誰にも見せたくない〜僕だけの君でいて?〜

誰にも見せたくない〜僕だけの君でいて?〜

last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-08-30
โดย:  鷹槻れんจบแล้ว
ภาษา: Japanese
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地味で目立たない、大学2年生の篠宮 沙良(しのみや さら)。 誰にも気づかれないその魅力に、八神 朔夜(やがみ さくや)だけは1年生の頃から気づいていた。 〝メガネを外したら可愛いのに〟 朔夜からの、ふとした言葉がきっかけで、沙良は少しずつ朔夜に心を開き始める。 逃げたかった相手の出現で、朔夜へ依存するようになっていく沙良。 それが、朔夜からの罠とも知らずに――。 「大丈夫。僕だけは、君の味方だから」 これは、執着と依存が織りなす、歪んだ〝愛〟の物語。 誰にも見せたくない――僕だけの君でいて? ※30,000字くらいで完結予定。 (2025/07/19〜執筆)

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Prologue~キミをひとり占めしたくて~
「沙良《さら》」 ベッド上。 ぐったりと、背後へ座る僕にしなだれかかっている沙良の首筋へ、そっと指先を這わせる。わざと爪を当てるように頸動脈付近を撫でたのは、キミの生死は僕が握っているんだよ? と彼女に知らしめたかったから。 「朔夜《さくや》……さん?」 意識のハッキリしない様子でぼんやりと僕の名を呼んでこちらを見上げてくる沙良の身体は、まだ微かに熱を宿していた。僕が指をスルスルと動かすたび、沙良の身体が反応して背中越し、か細い震えが伝わってくる。 「……なにかな?」 汗で首筋に張り付いた沙良の髪の毛を払いのけるようにして愛らしい彼女の耳を甘く食《は》みながら囁けば、沙良がビクビクと身体を震わせた。それはきっと快楽の名残だよね? 「それ、もぉ、イヤ……です」 口では拒絶しながらも、沙良は僕から逃げようとはしない――。 そのことに、僕は酷く満足した。 「それってどれ?」 言って、わざと意地悪くチュゥッと音を立てて沙良の耳たぶを吸い上げてから、首筋へ這わせた指先をツツツッと沙良の華奢な肢体に沿って下ろしていく。 余り大振りではないけれど程よく手にフィットする、形の良い双丘。 昨日から僕が夜通しかけて散々可愛がったそこは、全体がほんのりと赤く色付いて……ツンと天を突くように起ち上がったままの小さな乳首が、フルフルと震えながら懸命に存在を誇示している。 僕は愛らしいそこをわざと避けて色素の薄い控え目な乳輪に沿ってクルクルと指先を遊ばせて沙良を翻弄する。 「んっ」 触って欲しそうに身体を震わせる沙良が愛しくてたまらない。 「こんな……の……」 涙をにじませた瞳が僕を見上げてくる。か細い声で、拒むように……けれど縋るような声音で、沙良が吐息を落とした。 僕は、そんな沙良にふっと微笑んで、期待に震える沙良の乳首をキュッとつまんだ。 「やぁ、んっ」 「可愛いね、沙良」 素直に身体を震わせる沙良の耳元へそう声を落とせば、沙良の肩がふるふると震えてゆっくりと僕の手に白い手が添えられる。 「どうしたの?」 沙良がなにを求めているかなんて本当は分かっている。 だって、触れなくても沙良の秘所から、僕を誘うような甘酸っぱい蜜の香りがしてきているから。 「朔夜……さ、ん……」 沙良の小さな手が僕の指先を〝下
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-07-24
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キミを見つけた日①
