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1.幼なじみとハムスター③

Author: 鷹槻れん
last update publish date: 2026-07-21 03:16:34

 結局、あの日想そうから打診されたハムスターは、数日と待たずに結葉ゆいはのところ――小林家――にやってきた。

「お母さん、この子、ゴールデンハムスターって言うんだって」

 白にオレンジ色の模様が入った、10センチくらいの大きさのマスコットみたいなそのハムスターは、短くて毛のない尻尾と、ネズミらしい小さな丸耳、そうして真ん丸な黒目がとても愛らしくて。

 赤ちゃんと言うには少しばかり大きく育ち過ぎていたそのオスのハムスターは、それでもまだあと5センチくらいは大きくなるらしい。

 結葉ゆいはは両親と相談してこのハムスターに〝福助ふくすけ〟という名前を付けた。

 後ろ足が2本とも白くて、まるで靴下を履いているように見えたから、有名な靴下メーカーから名前を拝借した形。

「福助ぇ〜。ご飯だよ〜」

 この家に福助をお迎えした時に芹せりから分けてもらったハムスター用フードと、結葉ゆいはが仕事帰りに買い足してきたフードとを混ぜて与えてみる。

 食べ慣れてないものを混ぜたから警戒しちゃうかな?と心配した結葉ゆいはだったけれど、当の福助は一向に意に介した風もなく、どちらも分け隔てなく頬袋にモリモリ詰め込んでいく。

「ハムスターといえばひまわりの種って思ってたけど……たくさんあげたらダメなのねぇ」

 生き物をお迎えするのは初めてだったから、今日結葉ゆいはは昼休みに会社近くの本屋さんに出向いてハムスターの飼育マニュアルを買ってきた。

 それをパラパラめくりながらそう言ってきたのは、結葉ゆいはの母美鳥みどりだ。

 ちなみに今、父茂雄しげおは、ひとりのんびりお風呂に浸かっていて、ここにはいない。

「ゴールデンだと1日に1個が適量って書いてあるんだけど! ゆいちゃん、知ってた?」

 美鳥みどりは娘の結葉ゆいはのことを基本的には〝ゆいちゃん〟と呼ぶ。

「私もさっき読んで驚いたところ〜」

 ハムスターが出てくる漫画などを見ると、表紙絵でハムスターがひまわりの種を手にしているものが多かったりするから、結葉ゆいはは何ならひまわりの種が主食かしら?ぐらいに思っていた。

 けれど、実際は違っているのだと本で知って、イメージって怖いなと実感した。

 とりあえず本日の貴重な1個を福助にそっと差し出すと、一瞬動きを止めてから結葉ゆいはの指先の種をじっと見つめて、パクッとくわえるや否や器用に手を使って頬袋に収納してしまった。

(すぐに食べてくれるかな?って期待したんだけどなぁ〜、残念!)

 とか何とか結葉ゆいはが思っているのなんて、福助には関係のない話だ。

 きっと、巣箱の中に持ち込んでゆっくり食べるつもりなんだろう。

***

「そういえば……その本にも書いてあったんだけど……動物病院を探しておかなきゃいけないよね」

 小林家では生き物を飼うこと自体が初めてだから、懇意にしている動物病院なんてない。

 何かあってから慌てたくないなと思って。

 巣の中に入っていく福助の可愛いお尻を見守りながらつぶやいたら、美鳥みどりが「隣町に評判のいい動物病院が出来たらしいわよ」と言ってきた。

「ベテラン先生?」

 何となくだけど、経験値の高い年配の先生だったら安心だなとか思ってしまった結葉ゆいはだ。

 でも母親から返ってきたのは、

「それがね、若いイケメン先生らしいのよ」

 という予想外のものだった。

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Comments (1)
goodnovel comment avatar
ハムハム
若いイケメン先生!? もしかして新しい出会い? っていうかまさかその彼が…
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