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第799話

Author: 風羽
実際には、あれはスキャンダルではなかった。

あくまでビジネス目的の晩餐会。

画面の中、澪安は三つ揃えのスーツを纏い、端正で隙のない美しさをまとっていた。

その隣では、恬奈がしっかりと彼の腕に手を添え、シンガポール企業の重役らしき中年男性と談笑している。

音声は消されていなかった。

恬奈は時に英語で、時に流暢なフランス語で、滑らかに会話を繋いでいく。

ビジネスの最前線で、まるで舞台の主役のように。

澪安は横で微笑み、彼女を見て穏やかに頷いていた。

その目には、確かな評価の色。

――当然だ。

慕美は理解できる。

理解できるのに、胸がひりりと痛んだ。

彼のひと言を受けて、彼に恥をかかせたくなくて、彼の隣に立てる人間になりたくて、慕美は二晩、睡魔と戦いながら英語を覚えた。

けれど、恬奈のように多言語を軽やかに操る姿を見ると、自分が滑稽に思えた。

――自分みたいなのが、あの場所に立てると思ったなんて……

慕美、あなたって本当に可笑しい。

怒ることすら許されないのだろうか。

器が小さいと思われたら終わりだ。

でも――本当に、何も感じてはいけないの?

周防家は大
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