キミのことを好きになってしまった瞬間、僕の中で何かが静かに音を立てて壊れていくのを感じた。 今までの僕ならば、素敵なものを見つけたらみんなに共有したいって思ったはずなのに。 なんでかな? キミのことは……キミの|魅力《こと》だけは……誰にも教えたくないって思ったんだ。 キミが誰よりも綺麗で……誰よりも可愛いことは、僕だけが知っていればいい。 誰にも知られたくない。 〝地味子ちゃん〟と揶揄われている眼鏡っ子のキミが、誰よりも美人で、誰よりも可愛いってこと――。 *** 全国各地に数ある国公立大学の中でも偏差値が高くて有名な『|明都《めいと》大学法学部』へ首位で入学したのは、実家が創業八〇年近い法律事務所を営む法律一家の跡取りたる僕には当然のことだった。 父も母も、そんな僕の頑張りを褒めてくれることなんてない。 いつもそう。 出来て当たり前。出来なければ両親から軽蔑の目で見られ、結果を出せなければ問答無用で|蔑《さげす》まれる。けれど……出来たときにはそれが当然なのだという顔をされてしまう。 それが、僕が育った|八神家《やがみけ》の日常だった。 大学入学を機に、そんな両親から離れて一人暮らしが出来るようになったのは僕にとって行幸だった。 表向きはニッコリ笑顔で誰にでも優しく。 生まれ持った美貌と、物腰柔らかな微笑み。 幼い頃から、両親に〝そうあるべき〟だと押し付けられ、自然と身についていたクソみたいな表の顔。 そうしていさえすれば、周りの人間も僕に好意を持って接してくれるということが分かってからは、人生をイージーモードに運ぶためにもこの〝仮面〟は重要だと学んだ。 そんな感じで一年生の春。 そもそも入学式で新入生代表として祝辞を述べた時から、僕は学内では有名な存在。 誰も彼もが僕に近付きたがったし、そんな|輩《やから》に対して僕はにこやかに応対した。 成績優秀でお高く留まったやつ。そんな風に思われないために、最新の注意を払って学生生活をスタートしたのだ。 その甲斐あって、僕のことを女子たちが密かに(?)『明都大の王子様』なんて恥ずかしいあだ名をつけて噂しているのを僕は知っている。 (ホント、みんなチョロいよね) なんて本心は、もちろんおくびにも出さないよ? でも、そんな僕
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-07-24
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キミを見つけた日②
僕の方を見ようともしないってどういうこと? そんな〝|稀有《けう》〟な存在に、僕は初めての敗北感を覚えた。 最初は本当、そんなくだらない理由で僕はキミに興味を持ったんだ。絶対に彼女に僕を認識させてやるんだ、ってね。 だけど――。 その後も、気が付けば僕は学内で彼女を見かける度に、妙に篠宮さんのことを気にしていることに気が付いて……ああ、これは〝よくない兆候〟だなって思った。 だってこの感じ。高校生の頃にクラスメートの女の子を好きになった時に似てるんだもの。あの時は僕が未熟過ぎて、せっかく好きな子と恋人同士になれたのに……彼女との距離の詰め方を間違えてしまって、最終的には彼女に気味悪がられて逃げられてしまった。 僕は誰かを好きになり過ぎると後先考えられなくなるところがあるらしい。 その子しか見えなくなって、世界が狭まってしまうんだ。 でも大丈夫。……僕は成長のない子供じゃない。 あのとき負った痛手からちゃんと学習しているし、あの時と同じ轍《てつ》は二度と踏まないつもりだ。 そのために、大学では心理学系の授業を取れるだけ取るようにしている。 先に篠宮さんと一緒のクラスになった心理学概論もそうだったし、今から受ける犯罪心理学入門にしてもそう。 まさか心理学概論に続いて犯罪心理学入門の講義でも、またキミに会えるだなんて思っていなかったけれど、僕は文学部の身でありながら心理学系を沢山取っている彼女に、さらに興味をそそられたんだ。 篠宮さんは何のためにこんな授業を取っているんだろう? 僕みたいに弁護士を目指す法学部の人間というならば、犯罪者の心理や依頼者の心理を知るためにそういうものが役立ちそうだというのは何となく分かる。現に、同じ学部からそれ系の講義を選択している人間は多いし、中には必須になっている科目だってある。 けど、文学部の彼女がそれを学ぶ理由は何だ? 僕はいつも行動をともにしている――勝手についてきているだけだけど――法学部のメンバーからうまいこと言って離れると、わざと彼女が見える近くの席を陣取った。 〝文学部の篠宮《しのみや》沙良《さら》さんだよね? 僕は心理学概論でグループワークを一緒にした八神《やがみ》朔夜《さくや》。――覚えてる?〟 喉のところまで出かかったそんな言葉を、僕はあえて呑み込ん
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-07-24
