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プロパガンダ

作者: エチカ
last update publish date: 2026-05-31 07:45:40

「うーわ、所有欲爆発……」

「……すみません」

「三日も籠って出て来ないと聞いた時には、こんな事だろうと思ってはいたけど……加減ってものがあるでしょうよ」

「ごめんなさい……」

「ふふ、オルタナが謝る必要ないわ」

 赤面して顔が上げられない。

「やっと想いが通じたのね、オルタナ」

「想い……」

 お互いに好きだとか愛してるとかは言ってない。

 する事はしたけど、言葉で確認してない。

 と言う事に、オルタナは今更気付いた。

「え、言ってないの? 好きって」

「あ、や……はぃ……何か、それ所じゃなかったと言いますか……」

「でもそれは、ヴィー様が悪いわね。ヴィー様が先に言うべきだもの」

「いやそれは……」

 ずっと一緒に居られるわけじゃない契約番に、好きなんて言えないだろう。

 公爵に

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  • 魔女ドーラの孫(仮)   意地

    「それなら、私が。最近、ラカンの元密偵に伝手が出来たので」 そう言ったのはミレーだった。 確かに、アラベルなら用意出来そうだ。「でもミレー、親父さん達は今、別の仕事に取り掛かってるんでしょ?」「……まぁ、そこは何とかします」「そう……」 そのミレーのやり取りを見て、王妃は頬を膨らませてこう言った。「ミレー中尉ばっかりズルいわ」「え?」「オルティは私の友達なのに、私の事は愛称でも呼んでくれないし、未だに敬語なのよ? ミレー中尉だけズルい!」「いやぁ……ラチア様、それは……」 オルタナはその王妃の拗ねっぷりに、これが高等技術“スネル”か……と感心した。 とは言え、王妃相手に愛称呼びはスネルより更にハードルが高い。「二人だけの時は良いでしょ? それもダメ?」「うぇっ⁉」「だって私、オルティ以外に友達いないんだもん」「……」 それはズルいぞ、王妃様。 困ってミレーの方を見遣ると、こうなると分かっていた様な顔でウインクされた。「……じゃあ、二人の時だけ」「本当っ? 約束よ?」「わ、分かった……です」「んもぅっ!」「き、急には無理……だから、許して……ラ、ラティ」「ふふ、良いわ。ありがと、オルティ」 嬉しそうに笑う王妃は、まるでただの十二歳の少女に見える。 そう見えてしまうと、焦げ茶色の良く似合っていると思っていた美しいドレスも、聊か背伸びした様に見えて来るから不思議だ。 この時オルタナは、あれだけ「得策じゃない」と言われていたのに、無駄な意地を張る事になるとは露知らず、煌びやかな夜が更けて行った。◇◇◇ オルタ

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  • 魔女ドーラの孫(仮)   ネロ区へ

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     発情しないと言う事を隠しておけるはずはないけれど、ここで認めると言う事は他に番を持つ事を容認すると言う事と同義だ。 公爵がウケイに貰った切り札と言うものがどんなものなのか、オルタナはまだ知らない。 ここでどう答えるのが正解なのか、逡巡し迷う。 番として完璧に演じると言っておきながら、他の番を迎えても寛容に受け入れる覚悟は出来ていない。 でも貴族に嫁ぐと言う事は、その血を継げる者を産まねば価値がない。「そ、れは……」「そうだとして、ヴィンスが子を産める他のΩと番えば問題ないでしょう」「伯母上っ……」「ヴィンス、貴方も分かっているはずですよ。大丈夫です、オルタナ。私の夫にも運命の番がおりますが、今日まで夫とも金の君とも上手くやって参りました。公爵家に嫁ぐ者として、その位の事は覚悟の上でしょう?」 そう、キャンベル大公には金の君と呼ばれる運命の番がいる。 髪が灰色のリザベラはそれに倣って銀の君と呼ばれている事も、この王国の民なら子供でも知っている事だ。 複数の番を持つことを良しとしないドーン王国の筆頭貴族が、運命の番と婚姻し、他に番を持つと言う例外に説得力を持たせるには、彼女ほどの適任者はいないだろう。 そう言う意味でも最強の助っ人と言える。 小国でありながら強い海軍を有し豊富な鉱山を持つキャンベラは、海軍を持たないドーン王国にとって失ってはならない同盟国だ。 そう言う政治的な理由でリザベラが大公の元へ嫁いだ時、既に大公には運命の番がいて、リザベラは全て承知の上で大公妃となった。 大国の皇女が番持ちの小国の大公に嫁ぐなんて、異例の事態だったはずなのに、彼女はそれを物ともせずに公国との橋渡しを成し得た強者なのだ。 国政を担うパートナーとして、大公はリザベラを歓迎したと聞いている。 覚悟――したつもりだった。 でも想像力が足りなかった。 いや違う。ちゃんと事実を見ようとしていなかっただけだ。

  • 魔女ドーラの孫(仮)   切り札

     ファージの件に加えてこの事態を知れば、あの公爵は怒り狂って何をするか分からない。  責任者として責めを受ける覚悟はあるが、そもそもファージを寄こしたのもスーランを寄こしたのもサリバン家の子息達だ。 ウケイは一方的に責を負わされるのも不愉快で、単純に教えるのが癪だ。  そんな下らない理由ではあるが、公爵に黙っている情報がある事を思い出した。 いつもの事だが、あちらもそうであるようにこちらの情報も全て開示しているわけではない。 この情報は今回の損失の補填には悪くない切り札だろう。

  • 魔女ドーラの孫(仮)   エヴレカの正体 Ⅱ

     銀糸の髪に雪のように白い肌、薄氷の様な美しい空色の眸も、まるでエヴレカの生き写しだ。 サリバン公爵の別荘で初めて彼を見た時、驚き過ぎて声を掛ける事すら出来ず、努めて冷静に侍従としての役目を果たす事に専念する程度には動揺していた。 今更、どの面下げて父親だなどと名乗れようか。 昔から運命の番を探している事や、夜葡萄の研究をしている事を知っている公爵は、皆まで言わずとも何か察していたのだろう。 だからこの邂逅は公爵が意図的に仕組んだものだろうと理解したが、突然現れた息子に父親面出来る程、厚顔無恥

  • 魔女ドーラの孫(仮)   エヴレカの夢 Ⅳ

    「……はい」 公爵のローブを被っていたとは言え、オルタナも腰が抜けて膝が笑っている。  上級αの本気の威嚇なんて初めて見た。「すまないな、怖かったか?」 オルタナはこの言葉に、辛うじて左右に首を振って答えた。 軽々と抱き上げられてアートルムの背中に乗せられ、下から煽る様に見上げた公爵の表情が優し過ぎて泣きたい様な衝動に駆られる。 木立の隙間を差す西陽の橙色と漂う深縁の香りに包まれて、髪も乱れ泥と埃に塗れた滑稽な姿でサ

  • 魔女ドーラの孫(仮)   エヴレカの夢 Ⅱ

    「ウケイ先生達は?」「大丈夫だって! ちゃんと、置手紙して来たから」 スーラン曰く、先に帰りますと枕元に書き残して、夜中に修道院から出て来たらしい。「いや、ダメでしょ……」「何で?」「先生達、心配してると思うよ」「放っておけば良いよ、あんな奴ら」「どうして?」「だって、奴らと関わってからのオーリィは危険な目に遭ってばかりだ。連れ去られて、犯罪者扱いされて、役に立つと分かったら仕事の片棒担がせて、終いにはあのクソ野郎……絶対許さない

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