Share

第324話

Author: 心の底
一方その頃。

潤と莉亜の裁判が終わってから、美琴はほぼ毎日彼のそばにいた。

「一体いつになったら私のために結婚式をやってくれるの?もう小鳥遊さんと無関係な人間になったでしょ?」

どうせ潤と莉亜は表の関係も清算したから、美琴がこれから話す時に、彼の気持ちを考える必要もなかった。

「前に、あなたたちの関係が完全に終わったら、私と結婚式をやるって言ったじゃない……今さら前言撤回するつもりなの?」

美琴に執拗にそう言われると、潤はついにぶち切れた。「結婚式って?今の俺の状況を見てみろよ、そんな気になるわけがないだろ!」

莉亜との裁判してから、自分の財産の四分の一しか残っていない。会社の拡張する計画など、すべての事業が中断された。

会社の資金は激減し、しかも彼は浮気したため、外部の評判は非常に悪く、株価も下落し続けている。

今の潤に、結婚式どころの話ではなかった。

彼がそう言うのを聞いて、美琴は信じられないといった様子で彼を睨みつけた。「じゃあ、今までの言葉は全部私をごまかすためだったのね!

前にあなたが言ったじゃない、小鳥遊さんとのことを処理してから、私と結婚式やるって!
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • 私の代役を愛したことを一生後悔すればいい   第324話

    一方その頃。潤と莉亜の裁判が終わってから、美琴はほぼ毎日彼のそばにいた。「一体いつになったら私のために結婚式をやってくれるの?もう小鳥遊さんと無関係な人間になったでしょ?」どうせ潤と莉亜は表の関係も清算したから、美琴がこれから話す時に、彼の気持ちを考える必要もなかった。「前に、あなたたちの関係が完全に終わったら、私と結婚式をやるって言ったじゃない……今さら前言撤回するつもりなの?」美琴に執拗にそう言われると、潤はついにぶち切れた。「結婚式って?今の俺の状況を見てみろよ、そんな気になるわけがないだろ!」莉亜との裁判してから、自分の財産の四分の一しか残っていない。会社の拡張する計画など、すべての事業が中断された。会社の資金は激減し、しかも彼は浮気したため、外部の評判は非常に悪く、株価も下落し続けている。今の潤に、結婚式どころの話ではなかった。彼がそう言うのを聞いて、美琴は信じられないといった様子で彼を睨みつけた。「じゃあ、今までの言葉は全部私をごまかすためだったのね!前にあなたが言ったじゃない、小鳥遊さんとのことを処理してから、私と結婚式やるって! もし今お金はほとんど残っていないって言うなら、私だって手持ちのお金を全部あなたに渡したのに、結局あなたはそんな理由で私を適当に扱っているのね!」美琴は自分のお腹を押さえながら、潤に大声で叫んだ。潤は彼女を一瞥し、次に彼女の腹を見て、争うのも面倒になり、上着と鍵を掴んで立ち上がり、その場を去った。美琴はリビングに立ち尽くし、潤が去っていく方向をぼんやりと見つめた。激しくドアが閉まる音がして、彼女はようやく我に返った。ダメだ、何とかして潤と早く結婚式を挙げなければ……あの二人の裁判はもうずいぶん経った。自分のお腹は大きくなってきている。これ以上経ったら、ウェディングドレスなんて着られなくなってしまう。美琴はしばらく考えた末、結局姑のほうに頼むことにした。彼女は荷物をまとめて、直接薫子の家へ向かった。ドアを開けた瞬間、彼女は悲鳴を上げた。なんと薫子が床に倒れており、完全に意識を失っていたのだ。一方、朔也はすぐに電話を受けた。薫子が倒れて意識を失い、病院に搬送されたという。その知らせを聞いた瞬間、朔也はわずかに眉をひそめた。最初は、薫子が自分

