Home / BL / 血と束縛と / 第41話(12)

Share

第41話(12)

Author: 北川とも
last update publish date: 2026-07-28 14:00:19

「いつ寝首を掻かれてもおかしくないことを、さんざんしてきた――というより、している最中だからな。そんな自覚があるからこそ、他人に住み家を知られるのが嫌なんだ。もっとも、多かれ少なかれ、極道ってのは、そういうもんだが。慎重な分、長生きできる確率が上がる。臆病だと誹そしられようがな」

 いつだったか、賢吾も似たようなことを言っていたなと、ふと思い出した。

 賢吾の顔が脳裏に浮かんだ途端、ギシギシと音を立てて和彦の胸は軋む。罪悪感のせいだけではなく、痛切に今、賢吾に会いたいと思ってしまったためだ。そんな和彦に追い打ちをかけるように、南郷が言った。

「――長嶺組長も同じタイプだ。むしろ、俺よりも慎重なぐらいだ。……ああ、最近は少しばかり、様子が変わったみたいだな。前までなら、護衛をつけずに出歩く人じゃなかった。しかも、オンナのためという理由で」

 嘲りを含んだ言葉の響きに、和彦は伏せていた視線を上げる。南郷に、おそろしく冷やかな眼差しで見つめられていた。

 南郷がなんのことを言っているのか、すぐにわかった
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • 血と束縛と   第49話(36)

    **** なんとなく肩の辺りに違和感があり、ゆっくりと腕を回したり、首を傾けたりしていると、打ち合わせ相手の長嶺組の組員が不思議な顔をする。「先生、どうかされましたか?」「いや……、なんでもない」 これは軽い筋肉痛だとわかっているし、原因も明らかだ。和彦は複雑な表情を浮かべ、昨日の南郷との間に起きたさまざまな出来事の、ほんの一片だけ思い返す。そうでないと冷静でいられる気がしない。「重いものを持ったせいかな……」 いい加減ジム通いも再開しなければと反省しつつ、打ち合わせに意識を戻す。 和彦が今いる場所は、クリニックの待合室だった。ソファもテーブルもあって、打ち合わせを行うのにちょうどいいのだ。連休明けの明日からいよいよクリニックを再開するため、今日は、和彦を陰からサポートしてくれている長嶺組関係者を集めての最終確認を行っていた。開業が決まったときから担当してもらっているコンサルタントや、機器メンテナンスを行う業者が、クリニック内を行き来している中、和彦はソファに腰掛け、長嶺組でいわゆる総務を担当している組員から説明を受けている。 再開当日にトラブルが起きないようにと、念には念を入れての集まりのため、安心はしていられた。なんといってもすべての事情を把握している面々だ。お飾り経営者である和彦は取り繕う必要がない。 だがせめて、事前に告知があってもいいのではないかと、多少思わなくもない。クリニックで皆が集まると告げられたのは、今朝、ベッドを抜け出してからだったのだ。 大蛇の化身のような男の冷たい怒気を感じた気がして、和彦は小さく身震いする。話さなくても察してしまう。隠したくても暴いてしまう。あの男の慎重さと執念深さはそういう類のものだ。賢吾は確実に、和彦と南郷との間に〈特別なこと〉があったのを知っている。「新しく入ったスタッフの研修も問題なく終わりましたから、午後からのスタッフミーティングは明日の流れを確認するぐらいで大丈夫ですね」「しばらくは忙しくないだろうから、その間にみんながいろいろと慣れてくれたらいいかな」

  • 血と束縛と   第49話(35)

    「なあ、先生、御堂と寝たのか?」 内奥にある南郷のものは間違いなく興奮しているが、問いかけてきた声はひどく冷めていた。どういう表情をしているのか、想像するのもおそろしくて、和彦はシーツに顔を埋めたまま首を横に振る。 繋がりを解かれて体をひっくり返されると、両足を抱えられた。じっと見下ろしてくる南郷の眼差しの冷酷さに、この男は本当に長嶺の男しか見えていないのだなと、妙に感心してしまう。だからこそ、打算含みの関係が和彦と築けるのかもしれない。 すっかり形が馴染んだ南郷のものをすぐにまた内奥に受け入れる。見下ろされながら、力を失っている和彦の欲望は手荒く扱かれ、胸を揉まれて乱暴に突起を摘まみ上げられる。もう一度、南郷から同じことを聞かれた。「……どうして、あなたが気にするんです」「オンナがオンナを取り込むのに、それもありかと思ってな」 和彦は体を揺さぶられながら、南郷の気持ちになって今の問いかけの意味を推察する。 南郷が、硬く凝った胸の突起を口に含み、熱い舌で舐ってくる。されるに任せながら、乱れそうになる思考をなんとか保とうと努める。「ぼくが和泉家に行っている間に、何か、あったんですか? 御堂さんと……」 緩やかに内奥を突かれ、息を喘がせて和彦は問いかける。どうやら正解だったらしい。南郷はわずかに唇を歪めた。大したことじゃないと言われたが、少なくとも南郷が気にかける程度のことはあったのだ。「あいつは見た目は雰囲気のある美形だが、中身はえげつない極道だ。ほぼ堅気のあんたじゃ、簡単に手玉に取られる。特に最近の状況だと、どんな面倒に巻き込まれるかわかったもんじゃない」 第二遊撃隊の中で、この認識は共有されているのかもしれない。ほんの数日前に、中嶋から似たような忠告をされている。「正直、鉛玉ぶち込まれかけたうちの幹部より、あんたのほうが心配だ。弱いうえに、警戒心が薄いからな」「ええ、南郷さんに簡単に連れ去られるぐらいですから。……これ、皮肉ですからね?」「この状況で命知らずだな。やっぱりあんたは危なっかしい」 弄り

