All Chapters of (改訂版)夜勤族の妄想物語: Chapter 581 - Chapter 590

612 Chapters

7. 「異世界ほのぼの日記3」79

-79 やっと引越し再開- 結愛の話を作業中のラジオ代わりに聞いていたヒドゥラが父親を思い出して拳を強く握る社長に声を掛けた。ヒドゥラ「結ちゃん、これからは私があんた達2人兄妹のママよ。」結愛「アホか、俺は半身が蛇の母親なんてお断りだね。」秀斗「それにさ・・・、さっきまでの感動を返してくれない?」 先程まで芽生えていた感情が一気に冷めていくのを感じた秀斗を横目に車両の下から滑る様に現れたヒドゥラは『人化』して社長をギュッと抱いていた、まるで本当の母親みたいに。 これはあくまで推測だが、今までずっと独身を貫いて仕事重視の生活をしていた反動が今頃になって現れたと思われた。ヒドゥラ「何よあんた、勝手に推測してんじゃないわよ。」 何か・・・、すんません・・・。何でだろうな、この世界の住民達は妙に俺に対して風当りが強い気がするんだけど。美麗「あんたが余計な茶々入れるからよ、少しは静かにしていなさい。」 美麗もかよ、まぁあくまで妄想の中の何でもありな世界だから十分あり得る話なんだけどさ。 それはそうと、もうトラックの方は大丈夫なのか?完全に作業がストップしている様だけど。結愛「馬鹿言ってんじゃねぇよ、テメェと違って俺の秘書は優秀なんだぞ。」 おい、全員してそんな事言って良いのか?結愛には前にも言ったが、俺の妄想次第でお前らの人生なんてどうにでもなるんだぞ。歯向かっても良いと思うのか?それに2人はまだ抱き合っているつもりかよ。結愛「ヒドゥー離れろって、作業は終わったのかよ?ずっとくっついてないで終わらせろってんだ、2人共家に行けなくて困ってるだろうが。」ヒドゥラ「何言ってんのよ、さっきあんたが言った通り私は「優秀」なんだから終わっているに決まってんじゃないの。」 遂には結愛の事を「あんた」と呼んでいる社長秘書、全く・・・、上司部下の関係は何処に行ってしまったんだろうか。結愛「終わったんか、じゃあ乗って良いんだな?」ヒドゥラ「勿論よ、美麗ちゃんだっけ?運転席に座って魔力を流してみて。」 先程までとは全く別人の様なラミアに言われた通りにする美麗、しかしこの世界に来て間もないのでどうやるか分からなかった。美麗「ねぇ秀斗、魔力って私にもあるの?それに何処にどうやって流す訳?」秀斗「魔力も『作成』で作れば何とかなるさ、ほら、鍵の所のクリスタルに触
last updateLast Updated : 2026-02-23
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7. 「異世界ほのぼの日記3」80

-80 マジなの?- 思ったより大掛かりな作業だった事にかなりの高額を覚悟してサイフを開く秀斗、しかし結愛からの返事は意外な物だった。結愛「いらねぇよ、こいつも趣味だって言っているし、親戚からは金を取れねぇって。」 いくら大企業の社長でも作業を行った本人がどう言っているのかを聞いてからにした方が良いと思うのは俺だけだろうか。ヒドゥラ「そうそう、後で結ちゃんの財布から抜いておくから安心して。」結愛「おいてめぇ、ふざけんじゃねぇぞ!!」 ラミアのお陰でその場は一気に和んだ。何か・・・、助かった・・・。 結局作業代の件は全てヒドゥラの冗談だった様で、人助けと言えども趣味に没頭出来たからそれだけで嬉しいという理由でお金は取らなかった様だ。ただ、1つ確認したい事が有った様で・・・。ヒドゥラ「社長、先程は大変失礼致しました。誠に申し訳ございません。」 あれ?ラミアが元通りの秘書に戻っているぞ。ヒドゥラ「あの・・・、本当に宜しかったんですか?あの2人の前では普段とは全く違う態度で自分と接して欲しいと仰っていましたが。」結愛「良いんですよ、実はあの美麗が貝塚運送に入社するんですが少し堅苦しいイメージを抱いてしまっている様だったのでそれを崩したかったんです。私はたとえ大きい会社と言ってもアットホームな雰囲気は持ち続けたいと思っています、私自身が堅苦しいのが苦手だと普段から言っているじゃないですか。こちらこそ、演技に付き合わせてしまって申し訳ありません。」ヒドゥラ「私は良いんですよ、何か・・・、新鮮でしたし。いっその事、あのままお2人のママに・・・。」結愛「それだけはやめて下さい。」秀斗「え?じゃあお前ら、アイツの為にわざとやっていたのか?」結愛「そうだよ、美麗に「社長」って呼ばれたくねぇもん(個人的に)・・・、ってなんでここにいるんだよ!!」 秘書の本気度の高いジョークと演技力に少し引き気味になっていた結愛は、自分への協力のお礼と決して敵に回してはいけないという気持ちを兼ねて向こう数か月分の給与を数パーセント程上乗せしておこうと決めた様だ。でもよく考えれば貝塚運送での仕事が本格的に始まれば秘書の仕事が結構増えるのでそれに伴って給与が自動的に増える様な気がするが、それはいずれ分かる事として・・・。 結愛とヒドゥラの協力のお陰でトラックのガス欠の心配が
last updateLast Updated : 2026-02-23
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7. 「異世界ほのぼの日記3」81