  • 私の代役を愛したことを一生後悔すればいい   第323話

    莉亜は一瞬ぽかんとしてから、あの日の交流会でのやり取りを思い出し、彼がその時の呼び方で自分をからかっていると気づいた。莉亜は仕方なさそうに彼を睨んだ。「その話は二度としないで!」あの交流会のことを思い出すたびに、莉亜はあのお年寄りたちが自分をまさか体が不自由な人間だと思っていたことを思い出してしまうのだ。あの日、朝起きられずに朔也に食堂へ連れて行かれ、目を閉じたまま彼にご飯を食べさせてもらっただけなのに!どうして他人の耳に入ると、朔也の奥さんは体が不自由だということになってしまうのか……莉亜が膨れっ面をしているのを見て、朔也は彼女の頬をつまんだ。「怒らないでよ。ただの小さな誤解だったんだから」翌日、莉亜は廊下でお年寄りたちが小さな畑を作る話をしているのを耳にした。リゾートの裏手には大きな空き地があり、もともと公園を作ってお年寄りたちの休憩する場にしようとしたが、工事の騒音で睡眠の妨げになるという理由で計画は頓挫していた。彼らはこの空き地をそのままにしていおくのはもったいないと感じ、利用して野菜を作ろうかと話し合っていた。莉亜は彼らの計画を聞き、自分も最近退屈していたので、思い切って言った。「私も手伝っていいですか?」他のお年寄りたちは、莉亜が若いのであまり信用していなかったが、それでも参加してもいいと頷いた。しかし莉亜は野菜作りについてはまったくの素人だった。初日に畑仕事をした結果、すぐに邪魔をしてしまい、植えた種は誰かに掘り起こされて、植え直されることになった。それを聞きつけた朔也が駆けつけて、彼女の後始末をしてくれた。朔也が忙しそうに手伝う姿を見て、莉亜の心に温かいものが湧き上がった。男性に頼るというのは、こういう感覚なのだと初めて知った。お年寄りたちは、基本的に二人を夫婦だと思い込んでいた。最初のうち、莉亜は説明しようとしたが、前回の交流会の一件以来、他の誰かに朔也を狙われたくないという思いから、次第にそのままにしておくことにした。莉亜が部屋に戻ってきてドアを開けると、ちょうどバスルームから出てきた朔也と鉢合わせした。朔也は作業を終えて、先に戻ってシャワーを浴びていたのだが、莉亜の姿が見えなかったので、メッセージを送ってから戻ってきたところだった。彼は何も着ておらず、二人は互いに見

  • 私の代役を愛したことを一生後悔すればいい   第322話

    朔也は一日中忙しく働き、少しでも早く帰って莉亜に会おうとしていたのに、帰って早々に彼女の八つ当たりを食らう羽目になった。彼はその場で一秒ほど考え込んでから、ようやく思い当たった。どうやら自分がダウンロードしてやったドラマのせいでこうなったのだろう。朔也は呆れた表情で言った。「君は俺に、全く信頼もないのか?」まさか自分がああいう男たちと同じだと思うとは。この時、莉亜はドラマを見て、すっかり悲しみに浸っていた。もともとドラマの主人公には婚約者がいたが、事故のせいで別の女の子を好きになってしまった。婚約者とその女の子は互いの存在を知らず、しかしその男が本当に愛しているのはその女の子だった。彼女は知らぬ間に不倫相手になってしまう……莉亜は見れば見るほど悲しくなった。「彼女は何も悪いことをしていないのに、たくさんの人に罵られて、それにこのクズ男は記憶喪失になって何も覚えていないのよ」見ているうちに、莉亜はまた枕を拾い上げて朔也に投げつけた。朔也は仕方なく、二つの枕を拾い上げて、叩いて埃を落としてからベッドに戻した。「君の気晴らしにこのドラマをダウンロードしてやったのに、まさか本気で夢中になるとはな」彼はベッドの端に腰掛け、莉亜と一緒に見始めた。莉亜が悲しいシーンを見るとすぐに彼を叩いても、彼は気にしなかった。しかし、このことから、莉亜にはやはり乙女の心が残っていることが分かった。すると、朔也の心の中に、新たな計画が浮かんだ。二日後、莉亜の体調が少し良くなったのを見計らい、朔也が提案した。「今夜、外で特別なイベントがあるんだ。君を連れて遊びに行きたいんだが、どうする?」「もう外出許可は取ってあるの?」莉亜は顔を上げて彼を見た。朔也は頷いた。「もちろん。君を連れて遊びに行くなら、そういうことはちゃんと整えておくさ」「じゃあ、着替えてから行きましょ」二日が経ち、莉亜はあのドラマを最後まで見終えた。最後に主人公二人が一緒になったので、ようやく怒りが収まった。朔也は、リゾートの敷地の近くに人工湖があり、普段は人通りが少なく、誰も来ないのだと聞いた。しかし夜になると景色がなかなか良く、莉亜を連れて散歩したかったのだ。莉亜は湖に対してまだ抵抗があったが、朔也がそばにいてくれたので、必死に呼吸を整え、平静