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キミを見つけた日③
篠宮さんは、いつもレンズの厚い、太フレームの角張った眼鏡を掛けている。それがとても野暮ったく見えるのだ。 同じように眼鏡を掛けた女の子でも、彼ほど冴えない感じには見えないから、きっと……デザインが彼女の顔に合っていないんだろう。 篠宮さんの|儚《はかな》げな顔の雰囲気なら、いま彼女が掛けているような角ばった印象の太いフレームのウェリントン型より、丸みを帯びた華奢なラインのラウンド型やボストン型の方がしっくりくる。 髪の毛も、周りのキラキラした女子たちは割と明るめの色に染めてみたり、毛先を軽くしてエアリーさを出していたりするけれど篠宮さんは黒髪を切りそろえただけといった雰囲気。 一応美容院で軽く|梳《す》いて毛量は減らしているようではあるけれど、圧倒的に美容院へ行く率が低いんだろう。黒髪というのもあって、どんよりと重く見える。 (もう少し明るめの色合いの髪にしたら似合いそうなんだけどな?) ついでに眼鏡はない方がいい気がするけれど、外したところを見たことがあるわけじゃないのでこの辺はあくまでも僕の勝手なイメージだ。 いつものようにぼんやりと篠宮さんを観察していたら、どうしたんだろう? 彼女がしきりに目をしばたたいているのに気が付いた。 (目にゴミでも入っちゃった……?) だとしたら洗いに行った方がいいんじゃないかな? そう思って、彼女に手を差し伸べるべく僕が立ち上がりかけた時だった。 篠宮さんが不意にギュッと痛そうに目をつぶったかと思うと、ポロポロ……と右目から涙を落とし始めた。そうして幾分オロオロした様子で鞄の中をあさって小さな手鏡を取り出すと、眼鏡を外して目の辺りをチェックし始める。 (えっ? ちょっと待って? 嘘だろ……?) 僕はその時、初めて彼女の|裸眼《すがお》を見たんだ。 (ヤバイ……。めっちゃ可愛いじゃないか) 篠宮さんが眼鏡を外していたのはほんの十数秒足らず。束の間の出来事だった。 しかも篠宮さんはその間もいつもどおり。ほぼうつむいて一連の作業をこなしていたから……きっと僕くらいしか彼女が眼鏡を外した顔に気付いていないんだ。 そのことが、僕にはたまらなく幸運なことに思えた。 彼女の素顔は、誰にも見せたくない。 篠宮さんが、眼鏡を外したら物凄い美人さんになるということは、僕
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-07-24
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キミを見つけた日④
 篠宮《しのみや》沙良《さら》の美しい素顔を見たあの日から、僕は以前にも増してより一層彼女のことを目で追うようになっていた――。(……あ、いた! 沙良だ!) 時間が許す限り、ずっとキミのことを見詰め続けていたからかな? いつの間にか自分の中でキミのことが〝篠宮さん〟から〝沙良〟に昇格《へんか》していたことにも気付けないくらい、僕はキミに夢中だった。 校内でキミのことを見かける度、心がうるさいくらいに反応して踊り騒ぐ。……だけどそれを態度《おもて》に出さないよう素知らぬ顔をするのが結構大変だった。(沙良、今日も一人ぼっちだね……) ずっと沙良だけを見ているから分かる。 沙良はとにかく誰ともかかわろうとしないし、人と目を合わせることすら避けているように見えるんだ。 そのことに妙に安心すると同時に、僕はその理由が知りたくてたまらなくなった。 だってそれを知らないと【僕だけを除外】してもらう術が見いだせないからね? 試しに、僕は沙良と同じ文学部の子たちに何気なく聞いてみたんだ。「篠宮沙良って子、知ってる?」 って。 けど、返ってきたのは「え? あの陰キャ?」と鼻で笑うような反応だった。(……何様だよ、お前ら) 明らかに彼女のことを小バカにしたような物言いをする女の子たちに、僕の胸の奥で微かな苛立ちが膨らんでくる。(キミたちよりよっぽど彼女の方が可愛いからね?) そう思ったけれど、僕はそれ以上なにも言わなかった。 だって沙良の魅力は、僕だけの秘密だもの。わざわざそれが分からないやつらに教えてやる必要なんてない。 〝誰にも気づかれないその美しさ〟を独り占めするように、僕はそれからもずっと……静かに彼女を見守り続けた。 ――そうして迎えた二年生の春。 キャンパス内の掲示板前で、僕は沙良が手にしていた資料を落とした場面に偶然遭遇した
