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【第29話】カフェにて・後編

مؤلف: 月咲やまな
last update تاريخ النشر: 2026-08-20 18:40:27

「それで?話はそれだけかい?」

 注文したアイスコーヒーを飲みながら、カシュがウルカに問い掛ける。すると彼女は、キュッと口元を引き結び、背筋を正した。

 兄はワタシよりも器用で博学だ。

 兄ならきっと答えを知っているはず、と彼女は思い、胸の中にある疑問を解消すべく口を開いた。

「倦怠期の解消法を教えて下さい……」

 正したはずの背中が、言葉を口にした途端、段々と元気なく前に倒れていく。

 最初は『ボクの聞き間違いかな?』と思ったカシュだったが、ウルカが項垂れる様子を見て、『——あ。コレガチでの相談だ』と直ぐに悟った。

「……待って、ウルカが結婚したのはいつなの?」

「昨夜だよ」

「……倦怠期は、いつきたの?」

「結婚して、五分後くらいかな」

 ウルカの言葉を聞き、カシュは『ヤリ逃げされたかー!』と叫びたい気持ちを胸の中に無理矢理押し込んだ。

 額に手を当て、天井を仰ぎ見る。可愛い妹相手にヤリ逃げした犯人を殺したい衝動を抱い

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    「——送信っと」 寝室のベッドに寝転がり、この間ゲットしたものの、一度もメッセージを送れていなかった狸小路さんに、今日作ったケーキの写真を送りつけた。『飾りのスワンは華先生の手作りです。市販品じゃ無いんですよ、ちょっとすごくないですか?』と、コメントも付け加え、敢えての驚く顔をした狸キャラのスタンプをぺんっと送る。 これで無反応でも、未読スルーでも、反応が返ってくるまで毎日送り続けてやろうと心に決めた。なんたってこちとら約十年越しの想いを抱えているのだ。相手が極度に太っていようが好きになれたのだ、実は正体が狸だろうともこの際そんな事はどうでもいい。 当面の問題は、私の事を彼が好きか否かだけだ。 いっそのこと『バラされたくなかったら私と交際しろ!』とでも言ってみる?この先も彼に触れる事が出来るなら、ソレもアリかも、と……拗らせ気味な脳が提案してくるが、そんな考えには流石に蓋をした。 ジッと彼の画面を開いたままでいたら、既読マークが私の送ったコメントの下に入った。その事が嬉しくって、ついスマホを両手で持ち、ベッドの上で正座をしてしまう。「よ、読んでくれたぁ!拒否されてなかったぁぁ!」 壁の薄いアパートだっていうのに、私は喜びのあまり大声で叫んだ。『メッセージを読んでくれた』 その事実だけでまた何年かは、狸小路さん不足のままでも“恋”という強敵と戦える。そんな気さえした。「おっし!気持ちを切り替えて、お風呂入ろう」 ぽいっとスマホをベッドに投げるように置き、着替えを持って風呂場へと行く。風呂に入るとは口にしたが、実際には今日もシャワーを浴びるだけで済ませるつもりだ。ウチの湯船は正方形に近くて、困ったことにすごく狭い。小柄な私ですら体育座りでなければ入る事も出来ない。ビジネスホテルの様にトイレと風呂場が一体になっているタイプでは無いだけマシだと言えなくもないが、狭ければどっちであろうと変わりが無いのだ。 いただいている給料ならもっと広くて新しい部屋へ引っ越す事も出来るのだが、何せ施設育ちの貧乏性なせいか、なかなか引っ越しを決意出来ぬまま、十代の頃から今の今までずっと六畳一間のボロアパート暮らしをしている。ココは勤め先である学校からもかなり近いし、商店街も目と鼻の先だ。やたらにお金のかかる引っ越しを先送りしてしまったまま何年も経っていようが、利便性

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  • 魔女に呪われた“淫魔”達だけど、愛されたい!   【こぼれ話③】抜け道・後編

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