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第12話(14)

Author: 北川とも
last update publish date: 2026-01-10 08:00:27

 さすがの和彦も返事ができないでいると、千尋が恨みがましい目で見つめてくる。和彦は苦し紛れに、もう一度千尋の頬を軽く抓った。

「そういうことを聞くのは、はしたないぞ、お前」

「……俺、難しい言葉わかんない」

「ウソを言えっ」

 広いベッドの上で千尋と揉み合う――というより、じゃれ合っていると、柔らかなバリトンが割って入った。

「仲がいいな、二人とも。母犬に、子犬がじゃれついているみたいだ」

 ベッドの上をころりと転がった和彦は、ドアのほうに視線を向ける。薄い笑みを浮かべた賢吾が立っていた。

「誰が、母犬だ」

「絶妙な例えだと思うが」

 ゆったりとした足取りで賢吾が歩み寄ってきて、ベッドに腰掛ける。見下ろされるのもなんだか嫌なので、賢吾の手を借りて和彦は起き上がる。すかさず、背後からぴったりと千尋が抱きついてきた。

 その姿を見て、賢吾は低く声を洩らして笑う。

「やっぱり仲がいいな」

「好きに言ってくれ……」
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