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-07-27
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キミが変わり始めた日①
 あれから、沙良《さら》とまたあんな風に言葉を交わせる機会はなかなか巡ってこなかった。 僕の周りにはどんなに追い払っても……相変わらずしつこいくらいに取り巻きみたいなのが四~五人ずつくっ付いていたし、彼らを振り解いたところで運よく沙良とふたりきりになれる率は、限りなくゼロに近かった。 でも……それでいいんだ。僕はちっとも焦っていない。誰かの懐《ふところ》へ入るには、ゆっくり、じわじわと近付かなきゃいけないんだ。急《せ》いてはことを仕損じるとはよくいったもの。 気持ち的には今すぐにでも沙良を捕まえて、僕の手の中へ囲ってしまいたい。その思いは日増しに強くなっていたけれど……そう|希《こいねが》ってしまうからこそ、急いじゃいけないんだ。 どうにか沙良の油断を誘って、誰よりも近い存在に自然と収まらなきゃ。*** あれから一ヶ月余り。 僕と沙良の間には、さしたる進展もないままに月日だけが無為に過ぎていた。(あ……、いたっ。沙良だ!) 僕は、構内のカフェテリアの片隅で本を読んでいる沙良をたまたま見つけて、嬉々とした。だけどそんなのはおくびにも出さずポーカーフェイス。何気ない風を装ってカフェに入ると、沙良からは死角になる位置に陣取って、彼女の一挙手一投足を見逃さないようじっと観察する。(ああ、沙良。今日も可愛いね……。けど――) せっかく以前眼鏡が似合っていないことを指摘してあげたというのに、彼女はまだ野暮ったい眼鏡を掛けたままだった。(どういうことだろう?) 大抵の女の子なら、僕が「その方が可愛く見えるよ?」と指摘すれば、尻尾を振ってイメージチェンジを図ろうとする。 だが、どうやら沙良は違うようだ――。 まるで僕からのアドバイスなんてなかったみたいに……それこそかたくなに外部との距離を取ろうとしているようにさえ見える。わざとらしいくらいに冴えないその見た目には、もしかしたら僕が知らないだけで何か彼女なりの〝特別な意味〟があるのかも知れない。 そうして……僕も実際のところ、僕の指摘通りにしなかった沙良を見て、――それこそ矛盾だらけなことに――ホッとしていたりもするんだ。 思わず沙良にあんなアドバイスをしてしまったけれど、もし彼女が一念発起してコンタクトレンズデビューなんて果たしてしまっていたら、僕はきっとすごく焦ったはずだ。 まだ沙良を僕の内
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-07-29
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キミが変わり始めた日②
あれから、二週間ほどが経った。 沙良《さら》とは、相変わらずまともに言葉を交わせていないまま。 僕のアドバイスなんてなかったかのように、彼女は今日も野暮ったい眼鏡をかけ続けていた。 ――けれど、それでもいい。別に焦る必要はない。 それよりも、まずは急がず焦らず、ただじわじわと染み込ませるように沙良に近付く方が先決だ。 そう思っていた矢先だった。 (……あれ?) 構内のカフェテリアを通りかかったとき、ふと視界の端に見覚えのある姿を見つけた僕は、思わず立ち止まった。 沙良だ。 彼女はいつものように顔を伏せがちにしてカフェの隅っこの方で本を読んでいた。チラチラと見えるその横顔を見て、僕はちょっとした違和感を感じたのだ。 (少し、髪を切った?) ほんのわずか。たった数センチの変化。 けれど、以前よりも顔周りがすっきりして、表情が見えやすくなっていることに、僕は気が付いた。伊達に毎日沙良を見ていないからね。 (……何か、あったのかな?) もちろん、それが僕の言葉の影響かなんて分からない。いや、むしろただ単に前髪が鬱陶しくなっただけという可能性の方が高い気がした。だって眼鏡は依然として野暮ったいままだから。 それでも、彼女の中にわずかな変化――揺れ?――が生まれた。僕はそんな風に感じたんだ。 あれほどかたくなに変化を嫌っていた彼女が、ほんの1ミリでも何かを変えた。 