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第22話(8)

مؤلف: 北川とも
last update تاريخ النشر: 2026-03-26 20:00:47

「――……どうして、ここに?」

 和彦の目の前までやってきたかと思うと、開口一番にこう問われた。無視するわけにもいかず、露天風呂がある方向を指さす。

「露天風呂に入っていました」

「もう上がったのか」

 変なことを言うのだなと、眉をひそめながら和彦も問いかけた。

「それで、あなたはどこに?」

「露天風呂に行こうとしていた。本当は、風呂であんたを捕まえるつもりだったんだ。まさか、こんなに早く上がるとは思っていなかった」

 悪びれた様子もなく南郷が言い放ち、和彦は唖然とする。貸し切りで和彦一人が入っていた露天風呂に、南郷は押しかけるつもりだったのだ。

 もし、露天風呂で出会っていたらどうなっていたか――。

 和彦は南郷を睨みつけると、足早に庭の小道を歩く。部屋に戻ろうとしたのだが、当然のように南郷があとをついてくる。

「……ついてこないでください」

「部屋まで送る。――物騒だからな」

 階段を上っていた和彦は、
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  • 血と束縛と   第22話(8)

    「――……どうして、ここに?」 和彦の目の前までやってきたかと思うと、開口一番にこう問われた。無視するわけにもいかず、露天風呂がある方向を指さす。「露天風呂に入っていました」「もう上がったのか」 変なことを言うのだなと、眉をひそめながら和彦も問いかけた。「それで、あなたはどこに?」「露天風呂に行こうとしていた。本当は、風呂であんたを捕まえるつもりだったんだ。まさか、こんなに早く上がるとは思っていなかった」 悪びれた様子もなく南郷が言い放ち、和彦は唖然とする。貸し切りで和彦一人が入っていた露天風呂に、南郷は押しかけるつもりだったのだ。 もし、露天風呂で出会っていたらどうなっていたか――。 和彦は南郷を睨みつけると、足早に庭の小道を歩く。部屋に戻ろうとしたのだが、当然のように南郷があとをついてくる。「……ついてこないでください」「部屋まで送る。――物騒だからな」 階段を上っていた和彦は、振り返ってもう一度南郷を睨みつける。嫌な笑みを浮かべた南郷がゆっくりとした動きで片手を伸ばし、和彦の腕を掴んでこようとする。それをあっさりと躱したが、すかさず、今度は素早い動きで南郷が間合いを詰め、和彦の体を手荒に手すりへと押し付けた。「なっ……」「そんなにふらついた足じゃ、階段から転げ落ちるかもしれない。なんなら、抱き上げて連れて行こうか?」 南郷は本気で言っているわけではない。おもしろがるわけでもなく、ただ和彦の神経を逆撫でるようなことを言って、反応を観察してくる。それがわかるからこそ和彦は、南郷が苦手で――不気味だった。 息を詰め、ほとんど虚勢だけで南郷の目を見据える。和彦のそんな眼差しすら、南郷は観察している様子だったが、思いがけない声が二人の間に割って入った。「――南郷」 窘めるように南郷を呼んだのは、さきほど和彦が耳元で聞いた声だ。顔を上げると、渡り廊下に立った守光がこちらを見ていた。「先生に、礼を欠いた態度を取るな。長嶺の家だけじゃなく、総和会にとっても大切な人

  • 血と束縛と   第22話(7)

