LOGIN第4話
「そんなに急ぐのか?普通はまずローションを塗って、拡張とかするもんじゃないのか」
颯斗は頭が真っ白になり、練の目を見つめていると、欲望がめらめらと燃え上がった。
「くだらない話が多すぎるんだよ!」
練は苛立たしげに舌打ちし、話すのも面倒だという表情で、颯斗の勃ち上がった肉茎を支え、自身のアナルに当てがうと、勢いよく腰を落とす。
颯斗は「ひっ」と息を呑んだ。強烈な快感が一瞬で背骨を貫き、危うく堪えきれずに射精しそうになる。
練は「あっ」と低く喘ぎ、四肢の筋肉がこわばり、狭い蕾が必死に収縮して、颯斗の頭皮をぞくぞくと痺れさせた。
「締めるな、これ以上締められたらイっちまう!」
颯斗の両手はいつの間にか力が戻り、練の引き締まった尻肉を掴んだ。食い込んだ十指はあまりに力が入りすぎて、締め付けた跡が残るほどだった。彼は力の限りその二つの臀丘を両側に押し広げ、アナルをできるだけ大きく開かせ、自身の性器がより深く挿入できるようにした。
「我慢するな、思う存分奥まで突け、激しくヤれ」
練はまだ満足していないかのように首を仰け反らせ、喉仏が絶えず上下に動いた。
「これはお前の潜在意識だ。どんなにヤっても死にはしない」
颯斗は気持ちよすぎて思わず悪態をついた。頭はとっくにぐちゃぐちゃになっていた。
こんなことがあっていいのか、これでどうやって我慢しろと言うのだ?
「もうどうにでもなれ!」
ここにきて、颯斗は完全に箍が外れ、練の尻を掴んで奥深くへと激しく突き上げ、力任せに突き始めた。
「そう、それでいい……あああっ……」
練は突き上げられて声の調子が狂い、制服のボタンが上下の激しい揺れの中で弾け飛び、隅へと飛んでいった。
太く逞しい凶器が柔らかい皺穴を何度も出入りし、濡れた媚肉を抉り出す。その熱い甬道を突き破り、最も敏感な急所まで届かせようとでもするかのように。睾丸がその丸々とした尻肉を容赦なく打ちつけ、生々しい肉体の衝突音を立て、ひりひりするような赤い跡を残した。
颯斗は大きく荒い息を吐きながら、両目で練をじっと見つめた。そのわずかに吊り上がった嫣然とした目尻に心を奪われ、思わず舌先を伸ばし、睫毛にぶら下がる涙の雫を吸い取った。
しょっぱい、そして一筋の色香を帯びていた。
その瞬間、颯斗は何かに取り憑かれたかのように、練を抱きかかえて椅子から立ち上がった。
「何す……」
練は驚き、反応する間もなく、またもや激しく突き上げられ、「ああっ」と泣き声混じりの声が漏れた。
颯斗は抽挿を止めず、腕の中の男を揺らしながら取調室の机へと向かった。
この体位は性器を未だかつてない深さまで到達させることができる。練はまるで救いの藁にでもすがるかのように、颯斗の背中にしがみついた。
吊り下げ灯が揺れで激しく震え、薄暗い光が狭い取調室の中で乱雑に揺らめく。光と影が二人の肉体にまだらに交差す。
現実と荒唐、理性と狂気が完全にずれて、颯斗は一瞬、幻覚剤をキメたかのような興奮を覚えた。
がらがらという音とともに、机の上の資料や書類がことごとく床に掃き落とされ、練は机の上に横たわった。両脚は恥も知らず颯斗に向かって大きく開かれ、腰と尻は宙に浮いている。その方が颯斗が入りやすいからだ。
一方の颯斗は、絶頂が近いことを予感し、いっそ両手でその引き締まった腰を掴み、一心不乱に激しく抽挿した。
外の砲火の音はまるで情欲の触媒のようで、取調室の二人の交わりをますます激しく、狂おしいものにさせた。
「イクッ!」
颯斗は荒い息を吐きながら、最後のスパートをかけた。
「抜かないで……」
