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第4話

Author: ロリポップ

私は駿に視線を送ったが、彼はうつむいたまま私を見ようともしなかった。

「ナイトランプは、私たちの結婚式のテーマです」

「延期になったんでしょう。

眠らせておくくらいなら、有効活用すればいいじゃない」

私は駿に問いかける。

「あなたも、同じ考えなの?」

彼はわずかに沈黙した。

「コンセプトを少し借りるだけだ。これからのことに影響はない」

また、「これから」か。

彼はいつだって、私に実体のない未来を約束するのが上手だった。

莉奈が遠慮がちに呟く。

「杏さん、もし嫌なら、使わないようにしますから……」

「ええ、嫌よ」

由紀江の顔が露骨に不機嫌に歪む。

駿がとうとう口を開いた。

「杏、母さんの前で我が儘を言うな」

「分かったわ」

私はバッグから一冊の企画ノートを取り出す。

この数年間、私が少しずつ書き溜めてきた大切なノート。表紙には小さなランプのシールが貼ってある。

駿の視線がノートに留まり、その瞳が微かに揺れた。

覚えているのだろう。そのノートは、かつて彼が贈ってくれたものだった。

私はノートを開き、最初のページを力任せに破り取った。

莉奈が呆然と目を見張る。

私はそのまま、淡々と一ページずつ引き裂き始めた。

駿が慌てて私の手首を掴む。

「杏、何をしてるんだ!」

「ゴミにしてもこれからのことに影響はないでしょう?」

由紀江は怒りに震えた。

「あなた、正気なの?」

私は残りのノートをバッグにしまい込んだ。

「おば様、お体にお気をつけください」

莉奈が取り乱したように立ち上がった拍子に、湯呑みが倒れた。

こぼれた水が、駿がリビングに飾っていたあのナイトランプへと派手にぶつかる。

ランプの光が二、三度激しく明滅し、そのままぷつりと消えた。

「ごめんなさい!わざとじゃないんです……」

駿が真っ先に手を伸ばし、彼女の体を支えた。

私はその場に立ち尽くし、そのランプを見つめていた。

やはり、いついかなる時も、彼が最初に視線を注ぐのは私ではないのだ。

自宅に戻ると、私は結婚式に関するすべての品々を段ボール箱に詰め込んだ。

招待状の見本、ゲストのリスト、メイクリハーサルの写真、そしてかつて由紀江から贈られたダイヤのブレスレット。

最後に残ったのは、あの婚約指輪だった。私はそれを、ただじっと見つめ続けた。

インターホンが鳴ったとき、駿が来たのだと思った。

だが、ドアを開けると、莉奈だった。

彼女の両腕には、あの壊れたランプが抱えられていた。

「杏さん、駿に頼まれてこれを返しに来ました」

彼女は勝手に中へと上がり込み、ランプをテーブルに置いた。

ガラスのシェードには一本の亀裂が走り、台座に刻まれていた文字には、水が入り込み、白く曇っていた。

「なぜ、彼が自分で来ないの?」

莉奈は小馬鹿にしたような笑みを浮かべる。

「おば様に付き添っているんです。

今日、杏さんのせいでかなり血圧が上がってしまって」

私は何も答えなかった。

彼女はリビングを見回した。

「ここは相変わらずね。

駿が言っていましたよ、杏さんは未練がましいから、どんなガラクタも捨てられない性質だって」

私はランプを手に取った。

「もう帰って」

けれど、莉奈は動こうとしなかった。

バッグから一枚の写真を取り出し、テーブルへ滑らせる。

そこには、ドレスショップの前に並ぶ駿と彼女の姿が写っていた。私のウェディングドレスを身にまとい、彼の腕に嬉しそうに絡みつく彼女が。

「駿、結局撮影を許してくれたんです。

杏さんもそのうち怒りが収まるだろうから、たかが服一着のことで私の気分を台無しにする必要はないって」

私は写真を見つめる。

私があの店を去った後、彼はドレスを片付けさせなかったのだ。

ただ、私が十分に遠ざかるのを待っていただけ。

「杏さん、自分がどうして負けたか分かっています?」

私は目を上げた。

彼女は勝ち誇ったように微笑んだ。

「物分かりが良すぎるんですよ。

物分かりがいい人なんて、いつだって一番にはなれないの」

私はその写真を躊躇なく真っ二つに引き裂いた。

莉奈の表情が一瞬引きつったが、すぐにまた余裕のある笑みを作った。

「破けばいいじゃない。どうせ駿のスマホに写真が残っているし」

「出て行って」

すると彼女は突然手を伸ばし、あのランプを掴み取った。

私が振り返った瞬間、ランプは彼女の手から滑り落ち、激しい破裂音とともに、床の上で粉々に砕け散った。

彼女はすぐさまその場にしゃがみ込む。ガラスの破片で指先を切り、瞬く間に涙をボロボロとこぼした。

「杏さん、私、ただ拾ってあげようとしただけなのに……」

そのタイミングで、勢いよくドアが開いた。

入ってきたのは駿だった。

彼は莉奈の指から流れる血を見て、それから私を見つめた。

最初に放った言葉は、やはりこれだった。

「杏、今度は何をしたんだ!」

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