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第6話

Auteur: ロア
会場からは、さらに大きな拍手とまくし立てる声が湧き起こった。

慎吾の体がわずかにこわばった。言い訳をして逃れようかと迷ったその瞬間、理央が突然つま先立ちになり、彼の頬に素早くキスをした。

柔らかな感触が一瞬だけかすめた。

会場から割れんばかりの歓声と指笛が鳴り響いた。

慎吾はその場に立ち尽くし、耳の奥がじんわりと熱くなるのを感じた。

彼らは見事、あの豪華な飛行機のプラモデルを手に入れた。

ステージを降りる時、樹は興奮してプラモデルを抱きしめていたが、慎吾の表情にはほとんど喜びがなかった。彼は無意識に、佳奈の座っている席へと目を向けた。

佳奈は静かに窓の外を眺めており、ステージ上で起こったことには一切興味がないようだった。

席に戻ると、どこか気まずい空気が漂った。

慎吾は軽く咳払いをし、佳奈に説明した。「さっきのは……ただのゲームだ」

理央も慌てて口を挟んだ。「そうよ。佳奈さん、誤解しないでね。ただ景品をもらうためで……」

樹はプラモデルを抱えたまま慎吾と理央を見比べ、最後に佳奈を見て小声で言った。「お母さん、もしお母さんが出てたら、僕だってお母さんのこと全部答えられたよ……」

佳奈は顔を向け、静かな視線で彼らを見た。「ただのゲームでしょう。誤解もしていませんし、気にもしていません」

佳奈のあまりにも落ち着いた態度に、慎吾の胸の奥のざわめきはむしろ強くなっていった。

慎吾は取り箸を手に取り、切り分けられた鶏の照り焼きを一切れ佳奈の取り皿に置いた。「これ、食べてみろ。なかなかうまいぞ」

樹も父の真似をして、白身魚を取って、佳奈の皿に置いた。「お母さん、お魚食べて!」

佳奈は自分の皿に盛られた鶏の照り焼きと白身魚を見つめた。

鶏の照り焼きは彼女が一番嫌いな食べ物だった。また、白身魚も幼い頃に喉に骨を詰まらせて以来、すっかり苦手になってしまい、普段は滅多に食べない。

彼女は箸を取り、少しつついたが、口には運ばず、顔を上げて微笑んだ。「ありがとう」

その笑みは整っていたが、温もりはなく、まるで精巧な仮面を被っているかのようだった。

慎吾はその笑顔を見て、胸の奥がずしりと沈んだ。

隣でプラモデルに夢中になっていた樹でさえ、何かがおかしいと感じたのか、顔を上げて母親を見つめ、小さな顔に戸惑いと不安を浮かべた。

その食事は、まったく味のしないまま終わった。

帰り道、慎吾はまず理央を寮まで送った。

寮の前に着いても、理央は車を降りようとせず、少し気まずそうに言った。「慎吾さん、申し訳ないですが、ちょっとだけ一緒に上がって来てもらえませんか?部屋の電球が切れちゃって、昨日の夜からチカチカしていて、私一人だと……ちょっと怖くて」

慎吾はすぐに頷き、理央と一緒に寮へ上がっていった。

夜はすっかり更け、周囲は静まり返っていた。

20分近く待っても慎吾が降りてくる気配はなく、樹はすでにシートにもたれて眠ってしまっていた。

佳奈は眉をひそめ、車を降りて寮の中へ向かった。

理央の部屋のドアはわずかに開いており、中から灯りが漏れていた。

佳奈がドアの前に立ち、その隙間から覗くと、慎吾が椅子の上に立って見上げながら電球を替えており、理央は下で椅子を支えながら、じっと彼を見上げていた。理央の眼差しは、どこか彼にしがみつくような切実さを帯びていた。

電球を交換し終え、慎吾が椅子から降りると、理央が慎吾に手を拭くためのタオルを差し出した。その時、理央が突然足を滑らせ、「あっ」と小さく声を上げて、慎吾の方へと前のめりに倒れ込んだ。

慎吾は反射的に手を伸ばして理央を支えた。

その拍子に、理央の顔が慎吾の下腹部にまともに当たってしまった。

慎吾は一瞬息を詰め、体がびくりと強張る。理央を支える手に思わず力がこもり、浮き出た血管が彼の手の甲に白く走った。

彼は目を閉じ、喉を上下させながら、何かを必死に抑え込んでいるようだった。

理央は慌てて体勢を立て直し、顔を真っ赤にして何度も謝った。「ごめんなさい、慎吾さん!わざとじゃないの……」

ちょうどその時、慎吾が顔を上げ、玄関のドアの前に立っている佳奈の姿に気づいた。

慎吾の顔色が変わり、すぐに理央から離れて言った。「佳奈?どうして上がってきた?樹は?」

「車の中で寝てしまいました」佳奈は淡々と答え、二人を交互に眼でなぞった。「なかなか戻ってこなかったので」

「電球が少し替えにくくてな。もう終わった」慎吾は服を整えながら、佳奈に近づいた。「さあ、帰ろう」

帰りの車中、慎吾は一言も発さず、顎を固く引き結んでいた。

家に着くと、樹はぐっすり眠っていたので、慎吾が樹を抱えて子供部屋まで運び、佳奈は傷口の手当てに向かった。

佳奈が寝室に戻ると慎吾の姿はなく、浴室からかすかな水の音が聞こえてきた。

佳奈はベッドの端に座って本を読んでいたが、ずいぶん時間が経っても水の音は止まらなかった。

佳奈が慎吾を呼びに行こうと立ち上がり、浴室の前まで来たそのとき、浴室内から押し殺したような荒い息遣いと、かすかな低い声が聞こえてきた。

そして水の音に混じって、はっきりと名前が聞こえた。

「理央……」

佳奈は浴室のドアの前に立ち、無表情のまま、わずかに皮肉げに口元を歪めた。

彼女は手を伸ばすと、浴室のドアを押し開けた。
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