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第6話

作者: 深海鉱夫
玄関から、あのピンク色のスリッパが消えていた。

リビングの窓辺に並んでいたはずの鉢植えも、一つ残らずなくなっている。

空気に漂っていた、ほのかなウードと洗濯洗剤が混ざったような香りも、ほとんど感じられないほど薄れていた。

深也は狂ったように寝室のドアを押し開けた。

クローゼットの中の、凛が使っていた半分だけが、もうぬけの殻になっている。

「なぜ……こんなに何もないんだ?」

深也は呟きながら、その指先は微かに震えていた。

後ろからついてきた杏奈が、無邪気な声で言う。

「まあ、深也さん。一人暮らしなのにこんなに綺麗にしてるなんて、本当にいい男ね」

いい男か?

深也は突然、心臓を何かで深くえぐられたような痛みを覚えた。

昔のことを思い出せば、彼はいつも深夜まで仕事に追われて帰宅していた。

そんな時、温かいオレンジ色の灯りをつけてくれたのは凛だった。

家の水道が壊れたと文句を言いながらも、黙って業者を呼んで直してくれたのも凛だった。

この冷たい空っぽだった空間を、少しずつ温もりで満たし、「家」に変えてくれたのも、凛だったのだ。

それなのに、彼はよそ者のために、母親
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