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第8話

Author: 林 安奈
パァン!と、乾いた音が響いた。

殴られた衝撃で由依の頬にかかった髪が目元を覆った。

左の頬が焼けるように熱い。痛みはたちまち広がり、耳の奥ではキーンという耳鳴りがしている。

彼女は瞬き一つせずに理恵を真っ直ぐに睨みつけた。その鋭い視線に、理恵はなぜか胸の奥がざわつくのを感じた。

政和が厳しい顔つきで言った。

「由依さん、理恵に謝りなさい。そうすればこの事は水に流そう」

由依は鼻で笑った。平手打ちをされた上に、謝れというの?

テラスのガラス戸が開き、雅紀が姿を現した。

電話を終えた彼が、ダイニングで睨み合う数人と、由依の頬に赤く残る指の跡を見た瞬間、その場で凍りついた。

そして、理恵へと鋭い視線を向けた。

理恵は冷ややかな目で見返した。

「雅紀、本当に良いお嫁さんをもらったわ。ますます礼儀知らずになっていくじゃない」

雅紀は無言のまま大股で由依の前に歩み寄り、彼女の頬に手を伸ばそうとした。

「雅紀……」

椿が片手で胸を押さえ、真っ青な顔をしてよろめいて、今にも倒れそうになった。

「……なんだか気分が……」

そう言い終わるか終わらないかのうちに、彼女は糸が切
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