貴方に比べれば大抵のものは小さくて可愛く見えるでしょうけど。一般的に、僕は可愛らしい部類には入らないと思うけど。それでも、彼が嘘やお世辞を言ってるようには見えなくて、本気で可愛いと思ってるんだろうと信じてしまう。それが、すごく、くすぐったい。二つ並んだ大小の手を見ていたら、いつも大型犬さながらに嬉しそうに懐いて来る姿が浮かんで頬が緩んだ。約束の遊園地には、きっと並んで歩いても僕と彼は普通のカップルには見られない。友人かゲイカップルといったところだ。多分それでも陽介さんは、楽しそうに笑ってる。そんなことを考えながら、手とか服越しに触れてる肩や腕に伝わる体温が心地よくて、いつの間にか僕もすっかり寝入ってしまい。次に目が覚めた時には僕はベッドに寝かされていて、陽介さんは帰ってしまった後だった。”ワイシャツが見つかんなかったのでスエットの上借りて行きます”と置手紙を残して。もしかしたら見つからなかったんじゃなくて、洗濯機の中だろうと気が付いても開けちゃいけないと思ったのかもしれない。中には陽介さんのワイシャツしか入ってなかったから、開けてくれて構わなかったんだけど。それに、起こしてくれたらよかったのに。少し首を傾げたけれど、きっと彼もいい加減疲れが溜まっていて早く帰って休みたかったのだろうと、納得した。―――――――――――――――――――十二月というのは、ただでさえ客の多い稼ぎ時で、特に九時以降くらいから忙しくなる傾向にある。忘年会シーズンで、一次会若しくは二次会まで終えた後での来店が多いからだが。クリスマスイブ前後はカップル客も多く、その後すぐに十二月最後の土日があり、立て続けの忙しさに僕の方も余り余裕がなくなっていた。陽介さんもさすがの忙しさに遠慮したのか終電を待つことなく帰って行って、ゆっくり話すこともできないまま。二十八日の朝方、年末最後の客が帰り、漸く仕事納めとなった。「はいよ、十二月分」「ありがとうございます」佑さんから、給料袋を受け取った。当然の如く、今どき現金手渡しだ。然し乍ら、今月は少ないはずである。先日の飲み比べの代金を、給料天引きでお願いしていたからだ。「あれ?」「なんだ? 少ないとかいうなよ」「少ないのはいつものことだけど、此間の飲み代が引かれてない」正味酒代程度にしてくれたとしても
Terakhir Diperbarui : 2025-06-10 Baca selengkapnya