-81 乗り心地等の良さにより- 貝塚学園を後にして美麗の運転するトラックに揺られていた秀斗は段々と眠気に襲われていた、どうやら美麗自身がこっちの世界での運転に慣れて来た様でゆったりとした余裕を持つことが出来始めた様だ。美麗「ずっとまっすぐだし綺麗な道路だね、異世界に来た実感が全く湧かないよ。」 美麗(と言うか光達を含む転生者達)がこの世界にやって来てからこの世界は大いに発展したと思われる、きっと皆をここに送り込んだビクターも今頃空いた口が塞がらないでいるだろう。 そんな中、ずっと運転席から声を掛けられているというのにも関わらず夢の世界に行ってしまっていた秀斗はいつの間にか恋人の機嫌を損ねてしまっていた。美麗「良い御身分だよね、彼女に運転させてぐっすり眠っちゃってるなんてさ。」 不機嫌そうな美麗の声でやっと目を覚ました秀斗は、眠い目を擦りながらより一層目を覚ます為に強炭酸水に手を延ばした。秀斗「ご・・・、ごめん。それで・・・、何の話だっけ。」 慌てて乱れた前髪を整えながら美麗に質問する秀斗。美麗「あのね、秀斗の荷物をトラックで運んで来るって好美に昨日行った時なんだけど、この前改修工事を行ったエレベーターを試しに使ってみて欲しいって言ってたのよ。だからマンション1階の店舗部分前で荷物を降ろしていこうと思うんだけど大丈夫かな?」秀斗「美麗がしやすい様にやってくれて良いよ、ただでさえ運転してもらっているんだから我儘言えないよ。」 申し訳なさそうな表情を浮かべながら後頭部を掻く秀斗、信号待ちをしていた美麗はそんな彼氏を睨みながら残ったコーラを飲み干した。美麗「何よ、さっきはグースカ寝てたくせに。」秀斗「本当に悪かったよ、飯奢るから許してくれよ。」美麗「当たり前でしょ、ずっとお酒も我慢しているんだからビールもご馳走して貰うんだからね。」秀斗「わ・・・、分かりました・・・。」 運転席から感じる圧につい委縮してしまう秀斗、元柔道部員でも女の子にはタジタジになってしまう様だ。秀斗「それはそうと、好美ちゃんに挨拶しなくても良いのかな。大家さんだからお世話になる訳だからね。」美麗「確かに反対はしないんだけどさ・・・。」 何かを思い出したかの様に少し焦った表情を見せる美麗。秀斗「「反対はしないけど」・・・、何?」美麗「明日でも良いんじゃないかな
last updateLast Updated : 2026-02-27
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7. 「異世界ほのぼの日記3」82

