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第884話

Author: 風羽
一時間ほどして、数台の車列が前後して広大な邸宅へと入っていった。

思わず、翔雅は口をぽかんと開けた。

――桁が違う。

ここはベルリン、それも一等地。

二千平方メートルの邸宅など、いったいいくらするのか。

道路を挟んだ向かいは、楓人の勤務先でもある。

「お前、ベルリンの家、何平方メートルだっけ?」

翔雅が肘でつつくと、楓人は車を降りながら薄いコートの襟を整えた。

「百四十平」

それでもこの邸宅を前にすれば霞んで見える。

澪安が二千平米を即金で買い、しかも三日以内に住める状態に整えたなど、常識の範疇にない。

澪安は慕美を支えながら淡々と言った。

「一週間前に来る日程が決まったから、智朗に市価の二割増しで買わせた。三日前に前の所有者が出た。家具は全部入れ替えてある」

大事なのはただ一つ。

――慕美が、少しでも楽に過ごせること。

彼女は昔、あまりに多くを背負ってきた。

だからこそ、今は何もかもを気にせず休ませたい――その想いだけだった。

けれど慕美は、逆に不安を覚えた。

あまりの贅沢に、身が縮むようだ。

「病院でも、よかったのに」

歩みを止めた澪安は、彼
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