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第346話

Auteur: 風待 栞
佳乃は沈痛な面持ちで黙り込むしかなかった。それを見て、雅はさらに声を荒らげる。「ねえ、お母様!お兄様に言ってちょうだい!前みたいに、また医者を買収して精神鑑定書を偽造すればいいじゃない!精神を病んでいることにすれば、すぐに保釈されるはずよ!」

「お願いよ、お母様……っ!私、ここで狂いそうなの……っ!」

泣き喚く愛娘を見つめながら、佳乃は深い溜め息を吐いた。

この数日、彼女もただ手をこまねいていたわけではない。息子の臣に、なんとか雅を助けるよう何度も懇願した。

だが、今回ばかりは臣の態度は氷のように冷酷だった。実家に戻らないどころか、佳乃からの着信すら完全に無視しているのだ。

「……雅。どうやら今回ばかりは、臣も本気のようね」

佳乃は重い口を開いた。

「臣だけじゃないわ。お祖父様からも、直々に電話があったの。『あの愚か者には一切関わるな』と……」

「嘘よ……!」

絶望的な事実に、雅はアクリル板にバンッと両手をつき、顔を歪めた。

「お兄様もお祖父様も、どうかしてるわ! 私を見捨てるなんて……絶対にあの女……水琴のせいよ!」

雅の目に、ドロドロとした憎悪が浮かび上がる。
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