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第805話

Author: 小春日和
「気絶した?何も問題なかったはずなのに、どうして気絶する?」

立花は立ち上がり、そのまま部屋を出ようとした。だがその瞬間、出雲が口を開く。「瀬川さん?あの、黒澤の行方不明になった婚約者、瀬川真奈のことか?」

「まさか、出雲社長はご存じなのか?」

「知っているどころじゃない」

険しい表情で吐き捨てる出雲。

真奈が婚約披露宴の席で姿を消した件は、すでに海城中を騒がせており、様々な噂が渦巻いていた。

ある者は、真奈が黒澤を裏切って別の男と駆け落ちしたと言い、

またある者は、彼女がまだ冬城への未練を断ち切れず、その場で婚約を破棄して逃げたのだと囁いた。

海城では、真奈が婚約式から逃げた理由について憶測が飛び交っていたのだ。

しかし出雲にとって、彼女が立花の元にいるという事実は、何よりも衝撃だった。

立花が出て行こうとするのを見て、出雲は慌てて声を上げる。「立花社長、資金の件は……」

「資金の話はあとだ。――誰か、客をお送りしろ」

もはや立花に話す気はない。今すぐ6000億を手にできなかった出雲の顔色は、瞬く間に真っ黒に染まった。

倒れるなら早くても遅くてもよかったのに
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