  • 血と束縛と   第49話(34)

    **「寝るなよ、先生」 強烈な脱力感に抗えず、意識を半ば手放していた和彦は、横向きにした体を揺さぶられてハッとする。全身を包み込む温かさ――というより、むしろ暑いぐらいの感触に、少し混乱する。 背にぴったりと重なっているのは、南郷の胸板だった。腰に回されているのは南郷の腕で、耳元に押し当てられているのは南郷の唇。一つ一つ感触を辿っていきながら、再び和彦の意識は遠のきかけたが、両足の間に手が差し込まれたことでやっと覚醒した。 南郷は執拗だった。和彦から限界まで精を搾り取りながら、全身に舌と唇を這わせてきた。和彦に興味があるというより、そうすることで賢吾との同化を試みていたのではないかと、行為の最中ぼんやりと考えていた。「んっ……」 当然の権利のように柔らかな膨らみをもさぐられ、手荒く揉みしだかれる。下肢の感覚はだいぶ鈍くなっているが、それでも何も感じないわけではない。ビクビクと腰を震わせると、獣の息遣いが耳にかかった。「あんたが教えてくれたんだ。長嶺組長は、こうするのが好きだと」「教えたんじゃなくて、あなたに強引に聞き出されたんです……」「同じようなもんだ」 明確に違うだろうと思ったが、指摘する気力も体力も惜しい。 尻の間に硬い感触が擦りつけられる。さすがにもう無理だと言おうとしたが、緩んだままの内奥の入り口を易々とこじ開けて、南郷の欲望が挿入される。ぐちゅりと音を立て、中に残っていた精が溢れ出してきたが、南郷にとってはいい潤滑剤だろう。軽く腰を揺すられながら内奥深くを突き上げられ、和彦は呻き声を洩らす。苦しさもあるが、襞と粘膜を強く擦り上げられると、じわじわと快感が滲み出てくる。「――あと一時間ほどしたら、ここを出る。晩メシにちょうどいい時間だ。帰りに、どこか店に入ろう。肉がいいな。分厚いステーキが食いたい」 下腹部を大きなてのひらで撫でられてから、ぐっと押さえつけられる。内奥でふてぶてしく動くものを反射的に締め付け、和彦は短く嬌声を上げる。 繋がったまま獣のように這わされると、背後から腰を掴まれて揺すられる。内奥深くを

  • 血と束縛と   第49話(33)

     頭で考えるより先に、体が動いていた。 南郷の腰に自ら乗り上がると、手探りで位置を確かめる。腰を浮かせて準備をしながら、恥ずかしいという気持ちすら消えていた。いっそのこと南郷の興奮が冷めてくれたらとも思ったが、蕩けた内奥の入り口に押し当てた欲望は、高ぶったままだ。「ふっ……」 和彦は慎重に腰を下ろしながら、内奥に逞しい欲望を少しずつ呑み込んでいく。自分の意思で、南郷を受け入れているのだ。「絶対に、〈賢吾〉を守ってくださいね。……あなたの命を使って」 下腹部からせり上がっていく苦しさに喘ぎながら、和彦は呟く。緩く腰を突き上げられ、ふらついて南郷の胸に手を突いていた。腰を掴まれ、それを合図に行為が熱を帯びていく。「んあっ、はあぁ――……」 時間をかけて南郷のものを内奥深くまで吞み込み、息を吐き出す。腹の中にふてぶてしい熱の塊があり、脈打っている。深く繋がってしまうと嫌でも認識せざるをえず、今になって羞恥と自己嫌悪の波が和彦に押し寄せてくる。 ここで冷静になってはいけないと、自分に言い聞かせる。今この場で和彦は、南郷を食らわなければならないのだ。「あんたは考えてることが表情に出すぎだ。悲壮さと動揺。羞恥に動揺……、あとは、発情」 南郷の揶揄に対して睨みつけると、腰を乱暴に突き上げられる。短く悲鳴を上げて前のめりとなると、今度は円を描くように内奥を掻き回される。ビクビクと全身をわななかせ、傍若無人に動く南郷の欲望をきつく締め付ける。「あっ……ん」 緩やかに腰を前後に揺さぶられ、和彦は背をしならせる。体の奥深くをぐうっと突かれて、痺れるような感覚が広がる。南郷が大きく息を吐き出し、尻の肉を強く鷲掴んでくる。 中からの強い刺激によって和彦のものは再び熱くなり、反り返っていた。先端からとろとろと透明なしずくが垂れ、凝視する南郷の視線を意識する。繋がって擦れ合っている部分を指の腹で擦られて、呻き声を洩らす。震える欲望を軽く扱かれてから、じっとりと熱を帯びた両てのひらが、汗に濡れた和彦の