練は突き上げられて声が途切れ、断続的に命令した。
「中に……出して」
颯斗は嗄れてざらついた声で、力強く腰を突き上げると、体がビクンと震え、粘り気のある白濁を膣の奥深くに激しく注ぎ込んだ。
練は「あっ」と声を上げ、しなやかな体が弓なりにしなり、下腹部が激しく起伏し、大量の精液が絶え間なく注ぎ込まれるのを声もなく受け止め、まるで水が干上がった魚のように不規則に痙攣した。
颯斗は固く目を閉じ、名残惜しそうに熱く引き締まったアナルでゆっくりと抽送し、最高潮の中で至高の快楽を一心に味わっていた。
頭のてっぺんから足のつま先まで、毛という毛がすべて戦慄し、細胞の一つ一つがこの解放の中で生まれ変わったのをはっきりと感じることができた。
これが「治療」なのか。「治療」される感覚が、これほど甘美なものだったとは。
颯斗は長く息を吐き、もう何も出なくなるまで、名残惜しそうにその誘惑的な体から抜け出した。
しかし、目を開けてみると、練の双丘の割れ目がぴったりと閉じていて、精液が一滴たりとも流れ出ていないことに気づいた。
「あれ?」
颯斗はその結合部をまじまじと見つめ、少し信じられない思いだった。思わず人差し指をアナルに差し込んでえぐってみると、内心密かに驚嘆した。
あまりにも奥に射精したため、しばらく掻き出して、ようやく一筋をなんとか掻き出すことができたのだ。
これがいわゆる名器というやつか?
颯斗が内心で感嘆していると、練が突然彼の手を掴んだ。
「掻き出すな!貴重な精気だぞ!」
「き……ちょう……?」
颯斗は呆然とした。精液を貴重という言葉で形容するのを耳にしたのは、これが初めてだった。
しかし、練は冗談を言っているわけではないようだった。なぜなら、彼はためらうことなく颯斗の精液がついた指を口に含み、ちゅっちゅっと音を立ててしゃぶり始め、その精液を綺麗に舐め尽くすまでやめようとしなかったからだ。
「一滴も無駄にできない」
舌先でそっと唇の端をなぞり、練は食べ物を無駄にする子供を叱るかのように、不満げに颯斗をちらりと見た。
その一瞥だけで、颯斗は頭皮がぞわぞわし、全身に鳥肌が立った。
「いったぁ!」颯斗は思わず顔に手をやり、指先に付着した血を見て顔をしかめた。「最悪だ……。これ、狂犬病とか大丈夫なのか?やっぱり注射を打ちに行ったほうがいいか?」「安心しろ。フロイトは狂犬病の検査も、虫下しも、ワクチン接種もすべて済ませてある」練は救急箱を持ってくると、綿棒と消毒用アルコールを取り出し、颯斗のもとへ歩み寄った。「ほら、顔をこっちに向けろ」自分で傷口を確認できない颯斗は、仕方なく言われるがままに顔を向けた。「猫は女と同じで、とんだ気まぐれ屋だからな」練はそう言いながら、アルコールを浸した綿棒を慎重に颯斗の頬へと当てる。颯斗は息をするのも忘れ、まるで木偶のように手足をこわばらせて立ち尽くした。現実でこれほどまでに練と接近したことなど、これまで一度もなかったような気がする。練が言葉を発するたび、その吐息が綿毛のように優しく颯斗の顔を撫でた。湿り気を帯びた生温かい息には、どこか人を惹きつける甘い香りが漂っている。知らず知らずのうちに、颯斗の鼓動は激しくなり、喉がからからに乾いていた。まるでチーズの香りに誘われる鼠のような気分だ。前方に危険が待ち受けていると分かっていながら、いつの間にか練のペースに乗せられ、一歩、また一歩と罠の深みへ誘い込まれていく。「なにを緊張している?」練も颯斗の異変を察したのか、手を空中で止め、じっと彼を見つめた。その表情はどこか面白がっているようにも見える。「緊張?俺が?」
