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第15話(14)

Auteur: 北川とも
last update Date de publication: 2026-02-02 17:00:43

 玄関に入ると、マフラーを外す間もなく三田村に引き寄せられ、唇を塞がれた。一瞬驚いた和彦だが、次の瞬間には、三田村と同じ激しさで口づけに応える。

 忙しかったせいで、こうして三田村と二人きりになれたのは、半月以上ぶりだ。

 英俊を見かけて憔悴していた和彦が、秦に安定剤を飲まされて眠っているとき、賢吾と交代で三田村は側にいてくれたのだが、和彦は意識が朦朧としており、かろうじて三田村の存在を認識できる状態だった。ようやくはっきりと目が覚めたとき、すでに三田村の姿は枕元になかった。

 そして今日、やっと三田村に会えた。

 貪るように互いの唇を吸い合い、舌を絡める。明日の夜まで三田村と一緒に過ごせるのだと思うと、クリスマスなど関係なく、気分が高揚する。何より、嬉しいのだ。

 深い口づけを堪能して、ようやく唇を離したものの、すぐには体を離しがたい。三田村に抱き寄せられ、吐息を洩らした和彦は、甘えるように肩に頬ずりした。

「……いい匂いがする…&helli
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    「あんたは、貴重だ。長嶺の男たちと相性がよく、他の物騒な男たちも上手く手懐けて使っている。荒事が苦手な日和見主義のようでいて、肝が据わっている。だからといって、わしたちのような極道というわけではない。だが、すでに堅気でもない。あんたの存在は、この世界にいるからこそ妖しさが際立つ」 守光の手がさらに深く両足の間に差し込まれ、命じられたわけでもないのに和彦は足を開いていた。 まるで検分するように、スラックスの上から敏感なものを押さえつけられ、唇を引き結ぶ。羞恥はあったが、驚きはなかった。賢吾に強引にオンナされたばかりの頃、怒りと戸惑いを覚えている和彦に、賢吾は車中で何度も体に触れてきた。あれは、賢吾なりの和彦に対する教育だったのだ。 どんな状況であれ、どのように扱われても、受け入れなくてはならないと。それが、ヤクザのオンナになる――されたということだ。 和彦の目を覗き込み、守光は柔らかな笑みを浮かべた。見ていると怖くなるような笑みだが、和彦は目は逸らさなかった。逸らせば、多分食われる。「――忘れるな。あんたに特に価値を感じているのは、長嶺守光という男だ」 守光が囁き終えると同時に、唇が重なってくる。この瞬間、和彦が感じたのは恐怖でも嫌悪感でもなく、純粋な肉の疼きだった。我ながら度し難いと思うが、長嶺の男と相性がいいというのは、戯言では済まないところまできていた。その事実を和彦は、体で実感している。 唇を吸われているうちに、守光の舌が当然のように口腔に侵入してくる。おずおずと舌先を触れ合わせていると、守光の指に敏感なものをまさぐられる。 拒むこともできずうろたえる和彦に、守光が思いがけない問いかけをしてきた。「賢吾に、激しく求められたかね?」 咄嗟に質問の意味が理解できず、和彦は目を見開く。「えっ……」「わしと旅行に行ったことを、感情的に責めるとも思えん。だとしたら賢吾が、あんたに対して取る行動は限られると思ってな」 意味ありげな守光の指の動きでやっと、何を聞かれているのか理解する。数日前の、賢吾との濃厚な交わりが蘇り、和彦の体は熱くなる。そんな和彦を、なぜか守光は満足そうに見つめてい

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  • 血と束縛と   第11話(31)

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