-82 悪い癖- 一呼吸置いた美麗は自分達がまだ大学に通っていた頃のある夏の日を思い出していた、これは好美の里帰りに同行した美麗が徳島で初めて過ごした夜の事だ。長旅での疲れにビアガーデン等で呑んだビールが手伝ったからか、突然の眠気に襲われた美麗は好美の実家にある部屋でぐっすりと眠ってしまっていた。 その翌朝、友人である桃を徳島駅へと迎えに行った後にある観光スポットへと向かう予定だった美麗は楽しみにしていたからか早起きしていた。玄関前に出て外の澄んだ空気を吸おうとしていた美麗に好美の母・瑠璃が声を掛けた。瑠璃(当時)「えっと・・・、美麗ちゃんだっけ?おはよう。」美麗(当時)「あ、おはようございます。」 まだ薄暗い早朝だというのに猛暑が2人を襲う中、瑠璃は玄関先に打ち水をしていた。瑠璃(当時)「そう言えばうちの子は?」美麗(当時)「好美ですか?まだ部屋で寝てるみたいですけど。」瑠璃(当時)「あらま、相も変わらずだね・・・。仕方ない事なのかね・・・。」 幼少の頃から寝起きの悪かった好美は、前日の晩に丸亀競艇で大負けした父・操のヤケ酒に付き合っていたらしい。 ただ時刻は出発予定時間の1時間前、そろそろ起きて朝食を摂らないとまずい。瑠璃(当時)「美麗ちゃん、申し訳ないんだけど好美を起こして来てくれるかい?私は朝ごはんの支度をしているからさ。」美麗(当時)「分かりました、因みに朝ごはんの献立は何ですか?」瑠璃(当時)「ん?うちじゃいつも通りだけど、パリパリの大野海苔と焼いたフィッシュカツにだし巻き卵だよ。」美麗(当時)「聞いた事ない物が2つも・・・、楽しみにして起こしてきますね。」 瑠璃と別れた美麗は好美の自室へと向かい、ゆっくりと扉を開いた。中ではメイクを落とした好美がTシャツと短パン姿でぐうぐうと鼾をかきながら眠っていた、これは当時2人が住んでいたマンションでもよくある光景だった様で・・・。美麗(当時)「好美・・・、起きてよ。桃を迎えに行くんでしょ。」好美(当時・寝言)「うーん・・・、まだ食べる・・・、呑む・・・。」 好美は夢の中でも大食漢振りを発揮していたが、このまま食事を続けさせると自分が食事にありつけなくなるので必死に体を揺すった美麗。美麗(当時)「もう・・・、後でまた呑むんだから今はそこでストップしなさい。」好美(当時・寝言
last updateLast Updated : 2026-02-27
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7. 「異世界ほのぼの日記3」83

-83 休みはどうすべきものか- 美麗が痛々しかった思い出を語っている間にトラックは国境のトンネルを抜けてネフェテルサ王国に入った、市街地を走り好美のマンションに到着する寸前に美麗は大家との会話を思い出して秀斗に報告した。美麗「秀斗、荷物の運搬なんだけど1階から運ぶ形で良いよね?」秀斗「あれ?それ、さっきも言ってなかったっけ?」美麗「確認だよ、世の中「念には念を入れよ」って言うじゃん。それに好美自身が荷物はここから入れてって言ってたからさ。」 荷物を降ろす為にトラックは1階の店舗部分前へと到着した、ただ秀斗は少し心配そうな表情をしていた。美麗「どうかした?」秀斗「いや、こんな所に止めて店の人の迷惑にならないかな。」 恋人の言葉を聞いて携帯を確認しながら答える美麗、待ち受け画面の時計は昼の2:00前を指していた。美麗「大丈夫だよ、この時間帯ならお客さんは少ないって聞いてたからさ。」秀斗「それ、誰からの情報だよ。」 秀斗は「暴徒の鱗」の出入口を指差して美麗の言葉を否定した、指し示された方向を見てみるとまだ数名程が並んでいた。よく見てみれば全員『人化』した竜(ドラゴン)族の様だ。美麗「あれ?この前好美に聞いた時、この時間は暇だから大丈夫って言ってたのに。」秀斗「これは流石に店の前に車を止めると迷惑になるだろう。」 美麗は頭を抱えていた、駐車場に車を持って行っても良いが好美の善意を無かった事にしたくはない。秀斗「でもさ、好美ちゃんからの情報って信憑性があるのかな。本人って普段夜勤をしているからこの時間帯は呑んでるか寝ているはずだけど。」 確かに、夜の10:00から仕事をするならこの時間帯は自室にいるはずだ。そこで2人は店前の混雑が解除されるのを待つ事を兼ねて拉麵屋で昼食を摂る事にした、腹ごしらえをしてから作業をしても問題は無いだろう。それに好美以外の従業員達に挨拶しても構わないんじゃないかという考えもない訳じゃ無かった、ただ2人が入店した時・・・。女性「いらっしゃい!!お好きなお席にどうぞ!!」 時間的にこの場所にいるはずの無い女性を含む従業員達が笑顔で2人を出迎えていた。そう、好美が「暴徒の鱗」で働いていたのだ。美麗「好美!!何でよ!!」秀斗「この時間帯は寝て無きゃ駄目だろう!!」 美麗達の言葉を聞いた副店長がオーナーを守るため
last updateLast Updated : 2026-02-27
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7. 「異世界ほのぼの日記3」84