不安は尽きぬものの、家を追い出された颯斗に選択の余地はなく、練の提案を受け入れるほかなかった。翌日、翼と別れの食事を済ませると、颯斗は大小さまざまな荷物を抱えて家を出て行く翼の後ろ姿を見送った。翼がいなくなると、家全体ががらんとして、まるで知らない場所のように感じられる。馴染み深いはずなのにどこかよそよそしい部屋で最後の夜を過ごし、翌朝早く、颯斗はドアのチャイムで目を覚ました。玄関を開けると、そこには練が立っていた。あの日、練の診療所へ引っ越すと決めた直後、練は颯斗から住所を聞き出し、車で荷物運びを手伝うと申し出ていたのだ。練がそこまで言うならと、颯斗もその好意に甘えることにして、住所を教えて引越しの時間を約束していたのである。「荷物、少なすぎないか?三年間住んで、これだけか?」ソファに座り、せっせと荷造りをする颯斗を眺めながら、練が思わずといった様子で口を開いた。翼と違い、普段から断捨離を心がけている颯斗は持ち物が極端に少なく、荷造りは一時間ほどで大きなスーツケース一つに収まってしまった。練がスーツケースを持ち上げてみたが、それほど重さは感じない。「いいじゃないか。そっちのスペースを圧迫しなくて済むだろう」颯斗は登山用リュックを背負い、スーツケースを引いて玄関へと向かった。「俺が引っ越すとなれば、少なくとも十箱か二十箱は必要だな」「十か二十!?何がそんなにあるんだよ」「着けばわかる」練の診療所は、颯斗が元いた場所から車で四十分ほどの距離にあった。閑静な住宅街に位置し、
翼はいつもの軽薄な態度をかなぐり捨て、その声には深刻な響きがまとわりついていた。ただ事ではないと察した颯斗は、練に「悪い」と一言断り、電話に出るため店の外へと足を向けた。「一体どうしたんだ」カフェの入り口まで歩み寄ると、颯斗はそう問いかけた。「颯斗、俺たちの家、売られちまった」一瞬、颯斗は呆気に取られた。「はあ?なんだって!?」「さっき大家が来て言われたんだ。娘が癌になって治療費に大金が必要だから、この家を売ったって。俺たちには三日以内に出て行ってほしいだとさ」「三日!?」颯斗は我が耳を疑った。「そんな無茶な話があるか。契約書には、どちらかが中途解約する場合でも一ヶ月前には通知するって書いてあったはずだ」「俺もそう言ったんだが、向こうは聞く耳持たずでな」「ったく……明日から家探しだな」翼の声が、すっと温度を失った。「お前だけで探してくれ。俺はもういい……俺、東雲を離れるつもりだから」「はあ!?」矢継ぎ早の知らせに、颯斗の頭はすぐには追いつかなかった。「どういうことだよ?実家に帰るってのか?」「ああ……」翼の声はひどく沈み込んでいる。「お袋がずっと、帰ってうちの温泉旅館を継げってうるさくてさ。今の時代、インディーゲー
最近、颯斗は誰かに尾行されているような気がしてならなかった。あの日、練の車にはねられて以来、颯斗は毎日のように練と出くわしていたのである。最初は単なる偶然だと思っていたが、こう度重なると疑わざるを得ない。練は決まって颯斗の面接が終わった後に姿を現すのだ。しかもその場所がまた絶妙だった。路上であったり、バス停や地下鉄の駅であったり、時にはコンビニであったりと、とにかく颯斗の面接会場の近辺にばかり出没する。颯斗は運命などという言葉は死んでも信じないし、この世にこれほどの偶然があるとも思えなかった。考えられる理由はただ一つ――間違いなく尾行されている。単なる尾行ならばまだ百歩譲って許せるとしても、問題は練が面接の邪魔をしてくることだった。例えば、今日がそうである。