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第15話(1)

작가: 北川とも
last update 게시일: 2026-01-31 08:00:09

 十二月も中旬を過ぎると、本当に慌しいなと思いながら、和彦はふっと息を吐き出す。それでも、差し出された伝票にサインをして、大きな花束を受け取ったときには、意識しないまま笑みがこぼれた。

 華やかなイベントとは無縁の人生を歩んできただけに、豪華な花束が次々に届くと、贈り手の思惑はともかく、やはり嬉しいものだ。

 配達人を見送ってドアを閉めた和彦は、花の間に差し込まれたカードを取り上げる。そこには、ただK・Nというイニシャルだけが記されていた。開業日には大きな花輪を贈ってやると言っていた男だけに、今日は花束で勘弁してくれたらしい。

 カードはジャケットのポケットに滑り込ませて、和彦は待合室に戻る。

 今日の待合室は、いつもとは様子が一変していた。まるで、小規模なパーティー会場だ。堅苦しいスーツ姿の男性たちや、華やかな服装の女性たちが、思い思いに過ごしている。待合室だけではない。今日はクリニックのほとんどを開放しており、自由に見学できるようにしている。

 レントゲンの設置工事が完了したのを機に、クリニックの完成パーティーも兼ねて内覧会を
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     この家で過ごしながら、生活パターンの違いから、何かとすれ違うことの多い千尋だが、やはり何かを感じ取っているらしい。 千尋が軽くため息をつき、畳を片手で叩く。和彦は座椅子から下り、畳の上に座り直すと、待ちかねていたように千尋が胸元に抱きついてきた。本当に行動が犬だなと思いながら、苦笑しつつも和彦は、千尋の頭に手を置いた。「……先生がここにいるって、すげー実感できる」「大げさだな。食事時には、けっこう顔を合わせていただろ」「でも、ゆっくり話せてないじゃん。……俺、先生に知ってもらいたいこと、いっぱいあったんだ。先生が、自分の兄貴に会いに行くって知ったときは、ものすごく切羽詰ってたこととか。先生がもう二度と、俺――俺たちのところに戻ってこないんじゃないかって、本気で心配してたことも」 殊勝なことを言う千尋が、先日自分に何をしたのか思い出し、和彦は複雑な心境になる。 まるで体に呪詛でも刻みつけるように、千尋は守光とともに、和彦の体を貪り、嬲ってきたのだ。賢吾の執着心の強さを知っている和彦だが、千尋もまた、強い。若くて純粋で無謀な分、怖いとさえいえる。 ただ、守光については、執着心と表現していいのだろうかと、判断がつきかねていた。「それに、仮に無事に戻ってきても、先生が……、精神的に参って、別人みたいになってたらってこととかさ。俺、先生の様子を、ちょっとだけ観察してた。――大丈夫、だよね?」 強い輝きを放つ目に、うかがうように見つめられて、和彦の胸は締め付けられる。長嶺の男の本質にあるのは、間違いなく傲慢さだ。同時に、毒のように強烈な甘さも併せ持っている。だから和彦は、簡単に翻弄されるのだ。 千尋の引き締まった頬を撫でながら、柔らかな声で応じる。「生憎だがぼくは、お前が思っているよりずっと、ふてぶてしいみたいだ。というより、ぼくが落ち込むことを許さないように、周りの男たちがかまってくれるからな」「……何、先生。俺のことは放ったらかしのくせに、もうそんなに、いろんな男たちとは会ってたわけ?」「変なことを想像

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