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80話 暗闇の咆哮と、試される白銀

last update publish date: 2026-09-16 08:06:49

​旧聖遺殿を後にし、霧が徐々に引き始めていた深山の山道を下っていたライネルの足が、突如としてピタリと止まった。

​――ゾク、と背筋を凍りつかせるような禍々しい気配。

​静まり返っていた森の木々が不気味にざわめき、足元の草木が一瞬にして黒く変色し、枯れ果てていく。

​「……出てこい。そこにいるんだろう」

​ライネルが低く言い放つと、前方の深い茂みの中から、ドロリとした濃密な漆黒のモヤが溢れ出してきた。

​モヤは意思を持つかのように蠢き、不気味な質量を増しながら凝縮していく。やがて姿を現したのは、学園の野外訓練で遭遇したシャドウ・ウルフとは比較にならないほど巨大で異形な、漆黒の巨大狼だった。

​その漆黒の毛並みは流動する悪意そのものであり、赤く光る三つの瞳が、憎悪を撒き散らしながらライネルを睨みつけている。胸元で脈動するのは、あの不気味な『漆黒の核』。

​(……悪魔の欠片が具現化したものか。僕がこの聖遺殿で『神器』を手に入れたことを察知して、差し向けられた刺客か……!)

​「グ……アアアアアッ……!!」

​大気を震わせる狂暴な咆哮とともに、黒狼が地面を蹴った。

巨体に似合わぬ圧倒的な速度
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