僕はその事実に、胸がざわつくのを感じて……。 (……もう少し、近づいてみようかな?) その衝動に従って、僕は何気ない風を装ってカフェテリアに入ると、カウンター席の角へ座る沙良の、すぐ後ろのテーブル席へ向かった。 そうして、あえて沙良の後ろを通るとき、わざと手にしていた荷物をばさりと床へ落したんだ。 「あっ」 物が落ちる音と、僕の驚いたような声音に、沙良が読んでいた本から顔を上げると、ちらりとこちらを振り返る。 僕はそのチャンスを絶対に逃がさないと決めていたから、バッチリ沙良と目が合った。 きっと、沙良としては気付かれないように様子を見たつもりだったんだろう。 「……っ!」 声なき悲鳴を上げて瞳を見開く様が可愛くて、僕は心の中で一人悶えた。 「騒がせてごめんね」 だけど表向きはそんな歓喜の心なんておくびにも出
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-07-31
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キミが変わり始めた日③
日頃お節介な人間に囲まれている僕には、沙良のそう言う引っ込み思案で決断力に乏しいところも凄く新鮮で可愛く感じられてしまうから重症だ。 (もう一押しかな?) そう考えた僕は、拾い上げたばかりの筆箱から、シャーペンを一本だけ、再度落っことした。 「あっ」 拾おうとする素振りでもう一度手にしたものをばらまくという念も入れておいた。 これにはさすがの沙良も動かずにはいられなかったみたい。 慌てて立ち上がって、僕が落としたばかりのものたちを拾うのを手伝ってくれた。 「ありがとう。何か今日、荷物が多くて……」 僕はチャンス到来とばかりに、彼女にニコッと微笑んでそう告げると、さも今気づいたと言わんばかりの口調で「あ……キミ、もしかして前に……」とつぶやいた。 沙良もきっと最初から僕のこと、誰だか気付いていたんだろうな。 「この前と逆になっちゃったね」 多くは語らず、僕がクスッと笑ったら、「……ですね」と小声で首肯してくれた。 「――隣、いい?」 こうなったらもっと押さなきゃダメだ。 大分長い時間をかけてもなかなか沙良に近付けるチャンスが訪れなかったことを思い出して、僕は行動に出ることにした。 僕は沙良が押しに弱いことを知っている。だから、問い掛けたくせに、あえて彼女の返事を待たずにカウンター席の一番端っこの彼女の席の、すぐ隣へ荷物を置いた。 「あ、あのっ」 そわそわする沙良の手元を見た僕は、前々からチェック済みで知っていたことをつぶやく。 「それ、……去年の『発達心理学』のテキストだよね?」 僕の言葉に沙良がビクッと肩を揺らして、僕をじっとみつめてきた。その目が、恐れと戸惑いで揺れているのが分かる。 あー、失敗したかな? いきなり距離を詰め過ぎたかもしれない。 けれど僕はそんな気持ちは微塵も表に出さず、すぐに、やわらかく微笑んで言葉を続けるんだ。 「ごめんね。驚かせちゃった? 僕は法学部の八神《やがみ》朔夜《さくや》。去年、心理学概論で同じグループだったの、覚えてるかな?」 沙良は、ほんのわずかに視線を伏せたまま、小さくうなずいた。 「……覚えて、ます……」 「そっか。よかった。 ――で、えっと……キミの名前は……」 そこでわざとらしく間を空けて、天を仰いでみせる。 「確か……篠
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-08-02
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キミが変わり始めた日④
「ずっと立たれてたら落ち着かないし……座ってくれたら嬉しいな?」 |沙良《さら》は少し迷ってから、また小さく頷いてようやく僕の隣に腰を落ち着けてくれる。 そこで僕はホッとしたように話を続けるんだ。「――あの時にさ、僕がキミの眼鏡のことを言ったのは覚えてる?」 途端沙良がギュッと両手に力を込めてうつむくから、僕は彼女の中に僕の言葉が残っていると確信する。「ごめんね。知り合いのつもりで馴れ馴れしく要らないことを言ったんじゃないかって……実はずっと気になってたんだ」「……え?」 まさか僕から謝られるなんて思っていなかったんだろう。いや、沙良のことだから、むしろ『どうして僕のアドバイスを聞かないの?』って責められるとか思っていたのかも知れない。 