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第312話

Auteur: 猫ちゃん
「なっ……!」

葵は悔しそうに歯を食いしばると、勢いよく立ち上がり、凪に手を上げようとした。

その時、ずっとデスクの前に座っていた大地がわざとらしく咳払いをする。

「二人ともやめなさい。姉妹で顔を合わせるたびに喧嘩して、みっともない。

それより葵、君にはいい報告があるんだろ?契約書を凪にも見せてやれ。人脈ってものをどう使うのか、少しは教えてやったほうがいいんじゃないか?」

父親の一言で、葵もようやく冷静さを取り戻した。

口では凪に勝てなくても、自分には大きな案件がある。

そう思うとたちまち得意げな顔になり、分厚い書類をバンッとテーブルへ置いた。

「黒崎グループと共同で進める、離島リゾート開発事業よ。これが成功すれば、二宮グループの売上は今年も来年も倍になるんだから」

大地も自慢げに口を挟む。

「葵が苦労して黒崎グループから取ってきた案件だぞ。それに比べて君はどうだ?空さんと正式に結婚して、あれだけ大事にされてるっていうのに、少しくらい夫に口添えすることもできないのか?」

「もしかして、お姉さんと空さんって、人前では仲良さそうにしてるけど、実際は大した関係じゃないん
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