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第7章5節「その手を、手放さないように」

last update Last Updated: 2025-12-12 18:52:55

「……なるほど。なかなか安定していますね」

監察官の声が少し緩む。

正式な手順で、厳密に測定しても波は一定。

成功した、と心の中でほっとする。

レオンは微笑み、私の手を握ったまま耳元で囁く。

「ヒスイ、よく耐えましたね。君の努力は、僕にはすべて分かります」

「……レオン……ありがとうございます……」

胸の奥が熱くなり、涙が滲む。

監察官は測定を続けながら、慎重に記録を取る。

正式な手続きのため、急かされることはないが、私の胸の奥には緊張感が張り付いている。

「お嬢様、今回の結果は正式な記録として提出されます。安定していますので、問題はございません」

その言葉に、私はようやく肩の力を抜く。

レオンは優しく私の頬に触れ、目を合わせる。

「ヒスイ、君は本当に立派でした。僕は誇りに思います」

甘さと安心感に胸が締めつけられる。

「……レオン……」

小さく呟き、彼の胸に顔を押し当てる。彼の温もりが、私を包む。

正式な監査は無事に終了し、監察官たちは礼をして退出する。屋敷内には再び静けさが戻り、私は深く息を吐く。

「……これで、少し安心できます」

「安心してください、ヒスイ。君の秘密も、君自身も、僕が必ず守ります」

レオンの声は穏やかで、紳士的。胸の奥が甘く熱くなる。

庭の風が柔らかく吹き、花々がそっと揺れる。私たちを包む緊迫と甘さ――これが今の私のすべてだ。
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