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第4話

Auteur: ユキ
それからの数日、聖は言葉通り病院に泊まり込んだ。

毎日決まった時間に現れ、消化の良い粥を用意し、薬を交換し、夜中に鹿乃子が痛みで目を覚ますと、無言で手を握ってくれさえした。

以前の鹿乃子なら狂喜乱舞していただろう。だが今、彼女の心にあるのは荒涼とした虚無感だけだった。

六年間の恋心が、冷める時は一瞬なのだと思い知った。

退院の日、駐車場に行くと、聖の車の助手席に梨花が座っていた。

梨花は彼女を見ると、不満げに横目を向けた。

聖が眉をひそめる。

「梨花、前に言ったことを忘れたのか?」

梨花は唇を噛み、目を潤ませて渋々口を開いた。

「お義姉さん、ごめんなさい……あの時はカッとなって。

兄さんが結婚してから、何年も会ってくれなくて、お義姉さんにばかり構うから、それで腹が立って……もうこんな事はしないわ」

聖は鹿乃子を振り返り、平坦な口調で言った。

「梨花がしばらく家に住みたいと言っている。これからは仲良くしてくれ」

帰りの車中、聖と梨花が前の席に座った。

鹿乃子は窓際に寄りかかり、飛ぶように過ぎ去る景色を無言で見つめていた。

視界の端には、聖の横顔が見え続けている。

常に冷静沈着な彼だが、今はその視線が頻繁に梨花に向けられていた。

梨花はスマホをいじっていたが、突然吹き出した。

「ねえ兄さん、この人かっこよくない?さっきライン交換したんだけど」

ハンドルを握る聖の指が強張った。冷たく低い声が出る。

「削除しろ」

「なんで?」

梨花が唇を尖らせる。

「私もう二十歳過ぎてるのよ?恋愛もしちゃ駄目なの?」

「削除しろと言っている」

彼の口調には有無を言わせぬ響きがあった。

梨花は不満そうにしながらも、大人しく削除し、小声で文句を言った。

「兄さんってば、厳しいんだから……」

聖は何も答えなかったが、鹿乃子には彼のアゴのラインが強張っているのが見えた。

彼は嫉妬しているのだ。

帰宅後、鹿乃子は夕食も取らずに部屋へ戻った。

外から食器が触れ合う音、梨花のケラケラ笑う声、映画の甘いBGMが聞こえてくる……

それは彼女と聖の二年の結婚生活で、一度としてなかった「家庭の温もり」だった。

彼女は布団に顔を埋めた。心臓が辛く痛んだ。

どれくらい時間が経っただろう。外の音が静まり返った。

喉が渇いた鹿乃子は水を飲もうと起き上がった。

しかし、部屋のドアを開けた瞬間、彼女はその場で凍りついた——

月明かりが差し込むリビングで、聖がソファの側にしゃがみ込み、眠っている梨花をじっと見つめていた。

普段は冒涜を許さぬ神のような彼が、今、自分の神を崇めるように見つめている。

梨花がふいに身じろぎし、寝ぼけ眼で彼の首に腕を絡めた。甘い声で呟く。

「兄さん、梨花を捨てないで……梨花を可愛がってくれるのは兄さんだけ……」

無意識に彼の首を引き寄せる。

二人の唇が、偶然触れ合った——

聖の瞳が揺れ、呼吸が乱れた。

次の瞬間、彼はついに最後の理性の糸を切ったかのように、抑えきれず、激しく彼女に口づけた。

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