     和彦が切羽詰った声を上げる頃、ようやく内奥で律動が刻まれる。恥知らずな歓喜の声を立て続けに上げると、まるで褒美のように精を注ぎ込まれた。 必死に頭上の枕を握り締め、快感の奔流に耐える。そうしないと、今度こそ相手にしがみついてしまいそうだったのだ。今度は、和彦の従順さに対する褒美なのか、相手は再び絶頂へと導いてくれた。 二度目の精を迸らせた和彦が脱力するのを待ってから、繋がりは解かれる。だが、これで終わりではなかった。 喘ぐ唇を軽く吸われ、ごく当然のように和彦は舌を差し出し、絡め合う。汗に濡れた体を撫でられ、心地よさに小さく声を洩らしていた。 長い口づけを堪能したあと、唇が耳に押し当てられる。「――一階の露天風呂を貸し切りにしてある。ゆっくり入ってきなさい」 耳に注ぎ込まれたのは、賢吾に似た太く艶のある声だった。目隠しの下で和彦が目を見開いている間に、ベッドが揺れ、相手が下りた気配がする。そのままベッドの上でじっとしていると、数分ほどして、部屋のドアが閉まる音がした。 和彦はおずおずと目隠しを外し、わずかに体を起こす。快感からまだ完全に醒めていないのか、頭がふらついている。それでも、自分が放った精や、鮮やかな愛撫の痕跡が残る体を見て羞恥する程度には、理性は戻っていた。 床に落ちた浴衣を拾い上げた和彦は、とりあえず下肢の汚れを拭うことにする。こんな状態では、とてもではないが部屋を出られなかった。** 一階の露天風呂は、部屋についているものとは違い、さすがに広かった。貸し切りということで、誰かが入ってくる心配もないため、情交の跡が残る体を隠すことなく入浴することができる。 体の汚れを流した和彦は、湯に浸かりはしたものの、風呂から見渡せる景色を堪能することなくすぐに上がる。部屋の風呂にゆっくり浸かったあとに、濃厚な行為に及んだのだ。いまだに体に熱が留まっており、あっという間にのぼせてしまいそうだ。 脱衣所で浴衣と茶羽織を着込むと、洗面台の前に置かれたイスに腰掛け、少しの間ぼうっとしてしまう。体には確かに、嫌というほど覚えのある情交後のけだるさがあるのに、まるで夢を見ていたような感覚に陥るのは、目隠しを

  • 血と束縛と   第22話(6)

     すっかり硬く凝った胸の突起を、いきなりきつく吸い上げられる。そうかと思えば、濡れた舌先にくすぐるように舐められ、転がされ、軽く歯を立てられた。和彦は喉を反らして震える吐息を洩らし、促されるまま両足を開いて、身を起こしかけた欲望を握り締められた。「あっ、あっ」 軽く扱かれて、爪の先で感じやすい先端を弄られる。ビクビクと腰を震わせて和彦が身悶えると、下腹部から胸元にかけてじっくりと舌を這わされる。 これまで以上に和彦が乱れるのが早いと感じたのか、相手もペースを合わせてくる。濡れた指に内奥の入り口をまさぐられた。 今夜は潤滑剤ではなく、唾液を使って濡らしているようだった。少しずつ内奥をこじ開けられながら、指を出し入れされる。和彦は息を喘がせてシーツを握り締める。他の男たちの愛撫にはない慎重さがもどかしく、そう感じる自分の浅ましさが、感度を高めているようだった。 ようやく指がしっかりと内奥に挿入されたとき、意識しないままきつく締め付ける。相手は巧みに指を蠢かす一方で、反り返った和彦のものをもう片方の手で握り、扱く。前後から押し寄せてくる快感に、和彦は甲高い声を上げて腰を浮かせていた。「うあっ、あっ、んんっ――」 再び欲望の先端を爪の先で弄られ、今度は腰が砕けるように力が抜けた。 思わせぶりに内奥から指が引き抜かれ、片足を抱え上げられる。目隠しをされていて見えるはずもないのだが、相手の強い眼差しを感じることはできた。指で綻ばされてひくつく部分を、じっと見つめられているのだ。 本能的な怯えから身を捩ろうとしたが、その行動を封じるように熱く硬いものが内奥の入り口に擦りつけられた。「あっ……」 和彦が声を洩らしたときには、内奥の入り口をこじ開けるようにして欲望が押し入ってくる。咄嗟に頭上の枕を握り締めて、顔も見えない相手と繋がる。「くっ……ぅ、うっ、うっ、ううっ」 たっぷりの唾液をすり込まれた襞と粘膜を強く擦り上げられ、苦痛が一瞬あとにはゾクゾクするような肉の疼きへと変化していく。 ある程度まで欲望が内奥に埋め込まれると、両足を折り曲げるようにして抱えら

  • 血と束縛と   第22話(5)

