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第1248話

Author: 風羽
願乃は相変わらず毎日出社していた。

一方の彰人は家で清席の面倒を見る。

役割分担ははっきりしている。

時折、彼はメディアまで願乃を迎えに来ることもあった。

だが決して社内には踏み込まず、階段前に車を停めるだけ。

――誰の目にも入る場所に。

退社してくる社員たちに見せつけるように。

自分が迎えに来ていることを。

そして――自分が願乃の正式な相手であることを。

最上階、社長室。

雅南がブラインドを少し開けて下を覗く。

黒いロールス・ロイスが一台。

ひときわ目立っていた。

「男の小細工って、怖いですね」

三度目の迎えだ。

願乃は書類に目を落としたまま、顔も上げない。

「まだ序の口よ。あの人、頭の中は全部計算だから。昔は若くて、顔しか見てなかったのよね。あれこれ全部キラキラして見えて……目が眩んでた」

さらりと言いながら、ペンを走らせる。

「だから結代には、いろんな人を見てほしいの。ちゃんと比べて、自分で選ばないと――私みたいになるわ」

雅南はくすりと笑った。

窓の外、小さく見える人影に目をやりながら思う。

――それでも結局、あの人には敵わない。

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