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第4話

مؤلف: 緋色の追憶
次の日の朝、ノックの音がした時、梓は窓辺に座ってぼんやりしていた。

背中の痛みが神経をじわじわとすり減らす。めちゃくちゃな夢ばかり見ていたせいで、朝から気力もなかった。

梓は返事をしなかったが、ドアは静かに開けられた。

梨花がお湯と薬を手に、にこやかな笑みを浮かべて入ってきた。

「梓さん、起きてたんですね。勇太さんは朝早くに町へ行きましたよ。出かける前に、サプリを持ってくるようにと頼まれたんだ」

梓は、サプリと一杯のお湯に目をやった。

怪しいくらいの白色をしたカプセルが、梨花の手のひらに静かに並んでいる。

あのコメントの言葉が、脳裏に蘇る。【それにね、あの男は私にみじめな思いをさせたくないからって、彼の妻にはずっとピルをサプリに見せかけて飲ませてるの……一生妊娠できないんじゃないかしら】

冷ややかな悪意が、その白くて無垢な殻から滲み出てくる。

ケロイドを抑えるために摂っていたものだが、実は過量なピルだったなんて。しかも、それは今、夫の愛人が直に自分に飲ませようとしている。

あまりの馬鹿馬鹿しさに、心臓を冷たい蔦で縛り付けられるようだった。

「そんなもんいらないわ」梓の声は、感情のこもらない平坦なものだった。「下げてくれない?」

梨花の笑顔が一瞬こわばった。しかし、すぐにまた、もっと優しげな笑みを浮かべる。「梓さん、わがまま言わないでくださいよ」

彼女は少し身を乗り出し、なだめるように声を潜めた。「早く傷が良くなってほしいから、ちょっと量が多いのも当然ですよ。あなたが早く元気になれば、勇太さんだって安心するじゃないですか、ね?」

梓は梨花の言葉を遮った。ベッドに手をついてゆっくりと上体を起こすと、背中の傷が引きつられ、痛みで顔は一層青ざめたが、その視線は凍るように冷たかった。

「あなたと勇太のこと、私に全部言わせるつもり?松尾さん、それとも……愛人さんって呼んだ方がいいかしら?」

梨花は凍りついた。まさか梓がこんなにもストレートに切り込んでくるとは、思ってもみなかったのだ。

数秒の沈黙の後、彼女の口元に、人を小馬鹿にしたような笑みが浮かんだ。

梨花はぐっと顔を近づけ、二人だけに聞こえる囁き声で早口に言った。「知ってて、どうするっていうんですか?今のあなたなんて、彼の重荷になるだけじゃないですか?この傷だらけの体を見て、勇太さんが興奮するわけないでしょう?」

彼女が言い終わる前に、梓は勢いよく腕を振り上げ、梨花のサプリでいっぱいの手を思い切り叩き落とした。

その勢いでお湯も手の甲にこぼれ、コップが床に落ちて粉々になった。

「きゃっ!」梨花は短い悲鳴をあげ、さっと手を引っ込めた。だんだん赤くなっていく手を見て、たちまち涙目になる。

ほぼ同時に、部屋のドアが乱暴に開けられた。

勇太がそこに立っていた。手にはレジ袋を提げていて、どうやら帰ってきたばかりのようだ。

「どうしたんだ?」彼は早足で部屋に入ってくると、低い声で尋ねた。

「勇太さん!」梨花の目から、堰を切ったように涙が溢れ出した。泣きじゃくりながら、涙声で訴える。「私、薬の時間になったから梓さんに持ってきて、『飲んでください』って言っただけなのに……きっとご機嫌が良くなかったのね、急に叩き落とされて……手が……痛い……っ」

彼女は真っ赤になった手の甲を差し出した。そこには、飛び散った粉末が微かに残っていた。

勇太は眉間にしわを寄せ、梓を睨んだ。その目には、明らかな非難と抑えた怒りがこもっている。「梓!何をしてるんだ!梨花は親切でやってくれてるんだぞ!彼女に八つ当たりするなんて、どうかしちまったのか?」

「私が、どうかしちまったの?」梓は笑った。だが、その目からは涙がこぼれ落ちていた。

「ええ、そうよ、私はどうかしちまったわ!どうかしてるから、あんたを何年も信じてきたの!気が狂ったから、あなたが罪悪感を抱いてるなんて、本気で思ってた!」

梓は、梨花の怪我をしていない方の手首を、ぐっと掴み上げた。「答えなさい!勇太に頼んで、私に飲ませようとしてるこのサプリは、一体何なのよ!」

梨花はきゃっと悲鳴を上げ、さらに涙を流しながら、助けを求めるように勇太を見た。「勇太さん!痛いっ……」

「梓!彼女を放せ!」勇太は一歩前に出ると、梓の腕を力ずくで掴み、引き離そうとした。

その力には、紛れもない怒りがこもっていた。

勇太は力ずくで梓の指を一本ずつ引き剥がし、彼女を後ろに突き飛ばした。それほど強い力ではなかったが、衰弱しきっていた梓をよろめかせるには十分だった。

鈍い音を立てて、梓の背中は硬いベッドのヘッドボードに叩きつけられた。

まだ治っていない傷口から引き裂かれるような激痛が走り、目の前が真っ暗になる。周りの音も景色も、全てがぼやけて遠ざかっていく。

彼女は体を丸め、唇を噛みしめることで、どうにか悲鳴をこらえた。

勇太は一瞬、はっとしたように動きを止めた。伸ばした手は、行き場をなくして宙をさまよう。しかし、梨花の赤く腫れた手と涙が目に入ると、そのわずかな躊躇は、すぐに苛立ちへと変わった。

彼は手を下ろし、今度は梨花の肩を支える。そして、少しだけ声を和らげた。「大丈夫だ。行こう、薬を塗らないと」

勇太は梨花の肩を抱き、急いで部屋を後にしていく。ベッドの上で痛みに震える梓のことは、一度も振り返らなかった。
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