ある企業の採用担当者とカフェで会う約束をしていたのだが、席に着いた途端、練が入ってきて、二人の席からさほど離れていない場所に陣取ったのだ。面接の間、練はスマートフォンを掲げて自撮りを始めたかと思えば、立ち上がって店内をうろつき回ったりした。颯斗は相手にするまいと努めたが、練の一挙手一投足が気になって仕方がない。視界の端にその姿がちらつき、どうしても集中できなかった。そのせいで、担当者から何かを問われても、的外れな答えを返してしまう始末だった。穴があったら入りたいほど気まずい面接が終わり、ついに堪忍袋の緒が切れた颯斗は、練の前へと詰め寄り問い詰めた。「お前、俺をつけているのか」練のことだから適当にはぐらかして言い逃れるだろうと思っていたが、意外にもあっさりと認めたのである。「だとしたら、どうだと言うんだ」
睦弥は緊張のあまり服の裾を強く握りしめ、ひどくばつの悪そうな顔をした。「い、家に帰ってから……じゃだめかな」「だめだ、今すぐ、ここで脱いで見せろ」「奏……」睦弥の声は、今にも泣き出しそうに震えている。「二度言わせるな」奏が低い声で告げる。睦弥は腰に手をやった。一度口にしたことは絶対に曲げない奏の性格をよく知っているからだ。どんなに気が進まなくても、彼に選択の余地などない。ゆっくりとベルトを解き、ズボンを膝まで下ろした。スラリと伸びた二本の太腿が、夜気の中に晒される。深い闇に包まれながらも、股間のペニスが力なく項垂れているのがぼんやりと見て取れた。華奢で、大人しげな形をしていた。睦弥は顔を背けた。羞恥のあまり、奏と視線を合わせることができない。「後ろを向け」奏が続けて命じる。ここに至っては、無駄な抵抗をするつもりもない。睦弥は大人しく言われた通りに背を向けた。「もっと尻を高く上げろ」「こ、こう……?」睦弥は両手を壁につき、上体を少し前に倒して尻を高く突き出す。音もなく背後に密着した奏が、大きな掌で片方の尻を覆い、ゆっくりと愛撫し始めた。深夜の路地裏はただでさえ薄暗い。その上、睦弥よりずっと長身の奏がこうして彼を壁際に追い込んでいれば、たとえ表通りを誰かが通ったとしても、路地に人がいることになど気づきはしないだろう。
「冗談じゃない。潜在意識にそうやすやすと侵入できるとでも思っているのか」「ないなら、それでいい」颯斗はそう言われ、少し安堵したように座り直した。「ただ、思ったんだが……」車を走らせてしばらく経った頃、練が不意に口を開いた。「何をだ?」颯斗は彼の方を向く。言葉を飲み込んだ練の横顔を、ネオンの光が鮮やかに撫でていく。その鋭く怜悧な瞳の奥に、珍しく躊躇の色が滲んでいた。結局、練は首を横に振った。「いや。なんでもない」だが、すっかり好奇心を煽られた颯斗は、むっとして抗議した。「おい!話を途中でやめるのはよせ。わざとじらしているのか?」練は薄く笑った。「知りたいか?なら俺のクリニックに来て働け。助手になったら教えてやる」「お前、本当に諦めが悪いな」「当然だ。来いよ。うちのクリニックに来れば、毎日猫をモフれるぞ」「なんだと!?」颯斗はカッと目を見開き、明らかに興味をそそられた様子だ。「お前のところに猫がいるのか?この間は見かけなかったぞ」「あの時はまだな。だが今はいる」「今?」「今日、お前が助けたあの黒猫だよ。俺が金を出して傷の手当てをし、ワクチンも打ってやった。お前の猫じゃないと言うなら、当然俺の猫だろう」颯斗は呆れ返った。「お前は本当に思いつきで行動するな。猫を飼うのに、そんな適当でいいわけがあるか?」「適当なんかじゃない。有効活用、と言うんだ」練は真顔で訂正した







