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第5話:炎と舞の国づくり、はじめました

ผู้เขียน: fuu
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-07-04 12:00:18

「ねぇ、鍛冶師ってどんなイメージ?」

突然の質問に、カイラムが首をかしげる。

「そうだな……腕っぷしが強くて、無口で、鉄を打ち続けるような男か?」

「正解!でも正解すぎて困るわ!」

エリシアは困ったように髪を掻いた。

その日、村の端に“流れ者の鍛冶師”が現れたという報告を受けた彼女は、さっそく応対に向かったのだが――

「よう。ここが噂の新国家か?」

振り返ったその声の主に、エリシアは軽く引いた。

がっしりとした体躯に、裸に革のエプロン。額には巻かれた布、背には巨大な金床を背負っている。すでに暑苦しい。

そして、その男はにやりと笑って言った。

「おう、名乗りが遅れたな。俺の名はヴァルド=アイアンフィスト。鍛冶師だが、建国とか国家とか聞くと血が騒いじまってな。」

「……うん、すっごく面倒くさそうな予感しかしない!」

その予感は、見事的中した。

◆◆◆

「火力が足りねぇ!炉を3つに増やせ!」

「水だ!水持ってこい!このままだと……。」

「村ごと燃えるぅうううう!!!」

数日後、グランフォード領の鍛冶場予定地では、軽いパニックが発生していた。

爆ぜる火花、黒煙、逃げ惑うメイド達、叫ぶ魔族。

「ちょっと!なんで鍛冶場で火事になってるのよ!」

「違う!これは計画通りだ!これは“儀式”なんだ!」

「儀式!?何の!?建国炎上の!?」

止めに入ろうとしたエリシアが、煙に巻かれ床に倒れる直前――ふと見えた。

ヴァルドの作った武具。その表面は魔力を透過する美しい文様に覆われ、明らかに並の鍛冶とは一線を画していた。

「……なにこれ、すっご……。」

そして、煙の中から立ち上がるヴァルドは、自慢げに言い放った。

「見たか?これが俺の技術。“魔炎鍛造”ってやつよ。魔力を通す鉄を作れるのは、今や俺だけさ。」

「……でも村は燃えたわ。」

「それは……次から気をつける……。」

「いやまず謝って!!」

◆◆◆

その夜、落ち着いた鍛冶場跡で、ヴァルドがぽつりと呟いた。

「……俺の故郷も、昔は火で消えた。魔物が落とした炎の粉ひとつで、全て燃えちまった。」

「……。」

「それでも、火でしか作れないものがある。だから俺は、火を恐れない。“守るための火”にするって決めてんだ。」

その言葉に、エリシアの中に何かが響いた。

「……じゃあ、次は燃えない鍛冶場、作ろっか。」

「おう、任せろ!燃えない火を見せてやる!」

「いやその理論、ちょっと怖いわ……」

こうして、鉄火の鍛冶師ヴァルドは、国家の技術屋として迎え入れられた。

彼の炎は、国を燃やすことなく、“未来”を鍛えていくのだ――たぶん。

◆◆◆

「ねぇ、カイラム。うちの国、娯楽って何があるっけ?」

「……パンがうまい。」

「それ、娯楽じゃなくて主食!!」

エリシアの嘆きに、リビアがこっそり手を挙げた。

「実は、最近、謎の踊り子が村の端で踊ってるという報告が……。」

「もっと早く言ってよそれ!!うちの国の広報アイドル候補じゃないの!」

そんなわけで、エリシアはすぐさま“謎の踊り子”の元を訪ねた。

そこにいたのは、月明かりの下で静かに舞う、一人の女性。

長い黒髪に、翡翠のような瞳。しなやかな肢体を絹のような衣装が包み、動くたびに鈴の音が微かに鳴った。

「……あら、お客?」

微笑んだその人こそ、後にグランフォードの“情報と芸術”を司る者となる、ネフィラ=リィン。

◆◆◆

「あなた、何者?」

「旅の踊り子よ。ただし、踊るだけが能じゃないの。」

ネフィラは、さらりとポケットから何かを取り出す。王家の使う通信用の紋章印――つまり、王族の関係者。

「……スパイ?」

「ご名答。だけど今は、亡命者よ。」

そう言って、彼女は自らの素性を語り出す。

彼女はかつて王家に仕えていた“影の舞姫”。宴で踊る一方、裏では密命を受け、各地で動いていた諜報員。

しかしある日、“魔王の遺産”を探す任務の過程で、“禁じられた書”を見てしまったという。

「そこに書いてあったの。“遺産は力ではなく記憶”。そして、“王はそれを改ざんしようとしている”って。」

「記憶……?」

「うん。この世界の根幹を変えるほどの、大きな記録。それが“魔王の遺産”の正体かもしれない。」

重くなる空気。カイラムが珍しく、鋭い声を発した。

「記憶……つまり、世界そのものを書き換える力、ってことか。」

「……っぽいわね。」

その力を求め、王家の一部が動き出している。記録を“都合のいい真実”に書き換えるために。

ネフィラはそれに抗い、命からがら逃げてきたというのだ。

◆◆◆

「で?今後どうするつもり?」

「もちろん――あなたたちの“舞台”で踊らせてもらうわ。」

ネフィラはにやりと笑う。

「私の踊りは戦でも外交でも使える。情報も流通も、裏の仕事もお手の物よ?」

「うちの国、思ったよりスパイ向きね……。」

「でも条件があるわ。」

「条件?」

「舞台をちょうだい。“舞姫ネフィラ”として、この国で堂々と生きる場所を。」

エリシアは一瞬黙り――ぱんっ!と手を叩いた。

「よし!なら国家行事第一弾は、“ネフィラ就任記念・初ステージ公演”よ!」

「ちょっ、そんな突然!?」

「いいじゃない、目立った方が情報も集まりやすいでしょ?」

こうして、ネフィラは“表の踊り子・裏の諜報官”として、国家に組み込まれることとなった。

◆◆◆

公演当日。

夜空の下、灯籠が揺れる会場に、ひときわ大きな拍手と歓声が響く。

「ネフィラ様、きれい……。」

「すごい……涙が……。」

その中に、ただ一人、感動で鼻水をすすっている少女――

「うぅ……か、完璧すぎて嫉妬できない……!」

「だからお前はどっちなんだエリシア!」

カイラムの冷静なツッコミが響く中、ネフィラのステップは夜空を切り裂くように輝いていた。

舞の中、彼女の目は確かに“陰謀の気配”を捉えていた。

(王家の影が動いてる――この国を壊す前に、踊り切ってみせるわ)

――そして舞は続く。国家の運命と、過去の真実が絡まりながら。

——〈次話〉“世界を繋ぐ旅人と、届かぬ書状”

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