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第189話

風羽
立都市の雪が、ようやく溶けた。

午前——

黒塗りの車が十台ほど、一列になって走り抜け、舞と葉山祖母を雲城市の伊野家別邸へ送り届けた。

かつて京介が舞を周防家へ迎え入れたように——今日という日は、その逆を辿る日。

それは、葉山祖母のただひとつの願いだった。

たとえ夫婦の縁が終わろうとも、舞は正式に娶られた、堂々たる嫁だったのだ。

ぴかぴかに磨かれた黒い車列が、ゆっくりと伊野家の邸宅へと入っていく。

その静かな車内で、京介は何も言わずに舞を見つめた。

ふと、そっと手を伸ばして、彼女のお腹に触れた。

そこには、ふたりの子供が息づいている。

やがて彼は彼女の手を取り、愛おしむように、長い間その手を握っていた。

——どれほど未練があっても、手放さなければならない。

葉山祖母との約束があるのだ。

舞を、自由にすると誓ったのだから。

葉山祖母が、舞を連れて戻ってきた。

玄関先では、伊野夫妻がすでに待ち構えていた。

清花は目に涙を浮かべ、舞をぎゅっと抱きしめ、葉山祖母の手を握って嗚咽した。

「おばあさん……何度感謝しても足りません……」

葉山祖母は竹籠を手に笑った。
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Kommentare (1)
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良香
父ちゃんやっぱちゃんとしてる。お祖父様が後継者に選んだのも分かる気がする。 確かに凡庸かもしれんが、心の機微はキチンと見えてるもんね。
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