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2日目(表)

Author: まじかり
last update publish date: 2026-06-30 17:18:05

 翌日の午後。アルスたちは兎に角多くの生徒から話を聞くべく、手分けして聞き込みをすることにした。

 アルスは校舎に残る学園生を。マリナは運動場を。カナタは図書室などのある特別棟を担当することになった。

 聞き込みを始めてから少し経つ頃、学園生と話し終えたカナタにひとりの女子生徒が近づく。

「アルスさん、少しよろしいですか?」

「セーラさん、こんにちわ。大丈夫ですよ」

 美しい白髪のロングヘアーが似合う、穏やかな笑みをうかべる彼女はアルスと同じ『六魔』のひとりで現4位のセーラだ。

 フレシアにやや劣るものの十分すぎる大きさの乳房を持ち、育ちの良さがうかがえる可憐な雰囲気と立ち振るまい、人当たりの良さでAクラスの中でもっとも人気のある女子生徒である。

 容姿も非常に整っており、綺麗と可愛いを絶妙なバランスで併せ持つ彼女に優しい眼差しで見つめられると、想い人のいるアルスですらドキリとしてしまうほど美しい。

「アルスさんが噂について調べていると聞きまして……微力ながら、わたくしもお手伝いさせていただきたいと思います」

「えっ……本当、ですか……? どうしてセーラさんが」

「理由はアルスさんと同じです。わたくしも『六魔』のひとりとして、見過ごせない噂ですから」

「ありがとうございます。セーラさんも協力してもらえるなら心強いです」

 セーラの申し出は非常にありがたく、アルスは笑みをうかべて頭を下げる。セーラまで動くとなれば『六魔』の1位から4位全員噂について調べているという事実になる。

 それだけではない。セーラの家は魔法学園に出資している。学園だってその家の娘であるセーラの訴えを無下にできないはずだと、アルスは考えた。

(これなら噂の調査も早く終わるかもしれない)

 昨日の帰路で感じた先行きの不安も若干薄れる。

「アルスさんは噂の聞き込みをしているようですが、わたくしも聞き込みをすればよろしいですか?」

「是非。セーラさんに頼みたいところは……」

「ふふっ、わかっていますわ。わたくしと友好関係にある女子生徒を優先してあたります。アルスさんでは話しかけにくいでしょう?」

 セーラの提案はまさにアルスが頼もうとしていたことだった。学園に出資するような資産のある家は事業を手掛けている家ばかりだ。

 事業をするうえで優れた魔法使いを抱えることは非常に大切である。学園主席のアルスは学園に通う娘の婿としてもっとも適していると言えた。

 魔法師団に入りたい彼にとって良家のお嬢様は深い関係を持ちたい相手ではないのである。

「ありがとうございます。流石はセーラさんですね」

「ふふふ。わたくしもアルスさんと同じ魔法師団が希望ですもの。これくらいはわかりますわ。聞き込みの結果はいつお伝えすればよろしいでしょう」

「夕食後、共用スペースでおねがいします。マリナとカナタもそこに集まる約束をしていますから」

「わかりました。それではアルスさん、またのちほど……」

「はい。ありがとうございます」

 優しい笑みをうかべたセーラを見送り、アルスは再び聞き込みを再開する。頼もしい協力者をえることが出来た勢いで進展があれば良いと思いながらアルスは聞き込みを続けた。

 その結果は前日と同じであり、進展はない。無念に思いながらもアルスは仲間たちの元へ向かうのであった。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 夕食の後。アルスとマリナ、カナタ、セーラの4人が共用棟の勉強スペースに集まる。セーラという想定外の人物をアルスが連れてきたのには驚いたが、新たな協力者と紹介されれば納得した。

 ひとつのテーブルを4人で囲み、それぞれの成果を報告するのだが……その内容は全員が同じであった。

「誰一人として噂の元を知らないなんて結果になるなんてな……本当に不可解だ」

「えぇ。わたしくも途中から奇妙に思えて仕方ありませんでしたわ。噂好きの友人すら知らないとは思っていませんでしたの」

 アルスの対面に座るカナタの言葉を、アルスの左に座るセーラが肯定する。アルスの右に座るマリナは、困り顔すらも絵になるセーラの参加を歓迎したものの、胸中は複雑だった。

(まさかセーラさんも参加するなんて……)

 学園の成績では勝っているものの、他で全てセーラに劣っているとマリナは思っている。

 綺麗、スタイル良い、お金持ち、お淑やか、誰にでも優しい。褒めるところはいくらでも見つかるのだ。男子の人気が高いのも納得である。

(アルスとセーラさんお互いに意識してないみたいだけど……うぅ。わ、私からアルスに告白した方がいいのかな……)

 悶々としてしまうマリナ。皆で話し合いをしなくてはならないのに、どうしても集中できずにいた。

「マリナ?」

「えっ、と。ごめんなさい、考え事してたわ……」

「大丈夫ですか? マリナさん」

 アルスの心配そうな声にマリナは我に返る。セーラにも心配をかけてしまい、ますますマリナは自分が情けなく思えてしまう。もっとも彼女が表にだすことはないのだが。

「明日、行くって話になったんだけど……俺とセーラさんと一緒にマリナもどうかな」

「すまんな、俺は明日タカシたちの勉強を見る約束があるから行けないんだ」

「カナタは駄目なのね……私は大丈夫よ。アルスたちと一緒に行くわ!」

「なら、決まりだね」

 アルスの言葉にマリナとセーラが頷く。

 こうしてアルスたちは『六魔』専属の担当教師マグナの元へ向うことを決めたのであった。

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