  • 私の代役を愛したことを一生後悔すればいい   第321話

    しかし翌朝、ぼんやりと目を覚ますと、朔也がベッドのそばで自分をじっと見つめているのが目に入った。莉亜は驚いて飛び上がり、目をこすった。すると朔也がすぐに顔を寄せて尋ねた。「どうした?くまができているぞ?」莉亜がまだ反応する間もなく、彼はさらに声を潜めて言った。「まさか……欲求不満じゃないよね?」その言葉が朔也の口から出てくると、何だか人の心をくすぐったような感覚を覚える。莉亜は聞いた瞬間、顔が真っ赤になった。「何を馬鹿なこと言ってるのよ!」そう言って、朔也を力いっぱい押しのけた。「ただ、ちょっと寝床が変わったせいで眠れなかっただけよ……」「その言い訳、ここに泊ったばかりの時に使ってくれたら信じたけどな。もう一週間もここに泊っているんだぞ」朔也は余裕の表情で莉亜を見つめた。つまりは彼女の言い訳を微塵も信じていないということだ。莉亜はしばらく彼を見つめ、これ以上彼とこの問題を議論することをきっぱりと諦め、こう言った。「もういいわ。今日は会社に行くんじゃなかったの?行きなさいよ……」話題を変えて、彼とこれ以上話すのを避けたかっただけだ。しかし朔也はさらに近づいてきて、彼女の頬にこっそりとキスをし、笑いながら言った。「どうした?少し言われただけで照れるのか?昨夜はそんなに……」「早く行って!」莉亜はからかわれて、顔が真っ赤になった。昨夜、危うく彼にその気にさせられそうになったことを認めるはずがないだろう? いや、もうその誘惑は見事に成功したと言うべきか。そうでなければ、あの時なぜあんな感覚になったのか説明がつかない。しかし朔也の前で、莉亜がそれを認めることは絶対になかった。朔也は腕時計を一瞥し、名残惜しそうに彼女に言った。「分かった、確かに会議に行かないとね。このタブレットを置いておくよ」高齢者の療養リゾートのテレビで放送されているのは、ほとんどが昔のドラマばかりだ。ご老人たちは流行に関心がないから、朔也は莉亜がここで退屈しないか心配し、今の人気アイドルが演じたドラマをダウンロードしたタブレットを用意してやったのだ。莉亜は眉をひそめた。「なんだか、もうここで隠居生活を始めたみたいな気分だわ」「今すぐ隠居しても、止める者は誰もいないさ。もう大金持ちなんだからな」朔也は最近、莉亜の資産の整理