-84 提供した料理は豪華な賄い- 空腹で我慢が出来なさそうにしている秀斗と美麗は好美に導かれるがままに良さげな席に着いて一先ず水を飲んだ、テーブルの端に揃っているメニューを取ってすっかり減ってしまった腹を摩りながら何を食べようか吟味していた。美麗「好美が言ってたけどこの店のメニューって結構うちの店の影響を受けてるらしいんだよね、やっぱり食べ慣れたものを頼むのが良いのかな?」秀斗「美麗が言う「食べ慣れたもの」って賄いとかってやつなの?」美麗「いや、普通に店でお客さんに出してた物と変わらないと思っているんだけど。」 採譜を見ながら悩む2人の元にそろそろ良いかなと思った店のオーナーが近づいて質問した、そう言う意味では好美は空気を読める人間なんだろうか。好美「2人共、そろそろ決まった?」美麗「悩むよ、どれも美味しそうなんだもん。」 生前からパソコンが得意だった好美が作った写真たっぷりのメニュー表が2人を惑わせた。美麗「好美、オススメってある?」好美「うん、全部。」 よくあるベタな受け答えに思われるが元も子もない様に思われるのは気のせいだろうか。美麗「全部って困るんだけど。」好美「だってさ・・・、全部美味しいんだもん・・・。1番ってどう決めれば良いの?」 確かに悩みたくなる時はある、ただ「強いて言うなら」という言葉を出すとどうなるのだろうか。ただ好美が悩む理由を美麗はしっかりと理解していた。美麗「確か・・・、ここの料理の殆どってパパが作っていた物がベースなんだよね。」好美「そうなの、龍さんが作っていた物全部が好きだから1番を決めれないのよ。」 元の世界でずっと味わっていた味・・・、好美にとって忘れる事が出来ない味・・・、という事は美麗にとってはある意味「おふくろの味」と言っても過言ではない。美麗「じゃあ・・・、炒飯にして良い?」好美「やっぱり?美麗ならそう言うと思ってた。」 世の中では「中華料理は炒飯に始まり炒飯に終わる」という位炒飯は重要な料理と言える、それを忘れない為に毎日中華鍋を振って炒飯を作っていた龍太郎に付き合わされていた美麗は炒飯の味にうるさくなっていた。美麗「パラパラじゃないと認めないからね。」 数か月前から用途に合わせて使える様に一応IHとガスのコンロを置いて良かったと改めて胸を撫でおろす好美、しかし「松龍」の様
last updateLast Updated : 2026-02-27
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7. 「異世界ほのぼの日記3」85

-85 利益をしっかりと考えるオーナー- デルア達の言葉を予想していた好美は、3人を店舗の裏庭へと連れて行った。そこには副店長も存在すら知らなかったという大きな業務用冷蔵庫があり、先程好美が提供した試作品に使われていた野菜を中心とした材料が保管されていた(と言うより裏庭あったんだな)。デルア「好美ちゃん、その大量の野菜はどうしたんだよ。光さんの所でこんなに買い付けると輸送費込みで莫大な金額が必要になると思うんだけど。」 『転送』を使って直接光の家から送ってもらうという手もあるのだが、それだと途中でガイの所に立ち寄れなくなる。ガイの作る米は多数の客に定評があるので契約を解除する訳にはいかない、勿論光の所とも同様の事が言えた。好美「デルアならそう聞いて来ると思ったよ、皆、あそこを見てくれる?」 好美が指差した先には広々とした畑があり、大量の作物が育てられていた。デルア「まさか、他所で育てた野菜を採って隠したのか?!」好美「何馬鹿な事言ってんの、ちゃんと結愛に許可をもらって安く売って貰ってんのよ。」 貝塚学園魔学校の寮(好美のマンション下層階)に住む園芸科(あったの?!)の学生達が授業の一環として育てた野菜を店用にと好美が買い付けたのだ、どうやらイャンダも知らない所で結愛に直接交渉したらしい。デルア「またこんな大量に・・・、使いきれなかったらどうすんのさ。」 前例があり過ぎる案件に再び頭を抱える副店長。デルア「もう兄貴の所は駄目だって聞いたぞ、それに元から光さんの育てた野菜に拘ってるから尚更だと思うけど。」 デルアの兄であるナルリスは今の店を建てる時、3国の国王達が用意した街の中心部での営業を蹴ってまで光の野菜を使う為の立地に拘っていた。デルアも人づてに聞いた事だが、その強い気持ちは今でも変わっていない様だ。 そんな事を話していると、噂になっていた農家の主である光がガイを連れて様子を見に来た。2人によると週に2~3度、この裏庭に足を運んで生徒達に指導を行っているらしい。各々の仕事もあるというのによくやる、俺なら真似出来る気がしない。光「どう?私達の教え子たちが作った野菜は役に立ってる?」ガイ「多少形が悪くても味は同じだから刻んだりしたら変わらないよね。」 デルアが改めて原価等を計算しなおした際に市場価格に比べてやたらと安い理由が分かった、
last updateLast Updated : 2026-02-27
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7. 「異世界ほのぼの日記3」86

