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第7話

Author: 落葉
ようやく退院した日、ちょうどその日は茉優と美月の誕生日だった。

同じ日に生まれた二人なのに、その扱いには天地の差があった。

美月は豪華なドレスに身を包み、まるで本物の令嬢のように傲慢に振舞っていた。

一方で茉優に用意されていたのは、古臭いデザインの、肌触りも悪い安っぽいドレスだけだった。

誕生日パーティーの会場では社交辞令が飛び交い、美月の前にはたくさんの贈り物が山積みされていたが、茉優の前には何一つなかった。

隅で独り座っていた茉優を見つけた司が、小声で慰めた。「茉優、ごめんよ。今は贈り物なんてできないんだ。ご両親を怒らせたら、婚約が破談になるし、お前を追い出すかもしれない……」

司は茉優の手を握り、いつもの愛情こもった調子で誓った。「もう少しだけ我慢してくれ。結婚したら、お前は自由になれるから。そしたら、もう二度とそんな思いはしなくて済むようになるさ」

しかし、茉優は静かに聞いているだけで、何も答えなかった。

それから、司会者が二人の主役にステージで願い事をするよう促した。

マイクを手にした美月は、愛らしい笑顔でこう言った。「私にはこれといって願い事なんてないです。お父さんやお母さん、お兄ちゃんに迎え入れてもらって、こんなに可愛がってもらって、それに司さんも私を大切にしてくれて……本当に幸せです!この願い事は、茉優さんにあげますよ!」

すると、会場中の視線が茉優に集まった。

茉優は車椅子を漕いで壇上に進むと、マイクを受け取り、客席の見慣れた、しかし今は他人のように感じられる面々を眺め、俊輔と司を凝視して、驚くほど淡々とした穏やかな声でこう言い放った。

「私の誕生日のお願いは――

司と兄に、二人がみんなに隠している『あの嘘』を、明かしてもらうことです」

その瞬間、会場の空気は凍り付いた。

みんなが一斉に顔色を一変させた。

そして、正宏と芳美は疑わしげな眼差しを司と俊輔に向けた。「嘘だと?一体何を隠している?」

俊輔は眉をひそめ、語気を強めた。「茉優!何をデタラメを言っているんだ?隠し事なんてあるわけないだろう!」

司も急いで歩み寄ると茉優の腕を掴み、焦りを滲ませた。「茉優、そんな冗談は笑えないよ!さあ、本当の願い事を言いな。なんだって叶えてやる」

必死に繕う二人を見つめ、茉優はふっと笑った。それは虚しくも悲しみに満ちた笑顔だった。

「本当の願い事なんて、特にないわ。あえて言うなら……生まれ変わっても、もう二度と出会わないように」

それを聞いて、司の顔色がさっと悪くなった。

陣内夫婦は怒りに震え上がった。「茉優!一体どこまで騒ぎを起こすつもりだ!?こんなめでたい日にそんな縁起でもないことばかり言わんでもいいだろう!」

二人はウエイターに向かって怒鳴った。「こいつをさっさと隅に引き下げろ!せっかくのパーティーが台無しだろ!」

こうして結果的に、誕生日パーティーは不愉快なまま幕を閉じた。

パーティーの後、茉優が車椅子を漕いで一人会場を出ると、美月はそのあとを追った。

運転手が美月を見かけて車を回して来ようとすると、美月は手を振って断った。「いいわ、今日運転免許をとったばかりだし、自分で運転してみるわ」

それから、美月は茉優にそのまま待つように言うと、駐車場へと向かった。

だが赤いスポーツカーを走らせてきた美月は、減速も回避もせず、そのままアクセルをベタ踏みし、路肩にいた茉優に向かって突進してきた。

パン!

茉優の体は巨大な衝撃を受け、空中に投げ出され、地面に叩きつけられた。

全身の骨が粉砕する激痛とともに、彼女は口と鼻から血を噴き出した。

そして、意識が暗闇に飲み込まれる前に、運転席で狂気と歓喜に顔を歪める美月の表情を、はっきりと見た。

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