  • 私の代役を愛したことを一生後悔すればいい   第320話

    「お嬢ちゃん、大丈夫だったの?」「そうよ、私たちてっきり君は……」「でも、それならよかったわ。体が問題なくてよかったよ……」周りの言葉に、莉亜は少々気まずそうに鼻の先をすこし触った。「すみません、おじいさん、おばあさん。数日前は本当に体が弱っていて、朝も起きられなかったんです。それで夫が無理やり食堂に連れて行って食事をさせようとしたもので、皆さんを驚かせてしまいました」さっきの老人が言った言葉は、莉亜はすべて聞こえていた。しかし、大勢の前で彼と同じようにみっともない真似はしたくなかった。あの人は本当に自分が体が不自由だと思い込み、自分が朔也の足手まといになっていると考えたからこそ、ああいう態度を取ったのだろう。莉亜が彼の言ったことを気にする必要はない。彼女はそう言いながら、朔也の腕を取った。「ねえ、あなたのせいよ。皆の前でご飯を食べさせないでって言ったのに、それでもやるんだから」朔也は彼女がそう言うのを聞いて、心の中で興奮した。「分かったよ。もう二度としない。だが、皆さんに誤解させて、申し訳ありません」これは交流会における、ただの小さな出来事に過ぎなかった。しかし夜、病室に戻ると、莉亜は突然朔也にベッドの上に押さえつけられた。さっきの交流会で莉亜が独占欲に満ちた言葉を口にしたとき、朔也の心臓は興奮でドキドキしていた。二人が知り合って以来、莉亜が初めて自分に対するその想いをはっきりと示したのだ。あのおじいさんの言葉が彼女を刺激したのかもしれない。二人は最近、同じ部屋で暮らして、何度も親密な接触があったが、莉亜の態度は一向に緩まなかった。それが朔也にも不安を抱かせていた。莉亜は本当に自分のことを好きではないから、なかなか関係をはっきりさせようとしないのではないか?朔也はそっと身をかがめ、莉亜の耳に軽く口づけた。そしてゆっくりと頬、鼻先へと移り、最後に彼女の唇に落ちた。「今日、君がああ言ってくれて、とても嬉しかった」朔也が自らその話題を切り出した。莉亜は目を見開いて彼を見つめた。「どうして急にそんなことを言うの?」「……ただ、君に伝えたかっただけだ」これ以上言えば、また莉亜が怒り出すことを知っていたので、朔也は潔くその話題を切り上げ、彼女の唇を塞いだ。莉亜の手も

  • 私の代役を愛したことを一生後悔すればいい   第319話

    彼が低く響く声で歌うと、大人の男の魅力が一層引き立った。それに、歌いながら朔也がマイクを手に、直接莉亜の前に歩み寄った。彼はその中でも特に情熱的で切ない歌詞の部分を、莉亜の前で歌いあげた。莉亜は目の前の彼を見つめ、胸に複雑な感情が込み上げた。自分が誰かの一番愛する人間になったなんて、考えたこともなかった。幼い頃から潤を知っていたが、彼が最初に追いかけてきた時、そんな錯覚を与えてきたことがある。しかし後にあれはただシャボン玉に過ぎなかったのだと気づいた。潤は彼女を愛してなどいなかった。もっとはっきり言えば、彼は誰も愛したことがなかったのだろう。そうでなければ、たった三年海外にいただけで、どうして潤が他の女と関係を持つなどということがあり得ないだろう。たとえ美琴と一緒になることを決めても、なぜ莉亜の両親が残した資産を理由に別れを許さなかったのか。だからこそ、朔也が自分の前で愛の歌を歌いあげるのを見て、莉亜の涙は溢れ落ちた。彼女は自分の顔を覆った。周りの人々は莉亜がただ照れているだけだと思い、思わず熱烈な拍手を送ってきた。莉亜だけが知っていた。今、彼女の頭の中にあるのは、かつて潤が自分を追いかけてきた記憶だけだった。あの時、彼女は思った。この男がこれほど自分を熱く愛してくれているのなら、彼とはもう二度と別れなど訪れないのではないかと。しかし結果は、莉亜の期待を完璧に裏切った。朔也が彼女の前に現れ、自分と一緒になりたいと言った時も、莉亜はまだ誰かが自分にそうしてくれることを信じることができなかった。莉亜はとっくに恋愛なんて信じていなかったのだ。今、朔也が彼女の前にいて、彼を見つめながらも、莉亜の心には不思議な期待が湧き上がっていた。もしかしたら、今回は本当に違うのかもしれない……朔也が歌い終わって、舞台上に戻ろうとした時、途中で一人のお年寄りに引き止められた。一人のおじいさんだった。おじいさんはにこにこと朔也に言った。「あんた、奥さんは体が不自由なんだろ?だったら離婚しなさいよ。うちの娘はかなりいいんだよ!」そのおじいさんはそう言いながら、朔也をじっと見つめた。実は先日、朔也が莉亜を連れて食堂に来た時から、彼はこの若者を観察していたのだ。自分の娘はもう三十歳近いのにまだ嫁

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status