-86 パーティーと秘密- 先程の好美の言動に、光が黙っている訳が無かった。光「ちょっと、まさかと思うけどここの野菜を使ってうちとの取引を減らすつもり?」 今はナルリスの店での売り上げが有るので生活面等においては何とかなっているが、将来を長い目で見ると「暴徒の鱗」との契約は続けていきたい。いち農家の主人にとっては自然の考えと言っても過言では無い。好美「そ・・・、そんな訳無いじゃないですか。勿論、光さんの所の野菜も使わせて頂くつもりです。」 好美の心中では経費の節約と粗利益高のアップを狙って光との野菜の取引を考え直そうしていたが、この世界に来てすぐの頃からずっと世話になっている分、裏切る訳にはいかないと少しタジタジしていた。 裏庭で店の裏事情が飛び交う中、訳あり品を使った試食品とは言え、折角の料理が冷めてしまうと勿体ないと思った秀斗と美麗は店内へと戻って食事を始めた。美麗の実家である「松龍」の味がベースになっている数々の料理は2人の舌に合っていたらしく、食がどんどん進んで行った様だ。 そんな中、好美との話し合いを続ける光にナルリスの店でグラスを磨いていた真希子から『念話』が飛んで来た。真希子(念話)「光ちゃん、今大丈夫かい?」光(念話)「まぁ、大丈夫ですけど。何かありました?」真希子(念話)「光ちゃんって、明日空いてるかい?」光(念話)「別に何の予定も無いです、仕事も休みですし。」 「休みだった」というよりは、とある理由からラリーの厚意によって「休みになった」と言った方が良いと思うのは俺だけだろうか。まぁ、それに関しては何も言うまい。光(念話)「あの・・・、どうしたんです?」 数秒の間沈黙する真希子に対し、少しだが不信感を抱いてしまった光。真希子(念話)「ごめんごめん、いやね、明日って光ちゃんの誕生日だろう?うちの店で皆で集まってパーッとやろうかと思ってね(言っておくがあんたのではない)。」光(念話)「別にいいですよ、もうそんな歳じゃないですし。」 断りながらも赤面する光、実は嬉しかったりしている様だ。真希子(念話)「良いじゃないか、それに美麗ちゃんがこっちの世界に来たんだろ?歓迎パーティーも兼ねているんだよ、守も明日有休を取らせたからどうだい?」光(念話)「まぁ・・・、真希子さんが言うなら行きますけど何か恥ずかしいですよ。」
last updateLast Updated : 2026-03-02
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7. 「異世界ほのぼの日記3」87

