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11.発覚

Author: 酔夫人
last update Last Updated: 2025-11-29 19:00:30

青山のマンションに帰ると灯りがついていて、蒼がいた。

「まさか帰ってくるとはね」

自分に異母ではあるけれど兄がいたという高揚感、それを誰かに話したいという思いがあって、蒼の言葉と雰囲気がとげとげしいことに気づかなかった。

蒼との最後が気まずいものであったことも忘れていた。

私は、いつも通りだった。

いつも通り、いつも二人でいたときみたいに、その日にあったこと、私も蒼も同じ会社だけどやっていることは違うし得ている経験も違うから『その日にあったこと』を自然と話すようになっていた。

いつも通り、だった。

「蒼、あのね……「聞きたくない」」

恋人になる前から二人でいるときにあった、“共有したい”という思いがバッサリと断たれた。ザッと冷水を浴びたような気がして、高揚感も消えた。

冷めた視界に、不機嫌を隠さない蒼がいた。

「李凱との夜はどうだった? 刺激的だったか?」

予想通りの疑いに、私は「楽しかった」と答えた。

「仕返しに、浮気したってことか」

「浮気なんてしていない。そもそも今日のことは事前に、黒崎さんに、いつも通り連絡しておいたでしょう?」

私のことを放置している蒼に予定を連絡する義理なんてなかった。でもプロジェクトの誰かと軽く一杯のむだけでも「どうしましたか?」と心配するようでありながら所在報告を求める命令のようなメールが黒崎さんからくるから、それが煩わしくて、苛立たしくて、事前に連絡するようになった。

私がマンションに帰れば満足。

連絡すれば、連絡はない。

もしあのとき浮気する気だったらどうしたかなんて分からないけど、あの夜も害と食事に行くことを、その場所も私はちゃんと伝えていた。

疚しいことは私になかった。

説明できないことなど私にはなかった。

……それがあったのは、蒼のほう。

「私は何も説明しないあなたとは違うもの」

「それは……理由

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