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第1036話

Auteur: 似水
舞子は、かおるが足早に立ち去る背中を見つめ、困ったように小さく首を振った。

どうしたらいいんだろう?

かおるの心の傷は、まだ癒えていない。その痛みを少しでも和らげるには、どうすればよかったのか。舞子にはわからなかった。

舞子はひとまず宴会場へと戻った。そこでは男女がグラスを交わし、和やかに談笑していたが、舞子の心はその輪にはなかった。通りかかったウェイターから何気なくシャンパンを受け取り、ゆっくりと口をつけた。

だが彼女は知らなかった。グラスを傾けるその姿を、近くの男がいやらしく舌で唇をなぞりながら見つめていたことを。

シャンパンを半分ほど飲んだところで、舞子の体に異変が現れ始めた。力が抜け、身体の芯がじんわりと熱を帯び、どこかむず痒いような不快感が広がっていく。

「……なんだろう、これ」

舞子は眉をひそめた。

歩き出そうとしたが、足取りがふらつき、廊下の曲がり角で思わず壁に手をついてしまった。

まさか、薬を……?

ぞっとする思いが舞子の背筋を駆け抜けた。ここは月宮家の邸宅、しかも大勢の招待客が集まる宴の最中だ。そんな場で、誰がこんな真似を――

誰が、自分を狙って
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