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3話「面による記憶改ざん」

ผู้เขียน: カワード
last update วันที่เผยแพร่: 2026-08-20 12:54:41

メダル、神社の看板、明天《あす》の服、それらに描かれていた肖像画は、肖像画ではなく鏡だった。

そこには僕自身の姿が写っており、しかも、その姿は僕の方をずっと見ているのだと明天は言った。

「その面《めん》が原因なんです。今回の事件は」

「これが、僕の姿?」

鏡には言葉では形容し難い、不気味な面を着けた僕が写っている。いや、ありえないだろ、大体こんな姿になってたら、朝鏡を見た時点で気づくだろ。

いや、僕は、本当は知っていた。

思い出した。

わざと忘れていた、昨日の記憶を。

昨日、僕は門宮と一緒に、破砕機のメンテナンスの作業をしていた。

僕は工具を取りに、一旦離れた。

そして必要な工具を持って戻ってくると、そこにはリーダーに殴られている門宮がいた。

僕は怖くなり、その様子をただ見ていた。動けなかったのだ。

門宮は声を上げることなく、動かなくなり、破砕機の投入口に身体を無理やり突っ込まれた。

そしてリーダーは、なんの躊躇いもなく、破砕機のスイッチを入れたのだ。

ぐちゃぐちゃ、ベギィ!ゴギッ!ちゃりん。

肉と骨が碎ける音が響いて、機械は停止した。

落ちたメダルの音に反応して、リーダーは振り返った。

「あ…………」

僕はリーダーに見つかっていた。

呼吸は荒く、血走った目で僕を見つめている。

そして焦りながら僕の方へ、迫ってくるリーダーに対して、僕はこの事実を忘れたい。そう強く強く思った。

そしてこの事実を忘れる事にした。

リーダーも僕も、工場のみんなも、忘れた。

事故は起きていない。そう記憶は改ざんされたのだ。

僕は、嫌な現実を直視して、忘れたいと強く願うと、僕自身の記憶を含めた周囲の人間の記憶を改ざんできる。

願うたびに、そのことを思い出すんだ。

そしてこの時、改ざんした、全ての記憶を思い出す。

そして今、明天の言葉で、僕はこの事を思い出した。

だが、今回は記憶の改ざんは起きなかった。何故だ?

「それは、真実に気づいたからですよ」

「くっ!」

僕は逃げるように走り出した。

忘れたい!忘れたい!忘れたい!

違う、これは真実じゃない!ありえないだろ!僕が記憶を改ざんしたなんて!デタラメだ!そんな事、あるわけが無い!

僕は工場の普段は使われない古い倉庫へ駆け込んだ。

時間を稼げば、記憶の改ざんがまた起こると思ったからだ。

「はぁ、はぁ、忘れろ!忘れろ!忘れろって!」

願っても何も起きない、こう願うと全て忘れられたと思ったのに。僕は悲しみを知らずに生きていたいんだ!忘れろ!

ふんっ!と頭に力を入れるが、無意味だった。

「…思い出したぞ、木野」

リーダーの声が聞こえた。

記憶を取り戻したのだろうか。

「お前、見てたんだな」

「僕は、何も……何も知らない!!」

逃げようとした。

だが倉庫は狭く、使わなくなった機械や大量の備品が敷き詰めるように置いてあり、さらに僕は倉庫の奥の方にいたため、身動きが取れなかった。

それを知っているからか、リーダーはゆっくりと近づいてくる。

涙が溢れてくる。

「門宮は、知ってはならない事実を知った。だから殺した。どうして今までこの事を忘れていたのか、分からないが。全て思い出した、お前も殺さなくちゃならない」

「止めて……ください!絶対誰にも言いません!」

信じられない。

リーダーが、こんな人殺しをするなんて。

忘れたい。

嫌だ、殺されたくない。助けて。

「お願いします、待って!」

「……」

これが僕の罪、なのか?

嫌な事から逃げた僕の。

僕は殺されなきゃいけないのか?

違う!そんなわけが無い!悪いのはあいつじゃないか!

「僕は、僕はもう警察に話してます!」

「何!?」

「あなたが殺したという事実をね!」

そうだ、あいつは門宮を殺した殺人者だ!その事実は間違いないじゃないか!殺しがバレたらきっと動揺する!そうだ、追い詰められているのはあいつの方だ!僕は僕の決断を信じる。

自分の命がかかっているんだ、それだけじゃない、門宮を殺した犯人を絶対に許さない!

