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第346話

Penulis: 炭酸が抜けたコーラ
デザイン部の自動ドアが、心愛の背後で静かに閉まった。

その小さな吸着音が、この時の彼女には、まるで断頭台の刃が落ちる音のように聞こえた。

心愛は、自分がどうやってデスクまで戻ってきたのか分からなかった。

足元は深い雪の中を歩いているように重く、一歩踏み出すたび、全身の力が削り取られていく。頼りない足取りだった。

周囲から向けられる視線には、同情や嘆息だけではない。

それ以上に、「他人の不幸は蜜の味」とでも言いたげな、好奇心と野次馬根性が滲んでいる。

彼女は、それを肌で感じ取っていた。

ようやく自分の席へ辿り着き、硬くなった身体のまま椅子へ腰を下ろす。

指先がペンタブレットに触れた。

アルミ合金の冷たい感触に、心愛は小さく身震いした。

碧が書類の束を抱えたまま、引きずるような足取りで近づいてくる。

青白いほど血の気を失った心愛の顔を見つめ、彼女は何か言おうと唇を開いたが、その声は蚊の鳴くように小さかった。

「深水さん……お水、飲めますか?」

碧はピンク色のマイボトルを、そっと心愛の前へ差し出した。

心愛は、まだ閉じていないモニター画面を見つめていた。

瞳の奥
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    デザイン部の自動ドアが、心愛の背後で静かに閉まった。その小さな吸着音が、この時の彼女には、まるで断頭台の刃が落ちる音のように聞こえた。心愛は、自分がどうやってデスクまで戻ってきたのか分からなかった。足元は深い雪の中を歩いているように重く、一歩踏み出すたび、全身の力が削り取られていく。頼りない足取りだった。周囲から向けられる視線には、同情や嘆息だけではない。それ以上に、「他人の不幸は蜜の味」とでも言いたげな、好奇心と野次馬根性が滲んでいる。彼女は、それを肌で感じ取っていた。ようやく自分の席へ辿り着き、硬くなった身体のまま椅子へ腰を下ろす。指先がペンタブレットに触れた。アルミ合金の冷たい感触に、心愛は小さく身震いした。碧が書類の束を抱えたまま、引きずるような足取りで近づいてくる。青白いほど血の気を失った心愛の顔を見つめ、彼女は何か言おうと唇を開いたが、その声は蚊の鳴くように小さかった。「深水さん……お水、飲めますか?」碧はピンク色のマイボトルを、そっと心愛の前へ差し出した。心愛は、まだ閉じていないモニター画面を見つめていた。瞳の奥には、葵のあの陰湿な笑みが焼き付いたままだ。ボトルを取ろうと手を伸ばすが、指先が激しく震え、うまく力が入らない。「高橋さんも……因果応報って、あると思う?」ようやく零れ落ちたその声は、酷く掠れていた。まるで砕けたガラス片を、そのまま喉に流し込んだような声だった。碧は一瞬で目を真っ赤にすると、その場にしゃがみ込み、心愛の冷え切った手の甲を両手で包み込んだ。「深水さん、そんなこと言わないでください……!社長が調べてくださってるんでしょう?裏で糸引いてるクソ野郎なんて、絶対に引きずり出せますって。葵なんか、もうボロ雑巾みたいな命です。どこにも逃げられるわけありません」心愛は返事をしなかった。ただ、デスクの角に残った、長年の摩耗で白く剥げた跡をぼんやり見つめている。胸の奥にようやく芽吹きかけていた希望が、今また、ゆっくりと闇に侵食されていくのを感じていた。その時だった。デスクの上のスマートフォンが、突然激しく震え始める。ブー、ブー――心愛は視線を落とした。表示された名前は――「梅原瑞人」。その名は、かつてI国の猛吹雪の中で、彼女に

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