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第153話

Author: 玉井べに
婚約?

そうだった、彼は珠希と婚約する。

夕星は目を伏せ、静かに「わかった」と答えた。

食欲がなく、適当に食事を済ませると夕星はお箸を置いた。

お手伝いさんが薬を持ってきた。

「これは……」

言葉を言い終える前に、夕星はそれを受け取り、あっという間に飲んだ。

余村先生からの薬だ。

夕星はもうすでに知っていた。

苦味が舌先に広がり、やがて胃に流れ込み、激しい吐き気が襲った。

夕星は我慢できず、洗面所に駆け込み、ひどく嘔吐した。

口の中が酸っぱく苦くなり、胃が空っぽになるまで吐いた。

洗面台に手をつき、鏡に映ったみすぼらしく憔悴した自分を見て、自嘲的な笑みを浮かべた。

夕星、あなた本当にみっともないわね。

「コンコンコン」とドアをノックする音がした。

夕星は水で顔を洗ってから、ドアを開けて出て行った。

ドアの前で、凌が無表情で彼女を見ていた。

夕星は少し驚いた。凌は今晩帰ってこないはずではなかった?

実際には何か話して、お互いの関係を和らげるべきだったが、結局、何も言えなかった。

夕星は黙って立っていた。

凌は淡々と彼女をしばらく見つめ、ようやく身をよけて夕星を通した。

「薬をもう一回飲め」凌は淡々と言った。

夕星は再び吐きそうになったが、我慢して「わかった」と答えた。

お手伝いさんが薬をテーブルに置き、そばに念の為チョコも置いた。

夕星が薬を飲もうとした時、凌がそばに来て言った。「吐いた分は飲み直せ」

夕星は我慢しながら、薬を飲み始めた。

薬はとても苦かったが、一気に飲むよりかは刺激が少なかった。

チョコを噛んでから、薬を再び一気に飲んだ。

凌はそばにいてずっと離れなかった。

彼は書斎に向かった。

夜の11時。

夕星はぼんやりとしたまま、何か異変を感じ取った。

目を開けると、凌の欲望に満ちた整った顔が目に入った。

彼は夕星の眉、頬、唇に荒々しくキスをした。

「凌……?」夕星は躊躇いながら呼んだ。

やや違和感があった。

何しろ、今の二人の関係を公表することはできないからだ。

凌は細やかにキスを続け、夕星の手首を枕の上に押さえつけた。

身体中に痺れるような感覚が走った。

夕星は唇を噛み、手首を引っ込めて彼の首に手を回した。

それまで比較的優しかった凌の動作が突然激しくなった。

夕星はほとんど
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