思い返してみれば、沙良のさっきの表情は、そんな脅えを孕んでいた。「怒って……るんじゃ……ないん、です、か?」 ほらね、やっぱり。 沙良のしどろもどろな問い掛けに、僕は内心(沙良らしいな)とほくそ笑みながら、実際には驚いた顔をして見せる。「どうして僕が怒るの? 女の子の容姿に要らない口出ししたんだよ? 責められるのは僕の方だと思うんだけど……」 心底そう思っているという〝ふり〟をして見せたら、沙良が「ごめんなさい……」と小さくつぶやいた。(ああ、沙良! キミはやっぱり僕が見込んだ通り、従順で可愛いね!) 彼女が実際には悪くもないことで僕に謝ってくれた。たったそれだけのことで、胸が高鳴る。少しずつ、だけど着実に――。彼女との距離が縮まっていると感じた。「ここまで説明してもまだ『ごめんなさい』って言っちゃうんだね。ねぇ、沙良さん、なんで謝るの? って聞いてもいい?」 彼女はきっと「ありがとう」というべきところを「ごめんなさい」とか「すみません」とか言っちゃうタイプだと思う。 そう思っていながらもあえて聞いてみたのは、もしかしたら違う答えが返ってくるかも? って期待したからだ。 沙良は僕が今まで接したことのないタイプの女の子だったから、ひょっとしたら僕の思考回路の斜め上を行くかもしれない。 僕の問い掛けに束の間逡巡した様子だった沙良が、ややして俯き加減。僕の目を見ないままにポツリとつぶやいた。「せっかく……八神さんが良かれと思ってアドバイスして下さったのに……私が無下にしてしまったからです」「え
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-08-04
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キミが変わり始めた日⑤
沙良《さら》が、大きな瞳を潤ませながら、力なく僕に投げかけてきた秘密を持ち掛ける声は震えていて……それを聞いた瞬間、僕は胸の奥に妙な熱が生まれるのを感じたんだ。 (ああ……見つけた。沙良の〝弱点〟) それを、無理やり暴くつもりはない。 でも、彼女の方から「秘密にして?」と言わせられた時点で、僕の勝ちだ。 もちろん黙ってうなずけば、そこで終わり。 けれどごめんね。僕は、もう少しだけ、キミを追い詰めたい。だってそうだろ? こんな風にキミのことを深く深く知ることが出来る機会なんてそうそうないんだから。 「秘密にするのは構わないよ? けど、ひとつだけ教えて? どうして……わざわざそんな可愛い顔を隠そうと思ったの?」 「え、……あ、あの……それは……」 「ごめんね? 言いにくいことだっていうのは、重々分かってるつもりなんだ。でも……本来ならみんな、少しでも自分を良く見せたいって思うものでしょう? それをそこまでって……よっぽどなことだなって思って。――沙良さえよければ、僕にキミが抱えてるモノを少しでいいから背負わせて?」 問いかける声は、限りなく優しく。 けれどその実、彼女の内側へ踏み込むための、針のように細い楔《くさび》だった。 「ごめん、沙良。やっぱりイヤ……だよね」 心底申訳ないことを聞いたね、という調子で密かにダメ押しの言葉を添加すれば、沙良が一瞬だけ唇を噛んでからゆっくりと視線を落とした。 沈黙が数秒つづいたあと、小さな声でぽつりぽつりと語り始める。 「……高校三年のとき、受験のために塾へ通っていて……」 そこまで言ったきり、彼女は一度、言葉を飲み込んだ。 けれど、やがて覚悟を決めたように続きを話し始める。 「その塾の先生が、最初はただ親切な人だと思っていたんです。年上で、とても落ち着いていて……他の先生たちより親身になって勉強を見てくださることが多くて……。それだけで、私……安心してしまって」  彼女の声はかすかに震えていたけれど、話を止めることはなかった。 「でも、ある日……授業のあとに待ち伏せされてて。『篠宮は他の先生たちには見せない笑顔を、俺にだけくれるね? それは俺のことを特別に思ってくれてるからだろ?』とか……勝手に、勘違いされて……」 沙良は、手をぎゅっと握りしめた。 机の下で、その
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-08-06
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