  • 血と束縛と   第49話(32)

     粘膜を舐られ、舌の裏までまさぐられているうちに、唇の端から唾液が垂れ落ちる。和彦が息苦しさに喘いでいると、南郷の目元がうっすらと笑みを湛える。その頃には和彦の抵抗は緩慢なものとなり、易々とベッドの上に押さえつけられていた。のしかかってくる南郷の体は熱くなり、すでに汗が肌を滴っていた。引き締まった腹部をぐっと押し付けられる。和彦が意識するのは、百足の刺青のことだ。南郷の肌を伝って、自分の肌へと移動してくるのではないかと、ありえない想像をしてゾクゾクと体の奥が疼いた。 和彦の変化を読み取ったように、南郷が本格的に嬲りにかかる。和彦の肌に唇を押し当て始めたのだ。うろたえて半身を捩ろうとして、いきなり胸の突起を口腔に含まれ、きつく吸い上げられる。痛みを感じて声を洩らすと、今度は機嫌を取るように舌先でくすぐられ、甘噛みされた。 ごつごつとしたてのひらに体中をまさぐられながら、唇と舌による愛撫を加えられる。自分が触れてない場所があるのは許さないとばかりに、傲慢に、和彦のすべてを暴くように。「いっ……」 内腿に軽く歯を立てられ、このまま肉を食い千切られるのではないかと思って体が強張る。しかし怯えに反して、和彦の欲望は再び身を起こしていた。「あんたも人のことが言えないな」 和彦のものを軽く指で弾いて南郷が笑い声を洩らす。屈辱と羞恥で唇を噛むと、顔を上げた南郷に唇を塞がれていた。押し込まれた舌を通して唾液を流し込まれ、吐き出すことも叶わず嚥下する。あとはなし崩しに舌を絡め取られていた。 すでに充溢した大きさとなった南郷のものが、露骨な動きで和彦の下腹部に擦りつけられる。「……ここであんたを一方的に抱き潰してもいいんだが、それじゃあ、前回と同じだ。新たな関係となるのに、それはあまりに芸がない」 ようやく唇を離してから、南郷が白々しい言い回しをする。濃厚な口づけに半ば強引に酔わされていた和彦は、野獣の権化のような男を無防備に見上げる。何がおかしかったのか、南郷は口元を緩めた。「あんたは、俺の〈オンナ〉にはしない。長嶺賢吾を挟んで利害が一致しているだけの関係がいい」「それは…&hel

  • 血と束縛と   第49話(31)

     会話はここまでだと言わんばかりに、着込んだばかりのTシャツを無造作に脱がされる。無遠慮な視線にさらされて嫌悪感に肌が粟立つが、それでも和彦は南郷から視線を逸らさない。自分だけのためなら、押さえ込まれるにしても抵抗はできるのだ。しかし今は、賢吾のために身を張っていた。自分でも愚かだとは思うが、南郷に対して退くわけにはいかない。「弱いくせに強情だ」「余計な……お世話です」 和彦を辱めるためなのか、さらにパンツも引き下ろされる。南郷は歯を剥き出すようにして笑った。「そういえば、下着を貸してなかったな」「……わざとかと思ってました」 あっという間に裸に剥かれてから、両足を開かれる。相手が南郷ということもあり、意識しなくとも体が強張る。しかし南郷は、和彦のそんな反応すら楽しむつもりらしく、いきなり敏感なものを掴まれた。うっと声が洩れる。 和彦は顔を背けてきつく目を閉じる。さっさと終わってほしいと願うせいか、体は南郷の雑な愛撫にまったく馴染まず、違和感だけを訴えてくる。意外な辛抱強さで和彦のものを弄り続けていた南郷だが、苦笑交じりの呟きが和彦の耳に届いた。「本当に、強情だ……」 いきなり内奥の入り口をまさぐられて息が詰まった。唾液で湿らせたらしい指で擦られ、無意識に腰が逃げそうになるが、容赦なく中に侵入される。「うっ、うっ……」 内奥に収まった二本の太い指が蠢き、唾液を擦り込むように襞と粘膜を刺激する。本能的に締め付けた指が折り曲げられ、内奥を押し広げ、肉を解していく。感じやすい部分を丹念に指の腹で押し上げられ、じわりと和彦の下腹部が痺れる。次第に両足から力が抜けていくのが、自分でもわかった。 内奥から指が一度引き抜かれ、柔らかな膨らみをてのひらで包み込まれる。痛みを予期して喉を引き攣らせたものの、和彦の腰は誘うように揺れていた。「弱いところだらけだな、先生」 南郷の声が愉悦を含む。じっくりと柔らかな膨らみを揉まれながら、巧みに弱みを指先で弄ばれる。ビクビクと腰を震わせ、和彦はなんとか南郷の手か

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status