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第71話

Auteur: 風待 栞
南鳥市の名だたる名家や有力者が集うこの場において、鷹司家の存在など、取るに足らないものに過ぎなかった。

ホールの西端に設けられた、床まで続く大きな窓辺。金色の燭台がいくつも置かれ、その柔らかな灯が揺らめいている。水琴はシャンパンを片手に佇み、その傍らには灼也がいた。

彼は通りかかったウェイターのトレイから、別のグラスを一つ手に取ると、水琴にそっと差し出す。「こっちを試してみないか?きっと君の好みだと思うよ」

水琴は持っていたグラスを脇のテーブルに置くと、その一杯を受け取った。ふわりと漂う、すみれの花のかすかな香り。「これ……ネッビオーロ?」

「流石だね。じゃあみーちゃん、産地はどこか当ててみて」

水琴は促されるままに一口含む。濃厚なスミレの香りに、ほのかなチェリーの甘酸っぱさが追いかけてくる。彼女はふっと笑みをこぼした。「バルバレスコ、かしら?」

灼也は満足そうに頷いた。ネッビオーロの二大産地は、バルバレスコとバローロ。バローロは力強く、重厚な「王のワイン」。対してバルバレスコは、艶やかで情熱的な「女王のワイン」と称される。

水琴はもう一口、その芳醇な液体を味わった。彼女
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