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第6話:世界を繋ぐ旅人と、届かぬ書状

ผู้เขียน: fuu
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-07-05 12:00:42

「ねぇカイラム、郵便制度って今どこまで整ってるの?」

「……ハトと足の速いおっさんだな。」

「時代が交差しすぎてて情報が消化できない!!」

グランフォードの発展が進むなか、次なる課題は「通信」だった。

美食、衣装、教育は順調に整備されつつあるが、外との“情報の流れ”はまだまだ未熟。

密偵として働くネフィラの報告によれば、すでに他国にも建国の噂が漏れ始めているという。

「となると、今後は他国との交渉や商談も視野に入れなきゃいけないわけよ!」

「それ以前に、ハト以外の選択肢が必要だな。」

「……いや、ハトも大事だけどね?」

そんな折、グランフォード領に一人の旅人が訪れた。

灰色のコートに、背中には巨大な革のリュック。

腰には無数の巻物とインク瓶、そして片手に地図。

「どうもどうも、ごきげんよう。お初にお目にかかります、新国家の方々!」

その青年の名はミィル=リスレイン。

各地を回って言語、風習、地理、政治を記録し続ける“記録者”だった。

◆◆◆

「へぇ、国の“記録”を残す専門職があるのね。」

「正確には、好きでやってるだけですよ。ですが、真実は誰かが残していなければ風化します。」

「……“記憶こそが遺産”ってやつ?」

ミィルは目を細め、意味ありげに頷いた。

「そうとも言えるし、そうじゃないとも言える。“記録”は力にも、呪いにもなりますからね。」

「なにその怖い前置き!?」

「では、証拠を見せましょう。」

ミィルが取り出したのは、一通の古びた封書。

それは王家の紋章と、すでに消えかけた魔法の封蝋に閉ざされていた。

「本来、これはとある国の次期王に届けられるはずだった書状です。内容は不明ですが、伝承によれば“歴史の鍵”が封じられていると……。」

「でも“届けられなかった”?」

「そう。なぜか封は切られず、届け先も途絶えました。そしてその周囲では、数々の記録が“不自然に”失われている。」

「……記録ごと、“歴史”が消されたってこと?」

「可能性は高いでしょう。だから私は、この国に来たのです。」

ミィルは言う。

「この国には、真実を記録し、守る“意思”がある。だから、私はここで“記録官”として仕えたい。」

「……いいわ、歓迎する。うちの国家理念、“美味しく楽しくしっかりと”だからね!」

「……最後だけ怪しいですが、信じます。」

こうして、旅人はグランフォードの一員となった。

◆◆◆

その夜、カイラムとエリシアは静かに話していた。

「記録の書状……まさか王家が真実を隠していたなんてね。」

「あの書状、俺には何となく“気配”が感じられる。……俺の中にある魔王の力と、似たような……。」

「なら、開けるべきかもね。“届かなかった”ものの意味を、私たちが繋げるの。」

封蝋に手をかけるエリシア。だが、蝋が微かに光った瞬間――

「……っ、やばっ、魔力が跳ね返った!?」

「これは……“持ち主”じゃないと開かない封印魔術……?」

「じゃあ、あの書状の“本当の持ち主”って……。」

そのとき、遠く森の方角で狼煙が上がった。

「報告です!南の森に未知の来訪者、複数!小隊規模の集団、武装あり!」

「……動いたわね、敵。」

記録と、戦の気配が交差する夜。

エリシアは刀を握り、カイラムは静かに目を閉じた。

「届かなかった書状――その意味が、この戦で明らかになるかもしれない。」

◆◆◆

「未確認の集団が南の森を突破中。武装は軽装、先遣部隊と思われます!」

報告を受け、グランフォード領の主力メンバーが集まっていた。

「偵察なら牽制だけで済むけど、万が一に備えてこちらも布陣を……。」

「え、えーと、兵士は……魔人10人とメイド4人、執事2人と……私の両親?」

「まさかのファミリー構成!?お前んち国家運営がホームドラマすぎるだろ!」

「安心しなさい!母の爆裂魔法は今朝も快調だったわよ!」

「不安が加速した!!」

バタバタと準備が進む中、カイラムは静かにミィルの持っていた封書を見つめていた。

(この封蝋……見覚えがある。いや、“知ってる”という感覚が近い。まるで、自分の記憶のどこかに――。)

そのとき、戦場を走る風が微かに魔力をはらんだ。

◆◆◆

「目視確認!フードを被った者が三名、先頭は……少年!?」

「少年?」

エリシアは身を乗り出す。

確かに前を歩くのは十代半ばほどの華奢な体格。だがその手には、鋼で編まれた不思議な杖と、輝く瞳。

「交戦、回避できるなら話を聞きたいけど……。」

「来たぞ!」

風が鳴った。杖の先端から雷光が弾け、こちらに迫る。瞬時にカイラムが前に出て、障壁を展開。

「警告もなくいきなり雷撃とは……ずいぶんと短気なやつだな!」

だが少年は冷静に返した。

「そちらが“封蝋を解こうとした”瞬間に、座標を割り出しました。これは“警告”です。」

「つまり……お前が、この書状の持ち主か。」

「その通り。そしてその記憶には、“世界を再構築するコード”が内包されています。」

「再構築……?」

ミィルが呟く。

「記録じゃない。記憶そのものを、誰かが“改変しようとしていた”。君の持っていた書状は……そのバックアップだったんだ。」

「つまり、都合の悪い真実を隠すため、記録ではなく“人間の記憶”そのものを書き換えていた?」

「それを止めるために、俺は動いてる。“記憶保守機構”の管理者として。」

少年はそう名乗った。

「コードネーム:ユスティア。……本名は失われたが、それは“記憶の改変”によるものだ。」

◆◆◆

激震が走る中、エリシアは問う。

「なら、王家が探している“魔王の遺産”って……。」

「記憶の書き換え装置だよ。」

「……っ!」

「王家の一部はそれを使って“歴史をやり直す”つもりだ。そして君たちは、その存在に最も近づいてしまった。」

重い言葉だった。だがエリシアは笑った。

「……そんな大それた計画に巻き込まれてるのに、何この国のユルさ……。」

「いや、お前のせいだからな?」

「でもさ――。」

真っ直ぐに少年に向かって言った。

「もしそれを止めたいなら、うちに来ない?」

「は?」

「うち、建国したばかりでさ。管理者とか、記憶とか、そういうの強そうな人って貴重なのよ。あと、年齢近そうだし友達いなさそうだし!」

「い、いらん世話だ!!」

赤くなる少年。その隣でカイラムが呟く。

「またひとり、“めんどくさいの”が増えるな……。」

かくして、“記憶を繋ぐ旅人”と、“記憶を守る管理者”が国家に加わることになった。

真実を知った彼らの道はまだ始まったばかり――

——〈次話〉“仮面の使者と、開かれた鏡”

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