     あえて、千尋と引き離されたのだろうか――。和彦はふっとそんなことを考えてしまう。『先生?』「あっ……、聞いている」『いい機会だから、じいちゃんにたっぷり甘えて、いろいろ買ってもらうといいよ。なんといっても総和会会長は、太っ腹だから』「……返事がしにくいことを言うな」 守光に代わろうかと聞いてみたが、あっさりと千尋に断られた。 和彦が携帯電話をポケットに仕舞うと、守光が楽しそうに話しかけてきた。「薄情な孫だな。わしの声は聞きたくないと言ったんだろ?」「そこまでは……。お腹が空いているらしくて、これからラーメン屋に行くそうです」「だったら千尋の分まで、しっかり料理を味わっておこう」 守光の言葉に、座椅子に座り直した和彦はぎこちなく微笑んで頷いた。** 夕食後すぐに、部屋の露天風呂にゆっくりと浸かった和彦は、板の間の籐椅子に腰掛けて、体の火照りを鎮めていた。 外はすでに闇に覆われており、窓から見えるのは、微かな月明かりが生み出す木々の影ぐらいだ。街中で生活していると、これほど人工的な明かりのない夜というのも珍しい。 和彦は改めて、ここは旅先なのだと実感していた。総和会の人間と行動をともにしながら、ずっと肩に力が入っていたが、そのおかげというのも変な表現だが、抱えた問題について考える余裕はなかった。 一人になって落ち着いた今になって、里見と英俊が一緒にいた光景が脳裏に蘇る。見かけたときの衝撃は少しずつ薄まりつつあるが、嫉妬してしまったという事実は、胸の奥で重みを増しているようだ。 首筋を伝い落ちる汗をタオルで拭い、ペットボトルの水を飲む。 いくら昼間は春らしい気候だったとはいえ、夜の山間はさすがに少し冷える。湯冷めする前に、ベッドの上に置いた茶羽織を取ってこようと和彦が立ち上がりかけたとき、前触れもなく部屋の電気が消えて暗くなった。「えっ……」 反射的に洋間のほうを振り返った和彦が見たのは、こちらに近づいてく

  • 血と束縛と   第22話(4)

     そう言う南郷の表情に、一瞬の嘲りが浮かんだのを見逃さなかった。南郷は、虚勢であるにせよ和彦の強気の理由を知っている。長嶺の男たちによる庇護だ。しかもそれを、医者としての腕ではなく、体によって得ているのだ。 和彦は何も言わず背を向け、部屋に戻ろうとする。その背に向けて南郷が声をかけてきた。「あとで、部屋にコーヒーでも運ばせる。俺はあまり気が利く男じゃないが、オヤジさんが戻ってくるまで、しっかり面倒を見させてもらおう」 仕方なく振り返った和彦は、最低限の礼儀として小さく頭を下げた。** 緊張して夕食が喉を通らないのではないかと危惧していた和彦だが、食前酒のワインを飲んでから、生湯葉に箸をつけると、驚くほど食欲が湧いた。 鴨肉のソテーを口に運ぶ頃には気分も和らぎ、つい顔を綻ばせる。すると、正面に座っている守光が口元に笑みを湛えた。「どうやら、口に合ったようだ」 守光の言葉に、そんなに素直に顔に出ていたのだろうかと思いながら和彦は頷く。「美味しいです、すごく……」 この旅館は、食事は各自の部屋に運ばれるのではなく、別棟にある食事処に客が出向き、個室でとる形をとっている。総和会の人間たちも同席するのかと思ったが、現在、個室には和彦と守光の二人だけだ。個室の外に数人の人間が控えており、相変わらず守光の護衛についている。「――南郷から、何か礼を欠いたことでも言われたかね」 豆腐を掬った守光にさりげなく問われ、一瞬動きを止めてしまう。肯定したようなものだった。思わず和彦が苦い顔をすると、守光は声を洩らして笑った。「許してやってくれ。あれは、礼儀作法はしっかりとしているんだが、気になる相手にはどうしても突っかかるような言動を取る。そうやって、相手を見定める――いや、もっと露骨だな。値踏みする」「値踏み、ですか?」「あんたのことが、気になって仕方ないんだ。なんといっても、長嶺の男〈たち〉を骨抜きにしている人だ」 守光から静かな眼差しを向けられ、瞬間的に和彦の体は熱くなる。この場から逃げ出したくなったが、そんな無礼なことができるはずもなく、

  • 血と束縛と   第22話(3)

