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第1155話

Penulis: 風羽
医師からは一週間の入院を勧められていたが彰人は三日で退院した。

退院すると、その足で莫高チップへ戻った。

莫高チップはこの二年で急成長を遂げ、いまや国内の新エネルギー車メーカーにとっては、ほぼ第一選択といえる存在になっている。

その日も午後四時まで仕事をしていると、モナが入ってきて、声を落として言った。

「社長、万信の松山社長から、ビジネスディナーのお誘いです」

彰人はデスクの向こうに腰掛けていた。

白いシャツに、きっちりとした襟元。そこから覗く首筋がやけに色気を帯びている。

――ビジネスディナー。

その意味を彼が分からないはずがなかった。

食事のあとは、たいていクラブへ流れ、歌って飲んで遊ぶ。

若い女の子がつくのも、半ばお約束だ。

かつて、メディアの社長だった頃の彰人なら、こうした席には出なかった。

だが莫高はまだ成長期にある。多少は相手の顔を立てる必要もある。

モナを見て、少し考え――

「分かった。受けておいてくれ」

モナは頷き、手配に向かった。

彰人は彼女の背中を見送ってから、しばらくして机の上の写真立てを手に取った。

春の陽気の中で撮った一枚。
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