「僕を殺せば、お前の犯行は明白にな……」

「黙あああぁぁぁれ!!!!!」

「うっ!」

僕の言葉はただの煽りにしかならなかった。リーダーは両手を広げ、発狂しながら僕の首を掴んできた。

抵抗したが、力及ばず。リーダーは僕の首を思いっきり、絞めてきた。

リーダーは血走った目をぎょろぎょろとさせながら、腕に力を込める。

「ぁ……ヵ……」

息ができない。めっちゃ苦しい。

僕の目玉が飛び出そうだった。

それでもリーダーの手は緩まない。

あれ?どうして?僕は間違ったのか?

意識が…………遠の………く。

せめて……この事実だけでも……忘れ……たかっ……た。

ちゃりん♪

「その手を離しなさい」

「痛っ!お前は!?」

「ガハッ!ゴホッ!」

意識が戻った。

四つん這いで、僕は嗚咽しながら、必死に息をする。

僕の視線の先にメダルが見えた。

その時、明天の声が聞こえた。

僕は勘違いしていた、本当のヤバい人はリーダーだった。

「どうしてここが!?」

「いやぁ、あなたが知る必要は無いですよね。取り押えなさい」

「はっ!」

近くにいた、他の警官がリーダーを捕まえて、そのまま連行していった。

「怪我はありませんか?」

僕は明天に、泣きながら謝った。

どれだけお礼を言ったか分からないほど感謝した。

それと同時に、自身の浅はかな行動を悔いた。緊迫した状況下ではあったが、あの時、命乞いをしていれば首を絞められる事も無かったかもしれない。

「いやぁ、私も同じくその面をしていましたから。同じ過ちを犯しています」

明天も、かつて僕のように、記憶の改ざんをやっていたらしい。

「でも私は、もう既に治っています。あなたもそうですよ、ほら、何も映らないでしょ?」

明天の服の模様、肖像画の様な刻印は見えなかった。

明天はどうやら、このメダルを投げつけて、リーダーを止めたらしい。

「あなたの面は取れました、記憶の改ざんは、もう起こりません。ですが、面をつけた人は、この世にまだまだ存在します。あなたにもその人たちが見えるはずです」

僕と同じ苦しみを抱えている人が、今もまだどこかにいるのか。

「真実と向き合わせれば、面は取れます。私があなたにしたように。いいですか?面はあなたにしか見えないのですよ。ですが、まぁだからと言ってあなた自身には何も影響は無いですからね、お気になさらず」

明天は、そう言うと立ち去ろうとした。

「分かりました。本当にありがとうございました!」

「……おや……あなた、まだ見られていますよ」

「え?」

「では」

明天は去った。

それから、一夜明け、僕は新しく生まれ変わったような気分になった。

これで門宮が報われたのかどうかは、分からない。

ただ一つだけ気がかりなことがあった。

明天は、『もう面は取れた』と言っていたが、本当にそうだろうか?

確かめる方法は、あのメダルや、神社の紋章をその目で見ることだ。

いや、あの場所にはもう正直行きたくない。真実と向き合う必要は無くなったのだ。事件は解決したのだ。

……それでも、真実と向き合う必要がある。

僕は真実を否定した結果この惨劇を起こした。

だったら、最後の最後まで、自分の目で真実を確かめよう。その責任がある。

恐怖心もあった、もしあのメダルにまた、あの不気味な仮面が映っていたら、僕はまた記憶の改ざんを起こしてしまうのだろうか?

そう思った僕は仕事終わりの夕暮れにあの神社へ向かった。

山は暗いので、携帯のライトで照らしながら進む。すぐに神社が見えた。

あ、人影だ。隠れないと。

ライトを消して息を潜め、コッソリとその人影を覗いてると、どうやら、賽銭箱の前に立っているようだった。明天?なのだろうか。

「まずいな……」

僕にも言えたことだが、明天らしき人物は、賽銭箱をしばらく覗き込むと何かを確信したのか、おもむろに賽銭箱を持ち上げたのだ。

「えっ!?」

声が出てしまった。

賽銭箱を持ち上げるのはかなりの力が必要なはずだ。だが明天は、それを軽々とやってのけた。

声で居場所がバレたのか、その人はこちらを見ると、ニヤッと笑みを浮かべながら、山の奥へ走り去ってしまった。

賽銭箱の小銭が踊り、ちゃっちゃっ♪っと音が辺りに響く。その音は次第に遠くへ行った。

「明天……だった。あ、メダル。まずい!メダル持ってかれた!?」

状況は理解できないが、今、明天はメダルが入った賽銭箱をそれごと持っていったのだ。

どうして……。

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