    「今日の会合は、その花見会の打ち合わせのためだ。いろいろと準備しておきたいものもあるしな。せっかくここまで足を伸ばしたんだから、いつもとは違う人間と一緒に歩きたかった。まあ、あんたにしてみれば、強面のでかい男たちに囲まれて、多少息苦しいだろうが」 ここで頷くわけにもいかず、和彦は曖昧な表情を浮かべる。逃げ場を探すように視線をさまよわせ、再び桜の木を見上げていた。「この世界のことをほとんど知らないぼくが、あなたの隣を歩いていていいのか、という気もします……」「知らないから、いいんだ。わしは話し好きだ。いままでは千尋がいたんだが、あれもすっかりこの世界のことを知った気になって、今ではわしの長い話を聞きたがらん」「千尋らしいです」「これからは、実地でいろいろと覚えさせる時期だ。わしが元気なうちにな」 ここで守光が前方を指さす。茶屋が出ており、すでに総和会の人間が席を取っていた。「少し座って休憩しよう」 守光の言葉に、和彦は素直に頷いた。** 板の間の窓を開け放った和彦は、手すりを掴んで思いきり身を乗り出す。山間にある旅館だけあって周囲を木々に覆われ、自然のカーテンとなっている。 フロントで部屋の鍵を受け取って、きれいに手入れされた庭の小道を歩き、そこから階段を上がり、離れに続く渡り廊下を通るという、少し手間のかかる移動を経て、この部屋に辿り着いた。手入れの行き届いた和洋室で、洋間に置かれたベッドはダブルだ。周囲の環境もあって、落ち着いてゆっくりと過ごせそうだ。 ちなみに、庭を挟んだ向かいに、守光が宿泊する部屋がある。 露天風呂がついているという贅沢な離れの部屋を、すべて総和会で押さえてしまったのは、やはり安全のためだろう。旅館を貸切にしたようなものだ。呼ばない限り旅館のスタッフも離れには近寄らないそうで、渡り廊下を歩く人間は、ほぼ総和会の人間ということになる。 守光はささやかな観光のあと会合に出かけ、先に旅館に戻ったのは、和彦と、護衛としてつけられた男一人だけだ。旅館を出ないでくださいと言われたが、言い換えるなら、旅館内は自由に歩き回れるということだ

  • 血と束縛と   第7話(12)

    「先生は意地が悪い」「お宅の組長には負ける」「……返事に困るようなことを言わないでくれ」 気持ちが解れるような会話を交わしながらビルを出て、来客用の駐車場へと向かう。 この後、和彦は自宅マンションに戻り、三田村はそこで護衛を外れるため、単なる移動の時間であったとしても、二人きりでいられる時間を惜しんでいた。明日も三田村が確実に護衛をしてくれるとは限らず、いつ顔を合わせられるかすら、わからないのだ。「――体調は、もうなんともないのか?」 ふいに三田村に問われ、和彦は目を見開く。「

    last updateآخر تحديث : 2026-03-22
  • 血と束縛と   第7話(2)

     和彦はゆっくりとまばたきを繰り返し、なんとか賢吾の話を頭に留めようとする。いろいろと考えようとするのだが、思考はどこまでも散漫だ。「……蛇蝎の、サソリ……」「ああ、そうだ。あれは、悪党ってやつだ。暴力団担当の刑事だったくせに、その立場を利用して悪辣なことをヤクザ相手にやらかして、それこそ蛇蝎みたいに嫌われていた。そこで、ある組が鷹津をハメたんだ。かなり大問題になってな、警察の監査室まで引っ張り出して、県警の本部長のクビが飛ぶかという話までいった」 淡々と話す賢吾のバリトンの響きが耳に心地いい。ふ

    last updateآخر تحديث : 2026-03-22
  • 血と束縛と   第7話(13)

    「もしもし……」『わたしの柔な神経だと、三日目が限度でした』 開口一番の秦の言葉に、和彦は眉をひそめる。このとき、サイドミラーを通して三田村に表情を見られるのが嫌で、思わず背を向けていた。「なんのことだ」 あんなことをされて、秦に敬語を使う気にもなれなかった。秦のほうも、些細なことだと感じているのか、会話を続ける。『いつ、わたしの元に、長嶺組の怖い方々が押しかけてくるかと、ずっと怯えていたんですよ』 言葉とは裏腹に、秦の声はどこか楽しげだ。本当はそうなると思っていなかったかのように。

    last updateآخر تحديث : 2026-03-22
  • 血と束縛と   第7話(19)

    **** 電卓を叩いた和彦は、表示された数字を見て、一声低く唸る。 クリニックに入れる医療機器・備品は決めたのだが、医療機器に関しては、どの専門商社と取引するかという点で、頭を悩ませていた。いままで医療機器の価格など、聞いたところで他人事だったのだが、いざ自分が導入するとなると、やはり臆してしまう。例え、ヤクザの金を使うにしても。 やはり商社間の入札で、今後のメンテナンスまで含めた価格を決めてしまうほうが、結果として安くつくかもしれない。 コンサルタントに勧められながら、大まかな金額を計算

    last updateآخر تحديث : 2026-03-22
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