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第1213話

Author: 風羽
車が屋敷に到着すると、願乃は先にドアを開けて降りようとした。

だがその瞬間、男がそっと彼女の細い手首を押さえる。

低く落ち着いた声が響いた。

「せっかく来たんだ。清席の顔を見ていってもいいだろう。気がつけば、もう二年も会っていない。写真でしか見ていないんだ」

願乃は冷たい人間ではない。

彰人との間に、取り返しのつかない憎しみがあるわけでもない。

少し考えてから静かに頷いた。

二人は車を降りる。

彰人は手土産を持っていた。

結代へのものは明らかに高価な品で、清席には国内では手に入らない限定のレゴセットだった。

夜は更け、屋敷の中にはところどころ橙色の灯りがともっている。

雨の夜に、どこか温もりを帯びていた。

使用人が願乃の帰宅に気づき、続いて彰人の姿を見た瞬間、思わず声を詰まらせる。

「ひ、氷室様……お、お帰りでございますか?」

彰人は穏やかに頷いた。

「ええ、戻った。この数年、願乃と子どもたちのことを見てくれて、本当にありがとう」

その口調は丁寧で、しかしどこか自然にこの家の主人のものだった。

使用人の顔がぱっと明るくなる。

「いえいえ、とんでもござ
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