて」

姜晚は厚着のせいで動きが鈍く、まるで白熊のようにのっそりと歩いてきた。彼女は私を見据え、その目には深い敵意が宿っていた。

「あなた、この者たちは素性が知れませんわ。さっきこの田舎娘は私に暴言を吐きましたし、今度はあなたを脅そうとしています。きっと間者に違いありません。厳しく取り調べてくださいな!」

「陸将軍」

阿沛が口を開いた。

「母上は血まみれになって、一日中負傷兵を治療している。もし僕らが間者だというなら、立派な服を着てふらふらしているだけの、この醜い女は何なの?」

姜晚は顔色を変え、言葉を詰まらせた。

「なんですって!」

陸則聞は冷ややかに彼を見下ろした。

「彼女と俺の関係について、乳臭い小僧に問い詰められる覚えはない」

姜晚は得意満面だった。

彼は再び私に視線を戻し、語気を強めた。

「御婦人、俺は何があっても息子を守る。其方の息子に謝らせたほうがいい。さもなくば、容赦はしない!」

長らく戦場で殺戮の中に身を置いてきた陸則聞の挙動には、圧倒的な威圧感が満ちていた。

私を見る目には殺意さえ宿っている。私が頭を下げなければ、彼は本当に手にかけるつもりなのだろう。

阿沛はまだ幼く、その目に恐怖を浮かべていた。

胸の奥から無力感が込み上げ、私は思わず笑ってしまった。一年経っても、この父子は相変わらずだ。

「将軍は権力を笠に着て人を虐げることしかできないのですか。昔も今も、善悪の区別もつかないですね。将軍に守りたいものがあるように、私にもあります。歓迎されないのなら、出て行くだけです」

この言葉は、以前にも言ったことがあった。

私と姜晚の間で、彼はいつも理非を問わず彼女を庇った。私はまるで生まれながらの罪人のようで、何があっても私が悪者にされた。

彼と離縁を決めた時、私は冷え切った心で告げたものだ。

「陸則聞、あなたに偏愛があるように、私にもあります。これからはもう、あなたも松松も愛しません。私は自分自身を愛することにします。

謝れと言うのならお断りします。私に非はありませんし、間違っていないことに対して謝罪するつもりもありません」

陸則聞は何かを思い出したようで、瞬時に顔色を曇らせた。

「言ったはずだ。誰も松松を虐げることは許さん。そうでなければ、亡き妻に顔向けができぬ。息子に謝罪させぬなら、其方を投獄するしかない!」

すると松松が逆上し、突然走り寄ってきて阿沛を蹴り飛ばした。

「どうしてお前には可愛がってくれる母親がいるんだよ!お前なんか野良犬だ。母親がいるなんて許せない!

僕だって以前は母上に可愛がってもらってたんだぞ。僕に母上がいないからって、みんなで僕をいじめるんだ!」

松松は嫉妬と悔しさを爆発させ、私を睨みつけると、思い切り腕に噛みついた。

「お前の母上がどんな顔か見てやる!どうせとんでもない醜女に決まってる!」

そう言うと、彼は私の不意をついて顔の覆い布を剥ぎ取った。

次の瞬間、骨の髄まで見覚えのある顔が、衆人環視の中に晒された――

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