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第4話

last update Last Updated: 2025-12-03 11:04:13

バスルームから出て来た智之

「綾、どうぞ」

いつもの優しい笑顔の智之に戻っていた。

「うん、待っててね〜」と、笑顔で言う。

「うん」と額にキスをされ、笑顔で見送られる。

──いつもの智之だ

さっきのは、何だったんだろう?

そう思いながら、バスルームでシャワーを浴びる。

そして、「お湯ためとく?」と智之に聞く。

「うん」

自動でお湯を張っておく。

私がバスルームから出ると、待ち構えていたように、バスタオルを広げて包み込まれる。

「ビックリした!」

「迎えに来た」と笑っている。

やっぱり何かがいつもと違う。

普段、智之は、そこまでガッツクようなことは、しない。

なのに、今日は、なぜか1分1秒でも早く! と

急かされているかのように違和感を感じてしまった。

──本当にどうしたのだろう?

さっき呑んだビールのせい?

バスタオルで、綺麗にカラダを拭いてくれた。

そして、また、黙ってキスが落ちて来た。

すると、もう止まらないようだ。

「行こう〜」と、私をバスローブで包み、ヒョイと抱き上げて、ベッドルームへと向かう。

──とりあえず、こうなるよね〜

話し合いは、この後かな……

そう思いながら、智之に身を任せる。

始まると、いつも通り優しい智之だった。

でも……

途中から、なぜか少し乱暴な気がした。

いつもより激しく夢中になっているように思える。

私は、驚いてしまったが、余裕がなくされるがまま。

「綾、どう? 気持ちいい?」と聞かれた。

そんなことも普段は、聞かないのに……と思っていた。

私は、何も言えず黙っていた。

そして、···を待っていた。

智之は、散々私を好き勝手にして、とても満足気だった。

こんなことは、初めてだ。

「綾、最高だった」と言って私を強く抱きしめて、

軽くキスをした。

私は、違和感しかなかった。

智之に腕枕をされた。

そして、思わず「ねえ、何かあったの?」と聞いてしまった。

「ん? 何もないよ。どうして?」と聞き返された。

「だって、なんだかいつもと違うから」と言うと、

「もう俺たち2年半以上も付き合ってるだろ?」

「うん」

「そろそろ、新しいことを取り入れて行かなきゃ、倦怠期かと思って」と笑っている。

──倦怠期? 私は、そんなこと思っていなかった。

「トモは、そう思ってたってこと?」

「いや、そうなる前にね。良かったでしょ?」と言った。

私は、寧ろ怖かった。ただ自分勝手に、···いるようで……

そう話すと、

「え? ごめん綾」と、ようやくいつもの優しい智之に戻ったのか、私を気遣い始めた。

「ごめんな、大丈夫? 痛いところないか?」と、

「うん」

そう言いながら、私の目から涙が溢れた。

「え? え、ごめん綾、そんなにイヤだった?」と、

言われて、

「トモが違う人みたいで、怖かった」と、泣いてしまった。

「そっか、ごめん、ごめんな」と抱きしめてくれた。

いつもの優しい智之だ。

「だから、何かあったのかと思った」と言うと、

「ううん、ごめんな。俺は綾だけを愛してるよ」と言った。

···

まるで、他にもいるかのように……

いつもなら、『大好きだよ』『愛してるよ』と言う。

敢えて、···と言う必要があるのか?

と思ったが、私の考え過ぎかと思って、その時はそれだけで終わった。

そして、私は、今日の本題に入らなければと思った。

「トモは、倦怠期って言ったけど、私は、そろそろ将来のことを考えてたよ」と私が言うと、

「そっか、嬉しいな」と笑顔で言った。

智之は、私の父が厳格なことを知っているから、

「俺はそろそろ同棲したいと思ってるよ。でも、綾んちは、厳しいから無理なんでしょう?」と。

そう言われて悲しくなった。

「うん、だから……」と言いかけると、智之は、私の口を自分の右手で覆って、

「それは、俺から言わせて」と笑っている。

そして、

「綾! 結婚しよう!」

と、サラッと言われた。

やっぱり嬉しかった。

でも……今の状況を見ると、

「ふふ、軽っ! それに今?」と思わず笑ってしまった。

「え〜ダメ出し?」

「ふふ、だって……」と、今の2人の状態を見て笑う。

色んなシチュエーションを想像していたのに……

私が結婚の話を出そうとしていたからといって、2人は全裸のままだし、智之の腕枕でサラッと言われてしまった。

それでも、やっぱりプロポーズしてくれたことが嬉しくて、2人で笑い合い、

「嬉しい〜!」と、智之に抱きついた。

「おお〜最高〜!」と、ぎゅっと抱きしめられる。

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