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110話

作者: 籘裏美馬
last update 公開日: 2026-03-20 18:38:37

扉から入って来たのは、くたびれたような容貌の男──田島だった。

田島は、何故自分がここに呼ばれたのか良く分かっていなかったのだろう。

不安気な表情で俯き気味に部屋に入って来たが、奥のデスクに座っている髙野辺の顔を見た瞬間、田島の目が驚きにじわじわと見開かれていく。

「では、社長。私はここで失礼します」

「ああ、ご苦労だった」

田島を案内してくれた蒔田は、髙野辺に頭を下げて一礼するとすぐに社長室を退出する。

そんな蒔田の姿と、デスクに座っている髙野辺を戸惑いつつ交互に見やっていた田島は、状況が分からない、と言うように「え?え……?」と声を漏らす。

髙野辺は苦笑いを浮かべつつ、その場に立ち上がりソファに座るよう田島に促した。

「田島さん、突然呼び出してすまない。まずは掛けてくれ」

「えっ、あ……は、はい!失礼します!」

髙野辺にソファを案内された田島は、慌ててソファに向かって歩き、座る。

(ま、待て待て待て……!ここって髙守株式会社の子会社、TK株式会社だよな……!?デザイン関係を専門的に扱っている、国内でも有名なデザイン会社……その会社の社長!?この人が!?)

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