-87 不自然に記された秘密- ナルリスの店で副店長を務める真希子はオーナーシェフに耳打ちで重要事項を伝えようとしたが、本人の声が小さすぎたのかナルリスはまた聞き逃してしまった。ナルリス「あの・・・、さっきから何を伝えようとしているんです?全然聞こえないんですが。」 何度も何度も聞き返すものの、ナルリスが未だに全てを聞けないままの状態で早くも好美と守が入店して来た。真希子「まぁ、後で分かる事さね。あら2人共、いらっしゃい、おはよう。」好美「おはようございます。」守「・・・。」真希子「何だい、うちの子は挨拶も出来ないのかい?親として恥ずかしいよ。」 挨拶の無い守を叱る真希子の表情は、1人の立派な母親の表情そのものであった。 そんな中、渚と光親子が住居部分の側にある出入口から入店して来た。すぐさま業務に戻った真希子は挨拶を交わし、2人を席へと案内した。光「おはようございます、真希子さん。今日は私なんかの為にすみません。」渚「それにしても本当に私は客として来るだけで良いのかい?」真希子「何言っているんだい、光ちゃんだけのパーティーじゃないって昨日言っただろう?それに、この店には拉麵屋の女将に出来る事なんて1つも無いよ。」渚「あんたも「女将」だなんて呼ぶんじゃ無いよ、それにいい意味で失礼しちゃうね。」 その数分後の事、光の元上司で叔父である一が入店して来た。真希子「あらいらっしゃい、一さん来てくれたんだね。」一「おはようございます、ご招待頂きありがとうございます。それにしても私なんかが来ても良いんですか?」真希子「当たり前じゃないか、あんたも家族の一員なんだからね。」 ただ一の姿を見て黙っていなかったのが渚だった。渚「あんた、店の方は大丈夫なのかい?」一「勿論大丈夫です、元々休みの日でしたから。それに出勤日だったとしても女将さんがシューゴさんに話を通して休みにするでしょう?」渚「あんたも「女将さん」はやめな、何回言えば分かるんだい。」 そうこうしている内に美麗や秀斗を含む招待客全員が席に着いて乾杯の時となった、まだ朝の9:00だったが全員気になどしていなかった。 全員の気分が良くなる中、守はずっと気になっていた事を母親に尋ねた。守「なぁ母ちゃん、何で俺は今日呼ばれたんだよ。」真希子「ああ・・・、忘れかけていたよ、これこれ。
last updateLast Updated : 2026-03-02
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7. 「異世界ほのぼの日記3」88

-88 秘密と嘘- 2人は真希子から渡された手紙を読んで心が温まった以外に何も感じていなかった、ただ守はどうして自分が読む必要があったのかを自分なりに思い出そうとしていた。守「そう言えばさっき母ちゃんが「端の物でも摘まんでいろ」って言ってた様な気がするな、「端」を「摘まむ」ね・・・。」光「守君、どうしたの?」守「光姉ちゃん、その手紙ちょっと借りて良い?」光「良いけど、どうするつもり?」守「ごめん、折り目付けるよ。」 守は端っこの文字だけが見える様に手紙を摘まんで読み上げた。 「あ」「な」「た」「た」「ち」「は」「姉」「弟」「だ」守「「あなた達は姉弟だ」・・・。えっ?!俺達が姉弟?!」光「守君、何冗談言ってんの。私達が姉弟な訳無いじゃん、だって家が隣同士だった以外共通点も無いのに!!」 光は守の手から折り目の付いた手紙を奪い取って読み直した、何度呼んでも「あなた達は姉弟だ」と書かれていた。 2人は手紙を見て驚きを隠せなかった、自分達が姉弟だって?!その後何処か険悪なムードになるかと思われたが、光がおふざけで始めた「プロレスごっこ」により場は治まった。 そんな中、渚と一は未だにじゃれ合う光達に近付いて頭を下げた。渚「実はね、あんたにずっと嘘をついていたんだ。あんたの父である阿久津はすぐに死んだ訳じゃ無くて実家の組員に追われた際に私と離婚して逃亡したんだ。あいつ、生まれたばかりのあんたを私に任せて私達を決して巻き込みたくないから自分は死んだ事にして成長したあんたにもそう伝えておいて欲しいと頼んで来たんだよ。親として嘘をつくのは良くないんじゃないかと言ってはみたんだけど、こればかりは仕方なかったのさ。」一「吉村・・・、いや光ちゃん。俺と2個下の弟である阿久津は私が中学の頃に両親が別れて俺は母方に引き取られたからずっと知らなかったとは言え、ずっと話せなくて悪かったと思ってるんだ。本当に申し訳ない。」 必死に頭を下げる叔父を目の当たりにしつつ、光にはもう1つ気になる事があった。光「じゃあ・・・、阿久津は一度戻って来たって事?」真希子「そうさ、その時私との間に生まれたのが守だったんだよ。」光「でもどうして?どうしてお母さんの所ではなく真希子さんの所に?」 真希子に尋ねたはずの質問に何故か頬を掻きながら答えようとする渚。渚「えっとね・・・
last updateLast Updated : 2026-03-02
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